工藤建設は拠点近隣の清掃/介護事業/障がい者雇用支援を、「地盤地域への恩返し」とする

2024年1月9日 16:32

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 工藤建設(東証スタンダード)。神奈川地盤の中堅建設業者。大規模修繕工事に強みとされる。正月の四季報のぱらぱら読みで、【続伸】の見出しで始まる「入居率90%超で介護順調」という書き出しに興味を持った。

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 HPを覗いた。手掛けた建設案件が記されていた。マンション・集合住宅29件。店舗・オフィス23件。教育・保育施設13件。公共施設3件。その他(ex動物医療センター)9件。そして介護施設10件、とあった。

 収益動向や株価動向からは、必ずしも妙味は覚えない。

 2022年6月期の「14.1%減収、60.1%営業減益、5円減配」を受け、「役員賞与3か月返上」には妙に感心した。23年6月期は「15.1%増収、38.8%営業増益」と切り返し傾向。が「6.1%増収、11.3%営業増益」計画で立ち上がった今期も、下期偏重型とはいえ第1四半期は前年同期比1.5%増収ながら「27.5%営業減益」という状況。

 株価は昨年大納会の終り値2445円、予想税引き後配当利回り3.27%もそもそも年間の値幅は狭い。初値・終り値でみると22年が2109円/2271円、23年が2371円/2445円という具合。

 それだけになおさら「介護」事業に惹かれた。「世話になった地域へ恩返しの意味も込めて」と発信したからだ。

 工藤建設の上場は1997年。2003年に1件目のフローレンスケアブランドの介護施設を開設後、21年までに東京都・神奈川県に17施設を展開している。介護付有料老人ホーム・デイサービス・グループホーム・住宅型有料老人ホーム。

 調べていくうちに「世話になった地域への恩返し」が、地道ながら着実に進められていることを知った。具体的には・・・本社近隣を社員が清掃を行っている。「清潔できれいな街づくりの推進に功労があった団体」とし、横浜市から「横浜環境行動賞」を贈られている。横浜市の認定ボランティア団体「はまロードサポーター」の一員として本社近隣のほか、港北ニュータウン営業所や各現場周辺でも清掃を実施している。

 また介護事業と並行し障がい者雇用にも注力している。グループのフローレンスリンクスでは、障がい者による介護施設の清掃が行われている。

 先に「投資妙味云々」とした。が言わば株主への優しさの反映ともいえる、過去10年間の修正済み株価パフォーマンスは約44%。PBR0.66倍という現実を目にすると、今後投資家対策に力を注いでいくことも予想される。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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