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出光興産、3Qの在庫影響を除くセグメント利益は前年比488億円の増益、通期業績予想を上回る進捗
出光興産、3Qの在庫影響を除くセグメント利益は前年比488億円の増益、通期業績予想を上回る進捗[写真拡大]
2023年度第3四半期決算
酒井則明氏:代表取締役副社長の酒井です。本日は大変ご多忙の中、決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。また、日頃から当社の経営活動・事業活動にご理解、ご支援をいただき、誠にありがとうございます。この場をお借りして、あらためてお礼を申し上げます。それでは資料に沿って、私から決算内容についてご説明します。
まず、決算概要です。スライドの表をご覧いただくとおわかりのとおり、この第3四半期決算は、営業プラス持分損益で3,073億円、前年同期と比べマイナス166億円の減益となりました。
ただし、在庫のマイナス影響が大変大きく、在庫影響除きの数字を括弧書きでお示ししています。在庫除きでは前年同期比プラス488億円と、増益となりました。当期純利益も同じ傾向で、前年同期比マイナス105億円、在庫影響除きではプラス348億円です。
主な要因は、第2四半期までの傾向と同じです。事業別には資源部門、特に石炭での市況下落による減益を主に燃料油事業がカバーしています。
スライド右側の表に、昨年11月に公表した通期の業績予想を参考として記載しています。すでにこの第3四半期で通期の予想を上回る当期純利益となっています。ただし、スライド下部に記載のとおり、この第3四半期以降、一部製油所でのトラブルなど、主に第4四半期に収益の下押しになる要因が出てきています。
現在、その影響を検証中ですが、それらが顕在化しても、昨年11月にお示しした通期予想の水準で着地するものと見ており、今回は通期予想を据え置きとしました。
トピックス
トピックスについてご説明します。燃料油の販売状況の傾向は、第2四半期までと大きく変わりません。主燃料(ガソリン、灯油、軽油、A重油)は、コロナ影響からの回復が一服しましたが、ジェット燃料は引き続き前年を上回るかたちで販売伸長を続けています。
ベトナムのニソン製油所の状況については、営業外の金融費用の影響により、残念ながら今年度は最終的に赤字で、最終損失の見通しですが、営業利益は第3四半期まで黒字を確保しました。通期においても、在庫影響を除くと黒字を確保できる見通しです。
また、夏場に定期補修に取り組み、それ以降は生産性が飛躍的に向上し、現在も高い稼働率で運転継続中です。用役面に多少信頼性の乏しい部分もありましたが、それらも併せて定期補修中に手直ししているため、生産性がかなり向上した状況で運転を継続できています。
引き続き、スポンサー間、ベトナムサイドとの今後に向けての交渉を継続していきたいと考えています。
事業環境
事業環境です。指標原油価格として、ドバイ原油価格、豪州一般炭の市況、為替レートをグラフで示しています。特に原油価格・石炭は前年度と様変わりしています。主な原油・石炭の指標が前年同期比で、大きく下落した1年となりました。
決算概要
決算概要についてご説明します。前提となるドバイ原油価格とブレント原油価格、豪州一般炭スポット価格、為替レート、そして損益計算書をスライドの表に示しています。
傾向としては第2四半期と変わりません。持分法投資損益は海外・国内を含め、関係会社の前年同期比のマイナスが複数あり、前年同期比で114億円の減益となりました。
特別損益については、2022年度は固定資産の売却活動に非常に力を入れたため、大きな売却益を得ました。そのため、前年同期比で188億円の減益となりましたが、傾向としてはこれまでと同じです。
セグメント別情報
セグメント別にご説明します。冒頭でお伝えしたとおり、資源部門の中でも石炭が前年同期を大きく下回っており、そちらを燃料油セグメントでカバーしています。
現時点では、基礎化学品、高機能材セグメントも前年同期を上回るかたちで推移しています。電力・再生可能エネルギーセグメントは残念ながら前年同期を下回り、赤字となっています。
セグメント別情報
スライドに記載のチャートでは、各セグメントの流れを示しています。以降のスライドで、それぞれのセグメントをもう少し詳細にご説明します。
セグメント別情報
燃料油セグメントについてご説明します。在庫影響除きで、前年同期比プラス1,129億円となりました。スライド左側のグラフは、主燃料である燃料油の販売量を示しています。
スライド右側のグラフは、国内の石油製品マージンの推移です。実線が揚げ原油ベースで、こちらが決算に反映されています。この第3四半期は、前年同期比でリットル当たりプラス2円60銭となりました。この中にはタイムラグが含まれています。タイムラグがプラス2円30銭ということで、大半がタイムラグによるプラスでした。
グラフの下に主なポイントを箇条書きしています。こちらに収支への影響金額を付けてお伝えします。主燃料のマージンはプラス568億円です。このうちタイムラグによるプラスが503億円で、大半がタイムラグによるものです。
連産品のマージンはプラス171億円となりました。関係会社はプラス328億円となり、海外のトレーディング事業でのプラスを中心に増益となっています。
自家燃コストに関してはコスト減に働き、プラス168億円となっています。ジェット燃料の数量が増えたことで、プラス20億円です。主燃料はスライド左側のグラフのとおり、前年同期比で数量は減少していますので、マイナス58億円です。
輸出に関しては前年と比べ数量減となっており、主にその影響でマイナス114億円となっています。このような内訳で、トータルでは前年同期比プラス1,129億円となりました。
