アオキスーパーが国内初の核融合発電による電力購入契約、2030年代導入へ

2025年12月10日 13:55

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ヘリカルフュージョンが開発する発電初号機『Helix KANATA』のイメージ(アオキスーパー発表資料より)

ヘリカルフュージョンが開発する発電初号機『Helix KANATA』のイメージ(アオキスーパー発表資料より)[写真拡大]

 愛知県に地盤を置く小売りのアオキスーパーは、核融合発電の実用化を進めるスタートアップ・Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)と、核融合発電でつくる電力の購入契約を結んだ。日本で購入契約が結ばれるのは初めてとなる。核融合発電は次世代のクリーンエネルギーと期待され、世界各国で実用化に向けた動きが続いている。

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 契約はヘリカルフュージョンが核融合発電を実用化したあと、電力供給する内容で、導入時期は2030年代を想定しているとみられる。炉の建設場所は現時点で未定だが、実用化に失敗した際の違約金の有無は明らかにしていない。

 核融合発電は、水素やヘリウムなど軽くて小さな原子核を持つ原子やその同位体の融合で発生した熱エネルギーにより発電する。海水に含まれる重水素などが燃料となり、資源小国の日本でも持続可能なエネルギー開発ができるとして、政府が国家戦略技術に採用して力を入れている。米国ではIT大手のグーグルやマイクロソフトが、核融合発電を開発中の企業と電力の購入契約を結んでいる。

 アオキスーパーは愛知県西部を中心に約50の食品スーパーを展開しているが、地球温暖化に伴う気候変動や海水温上昇により、農作物栽培適地の変化や水産資源への影響を心配している。店舗内の冷暖房施設や照明、冷蔵・冷凍施設の運用にかかるエネルギー負担も課題だ。そこで7月、ヘリカルフュージョンに出資した。

 ヘリカルフュージョンは、自然科学研究機構核融合科学研究所の研究者らが2021年に設立したスタートアップ。日本独自のヘリカル型核融合炉による核融合発電を目指し、2030年ごろに実験炉の稼働を計画している。商用炉の稼働はその後になる見込みだ。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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