スキー場を冬・夏「二毛作」に仕上げた、日本スキー場開発の逆転ヒットの法則

2024年5月15日 08:33

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菅平高原スノーリゾート(画像: 日本スキー場開発の発表資料より)

菅平高原スノーリゾート(画像: 日本スキー場開発の発表資料より)[写真拡大]

 日本スキー場開発(東証グロース)。日本駐車場開発の子会社。白馬八方屋根など国内で有名のスキー場を運営。夏場(グリーンシーズン)の活用にも注力し存在感を強めている。

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 日本生産性本部の「レジャー白書2020」には、こんな風に記されている。

 *2019年度のスキー・スノボー市場の規模は、1990年後半に比べ半分以下。約530億円。

 *直近10年間は、500~600億円の間で横這い状況。

 *1993年には1866万人規模だったスキー・スノボー人口は、「バブル崩壊」「レジャーの多様化」「ウェアや道具、加えて遠方の地へのコスト」などで激減したとされる。

 北海道生まれの104歳の父はスキーの話になるといまでも、「冬場は学校までスキーを履いていったものだ」と目を輝かす。

 私には「痛い」思い出がある。冬場は故郷:群馬県の川場スキー場に子供を連れて行くのが、恒例だった。ある時、朝目が覚めると歩けないほど足が激痛状況(帰宅後、痛風と診断された)。がスキー場に死ぬ思いで辿り着き、スキー靴を履くと痛みが和らいだ。硬いスキー靴で患部が固定された結果だった。

 そんな思い出の多いスキーを懐かしく、かつ「ヘエー」と驚きの中で知り直したのは1冊の本だった。2022年冬に東洋経済新報社から出版された『スキー場は夏に儲けろー誰も気づいていない「逆転ヒット」の法則』。日本スキー場開発傘下の白馬岩岳マウンテンリゾート代表:和田寛氏の著作である。

 客足が全くと言ってよいほど落ち込む夏場の「集客策」を次々に投じていった。2019年以降夏場の来場者数が冬場を上回り、22年には2倍水準の来場者を実現するに至った。

 日本スキー場開発の収益動向は堅調に推移している。21年7月期こそコロナ禍の影響で「4億2800万円の営業損失」を強いられたが、22年7月期は「2億5400万円の営業利益」を計上。23年7月期は「308%の営業増益」。そして今7月期も「8.7%の増収、30.3%の営業増益、5.0%の最終増益(史上最高益を連続更新)」計画。

 前7月期の決算説明書には「自然降雪が遅れたものの、気温の低下を受け投資を継続してきた降雪機が貢献・・・インバウンドも入国制限緩和で18-19年水準の71.6%まで回復・・・グリーンシーズンも行動制限の停止や旅行支援効果などで、9月の上旬に台風の上陸が相次いだものの観光需要は高い水準が維持され・・・」といった文字が躍っていた。

 本稿作成中の時価は1000円トビ台。上場(2015年4月)の初値で買い保有していると、調整済み株価パフォーマンスは約23%。まずは昨年9月の1200円超を待つのが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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