セグメント別情報
基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギーセグメントについてポイントをお伝えします。基礎化学品は、前年同期比プラス100億円です。スライドの表にパラキシレン・ミックスキシレン・スチレンモノマーのマージンについて、前年との比較を示しています。
パラキシレンとミックスキシレンは、今は需要もある程度堅調で、マージンも前年同期比で改善しています。一方で、スチレンモノマーは需要がやや低迷気味で、前年にアジア域内で大型定修があった影響で、前年のマージンは比較的高いレベルで推移しました。その反動で、前年との比較では今期はマイナスになっています。
前年同期比プラス100億円の内訳をお伝えします。販売数量はプラス14億円となりました。マージンでプラス37億円です。自家燃コスト等の減少が寄与していますが、コスト他でプラス49億円です。
販売数量については、第2四半期まではマイナスでしたが、愛知県知多市のパラキシレン装置の本格稼働などにより順調に伸びています。第3四半期は、販売数量要因でもプラスとなりました。
高機能材については、前年同期比プラス64億円です。高機能材の中にある事業によって多少のプラスマイナスがあります。潤滑油は前年度のマイナスのタイムラグの影響が非常に大きく、今期はそれが解消してプラスとなりました。
機能化学品は、昨年度後半以降不採算事業からの撤退を計画的に順次進めていきました。2024年度以降はそれが本格的にプラスに働いてくると考えています。第2四半期までは減益でしたが、第3四半期では前年同期比で増益となっています。
電子材料は、中国の景気低迷を主な要因として需要減となっています。そのため、第2四半期までの傾向と同様に減益です。
電力・再生可能エネルギーセグメントは、前年同期は11億円の黒字でしたが、今期はマイナス23億円となりました。電力事業は、自社電源での供給・販売というかたちに立て直しを図ってきており、今も順調に進んでいます。
一方、この秋終盤から冬場に向けては、暖冬の影響で需要が思うように伸びなかったことと、電力価格に影響を与えるLNGや石炭の資源相場の下落影響によって、販売価格、卸市場価格ともに前年同期比で下がっています。電力事業は構造的な立て直しを図ってきたため黒字ではありますが、前年同期比では利益が減少しています。
そのような影響から、ソーラー事業も含めて電力・再生可能エネルギーセグメント全体では前年同期比でマイナス35億円となりました。
セグメント別情報
資源部門についてご説明します。スライド左側の石油開発は、前年同期比でマイナス132億円となりました。この要因を地域ごとにお伝えします。ノルウェーはマイナス33億円です。これは生産量の減少、価格の下落が要因です。
ベトナムはマイナス99億円です。こちらは生産量の減少、価格の下落に加え、前年までの特殊要因によるものです。前年は特殊要因により利益が出ている部分もありましたので、その影響で大きく減益しているように見えますが、来期以降は解消されていきます。
スライド右側の石炭は、前年同期比でマイナス749億円と大きく減少しました。数量要因と価格要因をそれぞれお伝えしますと、数量要因でマイナス252億円、価格要因でマイナス580億円です。為替等の影響でプラス83億円となり、合わせてマイナス749億円となりました。
財務状況
財務状況を簡単にお伝えします。第3四半期末の12月末で総資産は5兆2,721億円と、前期末比でプラス4,068億円となりました。主な要因は運転資本の増加で、純利益が積み上がっています。
スライド右下に記載のとおり、有利子負債が減少し、ネットD/Eレシオもこの第3四半期末で0.7倍と、現時点で財務の視点からは大変良い数字で推移しています。
ここまでは、数字で決算の内容をご覧いただきました。
中期経営計画の進捗にかかわるトピックス(1/3)
中期経営計画の進捗にかかわるトピックスです。まず、マレーシアで第2 SPS(シンジオタクチックポリスチレン)製造装置の商業運転を開始しました。
また、OPTC(Oriental Petrochemical Taiwan)と丸紅と一緒にバイオマスPTAのサプライチェーン構築について合意しています。ペットボトル等に使われるPET樹脂の中間原料のバイオマス化や、CO2削減に寄与するサプライチェーンを組もうという取り組みです。
中期経営計画の進捗にかかわるトピックス(2/3)
先日プレスリリースを行いましたが、西部石油が今年度3月を目途に精製機能を停止します。それにあわせて、今後の西部石油が地域のみなさまのお役に立てるように新しい事業構想を策定しています。
これは西部石油だけで考えるのではなく、私どもは当然ですが、地域のみなさま、山陽小野田市のみなさまと一緒になって、新しい事業構想の検討に取り組むべく地域のみなさまからもご賛同いただきました。
中期経営計画の進捗にかかわるトピックス(3/3)
最後のトピックスです。2027年度と少し先の話ですが、私どもの千葉事業所の敷地内に統合研究所を初めて建設したいと考えています。
統合研究所という名前のとおり、全国にある次世代技術研究所という基礎研究所や、さまざまな事業部付属の研究所をすべて統合し、事業を横断した研究施設を作りたい考えです。
また事業横断だけではなく、研究開発から商業生産に至るまでの流れを一気通貫できる体制を作りたいという思いで、今回、統合研究所の建設の意思決定を行いました。人事や組織、DXなど、さまざまな視点から新しい研究体制を構築し、2027年度完成に向けて取り組んでいく所存です。
私からの説明は以上です。
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