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トヨタ、今年も「ル・マン24」参戦! 1000馬力の改良型『トヨタTS050ハイブリッド』で
(画像: トヨタ自動車)[写真拡大]
トヨタは今年も「GAZOO Racingチーム」で、世界3大レースの1つであるWEC世界耐久選手権のル・マン24時間(6月16日~17日)に参戦する。出場する車のカテゴリーは4つあり、引き続きトヨタは最高峰のLMP1クラスへ参戦する。開催場所は、フランス・パリの東200kmに位置するル・マン市のサルトサーキット。1周約13キロ(13.629km)もあるサーキットは、常設のブガッティ・サーキットを一部使用するが、ほとんどは一般公道を使用している。24時間で、このサーキットの周回数を競うのだ。
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テスト走行から始まって約2週間も拘束されるレースに一般公道を使用することは、日本では考えられない。それもそのはず、ル・マンの歴史は古く、1923年から始まった歴史あるレースなのだ。地元の人々は開催されることを心待ちにしており、ボランティアでレースに携わることを誇りにさえ思っている。ヨーロッパでは、クルマは文化の一部なのだ。日本は、自動車レースと聞くと暴走族と結びついてしまい、「スポーツ」という受け止め方が出来ないでいる。
そんな耐久レースであるル・マン24に、トヨタは、「TS050ハイブリッド」の2台体制で臨む。2017年型マシンの改良版で、トヨタの東富士研究所で開発されたものだ。ハイブリッド・パワートレインは「THS-R(トヨタ・ハイブリッド・システム-レーシング)」を踏襲していて、エンジンやMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)、バッテリーなどの信頼性向上が図られている。
「THS」と聞けば、市販車プリウスに搭載されているパワートレーンのそれで、「THS-R」の原型。Rとはレーシングの意味だ。初めは市販車用の「THS」を改良してレースに使用していたが、現在では「THS-R」が市販車のパワートレーンの限界を引き上げるための、重要な実験台となっている。つまり、世界に誇るトヨタ・ハイブリッドはル・マン24によって、より高性能化されているといってもいいかもしれない。レースは「走る実験室」というホンダ創業者・本田宗一郎氏の言葉が思い出される。今年WECから撤退したポルシェも同じ狙いであった。ポルシェも、トヨタに劣らずハイブリッドシステムを作る実力を持っているということだ。
今回、ル・マン24時間レースを走る「TS050ハイブリッド」のパワートレーン「THS-R」は、エンジンとハイブリッドシステムの合計で、システム最大出力1,000馬力もの出力を誇る。すでに、シーズン開幕戦のスパ6時間レースで1-2位フィニッシュを飾っており、その信頼性が向上していることは間違いないだろう。ハイブリッドシステムの改良は毎年繰り返され、参戦を再開した2012年に比べて、35%もの燃費改善が図られているという。
レースにはカテゴリー別にレギュレーション(規定)があり、それぞれに物理的制限が設けられている。その中で、技術的に、またレースマネジメント的に微妙なせめぎ合いしているのを見るのが、本来レースの醍醐味だ。ただ勝った負けただけでは面白くない。メーカーもそのレースでどんな技術開発に成功し、あるいは失敗したのかを理解し、次の開発に役立てているのは間違いない。レースを観戦するとき、そんな視点で見てほしいものだ。
また、今回のレースの見どころはもう1つ。F1レースに参戦し、数々の記録を持つフェルナンド・アロンソがトヨタチームにいることだ。トヨタ2台体制のうちの1台、8号車で、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミに、フェルナンド・アロンソを加えた3名の布陣で戦うことになっている。
1つ寂しさがあるのは、フォーミュラEに参戦することを決断し、WECのLMP1クラスから撤退したポルシェがいないことだ。これは、ヨーロッパのEV移行をうけて、先ごろ発表になったポルシェ初のEV「タイカン」に全力を挙げるつもりであることを示している。ポルシェに勝つことを念願としてきたトヨタとしては、ポルシェを相手に1勝を挙げずに終わっていることは無念だろう。今年のレースでは、過去のポルシェの記録を破る周回数を成し遂げて優勝するするしか、トヨタに残された道はあるまい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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