CF事業で大幅増収増益階段を駆け上がる:クリアルの株価とどう向き合うか

2023年12月31日 15:51

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 クリアル(東証グロース)。1万円から投資が可能な不動産クラウドファンディング(CF)事業を展開。CF(群衆/クラウド+資金調達/ファンディング)。日本でもその昔から「寺の修繕」などで活用されていた、と説かれたりもする。

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 がネットを活用したCFの原点は2011年の東日本大震災の、復興支援目的が普及の契機とされる。詳細は省くが当初は、問題事項(点)も浮上。それらをクリアするため、14年5月に「金融商品取引法改正案」が国会で成立。現状のCFが改めて、世の中の認知を得た。

 それにしても、クリアルの勢いには驚かされる。昨22年4月に上場。直後に開示の22年3月期は「48.2%増収、70.6%営業増益、243.2%最終増益」。前3月期は「55.3%増収、74.5%営業増益、95.0%最終増益」。そして今3月期が「58.2%増収(260億円)、40.7%営業増益(7億7000万円)、42.8%最終増益(4億8000万円)」計画。第1四半期も前年同期比「101.7%増収、183.8%営業増益、223.7%最終増益」で飛び出した。

 それほど「資産運用の機会が乏しいのか」、「富裕層と呼ばれる面々が多いのか」。詳しくはHPに譲るが「〇月△日、投資用不動産取得」「◎月□日、約××億円のファンド成立」式の記載が毎月のように続いている。

 第1四半期の決算資料は「投資家会員数4万人」「累計投資金額は300億円を突破」と発信していた。「4万人の個人投資家比率、投資額帯別比率。投資家の享受運用利回りを知りたい」と質問した。実名でIR担当者からこんな答えが返ってきた。

★23年9月28日時点。累計調達額373億円、組成ファンド数96。運用中ファンド数28、運用終了ファンド数66。

★法人投資家は極々一部、大方はBtoCサービスと捉えてもらって結構。投資額帯投資家数は未公開。

★運用完了ファンドの想定運用年利は、3.0%から6.5%。ちなみに募集金額の大きいファンドでは「8億8000万:ホテル アマネク 浅草吾妻橋スカイ、8億3800万円:SOLA沖縄学園」といった具合に、詳細が示された。

 クリアルの本稿作成中の時価は3000円台半ば水準。PER45倍近く。割高感が否定できない。昨年終盤から上値志向を強め8月に9070円まで買われ、その後横這いを挟んで調整場面。上場時から公開値930円に対し初値1600円:PER89.85倍。信用取引の取組状況は23.22倍の買い長。調整場面に乗るか否かは自己判断。「配当開始情報の発信を待ちたい」とする見方も多い・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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