串カツ田中の株価をウォッチしたい、私的な理由

2023年4月27日 08:32

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 いま、いささかホッとしている。串カツ田中ホールディングス(東証スタンダード。以下、串カツ田中)について2021年9月14日の企業・産業欄に、『串カツ田中はなんとも非常識?な企業、とする理由』と題する記事を投稿した。コロナ禍を乗り切る一策としてECで「家庭用フライヤーと冷凍串カツ」の販売を開始したことを、皮肉ったものだ。だが本心は「とにかく乗り切って欲しい」だった。

【こちらも】串カツ田中はなんとも非常識?な企業、とする理由

 串カツ田中は「好きな」企業だ。最大の要因は、その氏素性である。代表権を坂本壽男社長に譲り会長となった貫啓二氏と現取締役相談役(元副社長)の田中洋江氏が二人三脚で、串カツ田中を生み出し育ててきた。

 その経緯はご本人たちにとっては死活問題だったろうが、私には何故か微笑ましい。貫氏は「起業したい」一心で、スタンドバーを開業した。そこに夜な夜な通ってきたのが「お酒大好き」人間の田中氏。

 いつしか「私、夜はここでバイトをする。バイト代は私の酒代とツーペーでいいわ」という状況に。が、貫氏はカクテルを作る際に、手引書と首引きでシェーカーを振る状況。バーが長く続くはずもなかった。

 2人の起業の旅は始まった。成功した時もあったが失敗も繰り返した。結局辿り着いたのが、田中氏の「幼いころ父と毎日のように通った串カツの味だった。あの味が出せれば成功する」という確信だった。

 コロナ禍の真っただ中で2020年11月期:4000万円の、21年11月期は26億円近い営業損失。前11月期は赤字幅を大幅に圧縮する「2億1000万円の営業損失」計画で始まり、着地は「1億6900万円の損失」。そして今11月期は「31.9%の増収(144億円)、7億8000万円の営業黒字計上」計画。

 売上なくして利益は出ない収益構造。その意味で第1四半期の「前年同期比49%増収(33億3200万円、四半期ベース過去最高)、営業利益1億9100万円(中間期計画3億円)」は期待を抱かせる。

 贔屓の引き倒しはまずいが、前期決算の資料にからは「長らくお待たせしました」という感を覚える。

「全国1000店舗体制を構築し・・・」は、今もって変わらず。

「串カツ田中の効率経営アプリの開発、AIを用いた自動発注サービスの導入で原材料高・人手不足⇔人件費増に対応」と、沈んでいる間の施策が日の目を・・・とする自負を見せている。

「新業態店:鳥玉・焼肉くるとん、への注力」が謳われている。

 不祥事(ハラスメント、食材不適切処理)の表面化・謝罪で一抹の不安を抱いていたはずの、複数行からの融資(5億5000万円/新業態店投資向け)も実現した。

 本稿作成中の時価は1600円台前半水準。昨年来高値から波は形成しながらも今年2月の1479円で、とりあえずコツンと底打ち。信用取引の取組は買い残増・売り残減で1.73倍と改善。IFIS目標平均株価2600円はいささか「強気に過ぎる」感を覚えるが、好きな会社の株価はウオッチしていきたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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