リアルエステート事業で快調に飛ばす:ディア・ライフの現状

2023年5月21日 16:17

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 ディア・ライフ(東証プライム)。都心型レジデンスや商業施設の開発・販売が主軸。双日(旧ニチメン)を経た現社長:阿部幸広氏により2004年11月に設立された。そして僅か33カ月後の07年8月に、早々に東証マザーズ市場(現スタンダード市場)に上場。2015年8月、東証1部(現東証プライム市場)に移行した。

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 歩みを裏付けるように収益動向は好調。前2022年9月期は「96.9%増収、42.8%営業増益」。そして今9月期については「2.1%増収(530億円)、8.1%営業増益(62億円)」の業績目標とした。「計画or予想」でなく「目標」である。

 新年度の収益を「目標」とした点に、妙に興味を覚えた。幹事証券の1社から、「阿部社長の経営姿勢が織り込まれている」と聞いた。

 阿部氏は、こう語っているという。「計画が固まる前でも、やる価値があると判断すれば今やれることに全力で取り組む。決算後に監査法人や証券会社に提示する来期予想も業績予想でなく、業績目標としている」。

 今期の業績目標は前記の通りだが第1四半期は「前年同期比62.8%の増収、2億5000万円の営業利益(前年同期:1億7500万円の営業損失)」。先の幹事証券は「目標を上回る出足」とした。

 好調ぶりは前9月期の決算資料から確認できる。主軸のリアルエステート事業は、こんな状況だ。

 『幅広い需要に対応。自社開発の都市型レジデンスと、アセットデザイン&リセール(土地の開発適地化)と合わせて計47件を売却した。また管理コストの見直しやリノベーションなどで収益価値を高めた、東京都心部に立地する収益不動産を37棟売却した。

 仕入れに関しては42件の都市型レジデンス開発用地や、商業店舗開発用地など23件の収益不動産の仕入れを行った。

 結果セグメントの売上高は前期比92.8%増の476億2100万円、営業利益は39.5%増の65億6800万円となった』という具合。
 
 仕入れの良さが、結果として生命線になる。例えば今年に入っても4月だけで、「マンション開発用地2件」「収益不動産用地2件」を仕入れている。かつ前期には品川区・大田区を基盤とする総合不動産業:アイディグループを子会社化するなど、拡充・差別化の施策(M&A)にも積極姿勢を示している。

 ディア・ライフが取り扱う案件は「単身orDINKS」向けが大方。少子化時代の深刻化が指摘する中一抹の「?」を感じるのは、まさに「老婆心」のなせる業だろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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