日銀、年内最後の会合意見を公表 利上げ継続方針が鮮明に

2025年12月30日 14:05

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 日本銀行が12月29日に公表した12月会合の「主な意見」で、政策委員の利上げに好意的な姿勢が改めて明確になった。マーケットではポジティブな要素として認識され、円相場は一時1ドル=156円台前半まで上昇するなど、大きな動きがあった。

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 12月18~19日の会合では、政策金利を0.5%程度から0.75%程度に引き上げた。1995年以来30年ぶりの高水準で、また、これは全会一致での決定となった。ただし、その上でさまざまな懸念点が見出され、意見としてまとめられている。

■定期的な利上げ実施の声

 金利調整の最終目標については、闊達に議論が交わされたとうかがえる。これまでの利上げによる効果は限定的と見られていたが、議論の風向きは大きく変化したと考えられる。

 一部の委員は数カ月ごとなど一定の時間的間隔を置いて政策調整すべきだと主張するなど、具体的なペースにまで言及が及んでいる。

 背景には、国内物価の上昇によって賃金上昇を伴う長期的なインフレへと移行しつつあるとの認識が広がっている点が挙げられる。

 特にサービス価格の上昇や人手不足を背景とした賃上げが広く実施されており、金融緩和を続けた場合にはインフレ期待が過度に高まるリスクが意識された。加えて、円安の長期化が輸入物価を通じて家計や中小企業の負担を増大させている点も、おおいに関係したと考えられる。

■米通商政策の影響「想定内に」

 委員からは、国外的の不確実性が低下したとの認識が示された。米国の通商政策による影響は当初懸念されたほどの脅威ではないとの意見でまとまり、企業収益も高水準を維持している。来春の賃金交渉についても前向きな見通しが示され、利上げ実施の環境が整ったとの判断につながった。

 ある委員は、現状の緩和的な金融環境を維持した場合、物価上昇圧力が続く可能性を指摘。為替の物価への影響も考慮すると、判断を次回会合まで先送りすることがむしろ大きなリスクであるとも指摘した。

■金利水準の国際比較で指摘相次ぐ

 物価動向を踏まえた実質的な金利水準について、日本は主要国と比較して際立って低いとの言及が相次いだ。円相場や長期金利の動きについても、物価上昇に対して極端な低金利であることが背景にあるとの分析が示された。

 適切な時期に金利を調整することで、中長期的な物価圧力を和らげ、長期金利の上昇も抑えられるとの意見もあった。

■政府は企業活動への影響を注視

 城内実経済財政相は会合に出席し、利上げについて物価目標達成に必要な措置との理解を示した。一方で、企業の投資活動や収益動向を引き続き注視する必要があるとの考えを示している。

 意見公表を受けた金融市場では、長期金利が上昇し国債が売られた。日銀は2026年以降も政策正常化を進める方針だが、物価高対策を重視する高市政権との間では、円安抑制という点では利害が一致している面もある。ただし政権内には景気への影響を懸念する声もあり、次の政策変更時期は慎重に判断される見通しだ。(記事:庭田 學・記事一覧を見る

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