相場展望9月9日号 米国株: 半導体株指数が崩れ、米国経済の後退見立てで、高値警戒感 日本株: (1)円高進行(2)半導体株安(3)海外短期筋の先物売りで3重苦

2024年9月9日 09:36

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/5、NYダウ▲219ドル安、40,755ドル
 2)9/6、NYダウ▲410ドル安、49,345ドル

【前回は】相場展望9月5日号 米国株: 人工知能人気は頭を打ったか? 米国景気は後退懸念増す 日本株: 日経平均はついに「弱気相場に逆戻り」で2番底を伺うか?

●2.米国株:半導体株指数が崩れ、高値警戒感が浮上

 1)半導体株指数(SOX)は崩れ、米国株価指数の上昇をリードした面影はなし
  ・SOX指数の推移
    7/10   5,904      : 最高値
    8/07        4,426 : 7/11から▲25.0%下落
    8/21     5,267
    9/06       4,528

  ・2023年10/14の2,162を底に始まった長期上昇ラインが7/10の5,904を天井に上昇ラインを割って8/7に4,426を付けた。

  ・8/7を底に反発して8/21に5,267まで回復したが、長期上昇ラインを上に抜けず跳ね返され下落基調に転じた。そして、9/6に4,528まで下落し、8/7にあと102の差に接近。

 2)エヌビディア株価上昇にかげり
  ・エヌビディア株価の推移
    2023年9/05          48.55ドル
    2024年7/11 最高値 134.91
       9/06       102.83 : 最高値から▲23.7%安

  ・米国司法省から反トラスト法(独禁法)違反で召喚状が出ているとのブルームバーグの報道が出て、逆風が吹く。

  ・投資家の想像以上の決算発表が続いてきたが、7~10月期見通しで売上高は市場予想をわずか+2%高と驚きが消える。

  ・人工知能(AI)への期待が高まったが、過熱感が薄れる方向に傾き始めた。

 3)金利の低下は、株価には追い風なのに、米主要株価指数は下落
  ・米国長期金利(10年)の推移
             8/30   9/03   9/06
    10年長期金利  3.010%  2.906   2.874
    S&P500種    5,648   5,528   5,408

  ・S&P500 種株価指数の株価収益率は、9/5で21倍と、長期平均の15.7倍を大きく上回っている。

  ・S&P500は今年+13%超上昇しているため、高値警戒感が出たと思われる。

  ・雇用減速で、FRB金利の大幅引下げ▲0.50%観測もあり、米国経済の後退懸念が浮上。

●3.米国8月雇用統計、非農業部門就業者+14.2万人と予想16.5万人を下回る(NHK)

 1)失業率は4.2%で、前月から▲0.1%低下し改善は5ヵ月ぶり。

●4.米国ISM非製造業総合指数、8月は51.5で前月51.4からほぼ横ばい、雇用減速(ロイター)

 1)市場予想の51.1よりも好調だった。
 2)サービス業雇用指数は7月の51.1から、8月は50.2に低下した。労働市場の軟化に伴い雇用の伸びは軟化した。
 3)価格指数は7月の57.0から57.3に上昇した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/5、上海総合+4高、2,788
 2)9/6、上海総合▲22安、2,765

●2.中国、アフリカに7.2兆円の資金援助表明、安保でも影響力強化(毎日新聞)

 1)3年間で7.2兆円の資金援助と、200億円の無償軍事援助や合同軍事演習の実施を約束し、インフラ建設のような経済協力にとどまらず、安保保障分野でも影響力を強める意欲を示した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/5、日経平均▲390円安、36,657円
 2)9/6、日経平均▲265円安、36,391円

●2.日本株:(1)円高進行 (2)半導体株安 (3)海外短期筋の先物売りで3重苦

 1)円相場は141円台後半まで円高
  ・米国金利の低下で、日米金利差が縮小し、円高が進行
    日米金利差の推移
              8/05    8/30   9/03   9/06
       日本10年物金利 0.778%   0.891   0.925   0.842
       米国10年物金利 3.788    3.903   3.831   3.716
        日米金利差  3.010    3.012   2.906   2.874
       円相場/ドル  142.52    144.94   146.30  142.51

  ・FRBが今後の大幅な利下げに前向きとの受け止めが、日米金利差が広がった。

  ・8/5の円相場よりも、米国時間で一時141円台になるなど「円高」を指向。米国の政策金利の引き下げで、日米金利差がさらに縮小し、円高が進行すると予想する。

 2)半導体関連株は値がさ株が多く、日経平均に与える寄与度が高いため、想定以上に日経平均の下げが大きくなる

 3)東京エレクトロン株価は8/5を9/6に下回り今年最安値を付けた
  ・東京エレクトロンの株価推移
    3/06  39,600円    : 最高値
    7/11  38,050円
    8/05     22,055円
    9/06     22,000円 : 3/06比▲17,600円安・下落率▲44.4%安 

  ・日本の半導体株の代表銘柄であるだけに、半導体関連株の失速が日本株全体の先行きの厳しさを示唆していると言えそうだ。

 4)三井物産の株価はバフェット氏購入以来、絶好調だったが、急落
  ・三井物産の株価
    5/21  4,179円 : 最高値
    8/05  2,346円 : 5/21高値から▲1,743円安・▲41.7%下落
    8/16  3,183円 : 8/05底から+747円高・戻り率+42.8%
    9/06  2,878円 : 8/16比▲305円安

  ・日経平均を押し上げた有力業種・商社株を代表する銘柄だけに、今後の日本株の動向を占う意味で注目したい。

 5)日経平均は、(1)円高進行 (2)半導体株安 (3)海外短期筋の先物売り
  ・三重苦
   (1) 円高進行
   (2) 半導体株安
   (3) 海外短期筋の先物売り

  ・米国株価指数は米国経済後退懸念が強まり、日米同時株安のリスクが深まる可能性。

  ・そうなると、海外短期筋による日本株売りに備えたい。

  ・本日9/9の日経平均は厳しい下落も予想される。

●3.米国政権が新日鉄に書簡、USスチール買収は安保上のリスクと指摘=関係筋(ロイター)

●4.セブン&アイ、クシュタールの買収提案を受けない方針、企業価値算定低い (読売新聞)

●5.トヨタ、BMWと第3世代の燃料電池システムを共同開発、水素社会実現へ (MotorFan)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2685 アダストリア    業績堅調。
 ・4452 花王        業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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