相場展望4月18日号 日経平均は分岐点、3月決算発表イベント攻防開始

2022年4月18日 08:51

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/14、NYダウ▲113ドル安、34,451ドル(日経新聞より抜粋
  ・市場予想を上回る四半期決算を発表した金融が買い先行し、ユナイテッドヘルスが+3%高など一時+300ドル余り上げる場面があったが、その後決算銘柄が売られた。米長期金利上昇を受け高PERのハイテクに売りが強まり、下げに転じた。セールスフォース・アップル・マイクロソフトが各▲3%下落、テスラも売られた。
  ・米株式市場は4/15からイースター(復活祭)で3連休となるため、取引終了にかけて持ち高調整の売りが膨らんだ。

【前回は】相場展望4月14日号 3月決算発表をイベントと捉えた買い仕掛け始まる 金融引き締め(金利引き上げ、B/S縮小)には注意

 2)4/15、祝日「イースター(復活祭)」で休場

●2.企業業績(ブルームバーグ)

 1)JPモルガンチェース 1~3月期▲5.2億ドル(約▲660億円)損失、ウクライナ関連損

 2)ウエールズファーゴ 1~3月期+37億ドル利益、収入は予想以上・費用は予想以下

●3.欧州中央銀行(ECB)4/14発表、物価高騰に対応し、量的緩和は夏にも終了(時事通信)

 1)3月ユーロ圏消費者物価指数は前年同期比+7.5%上昇、目標+2%を大きく上回った。

●4.ロシア関連

 1)ロシア裁判所、「偽情報を削除せず」とグーグルとウィクペディアに罰金(朝日新聞)
  ・グーグルに1,800万円、ウィクペディアに1,200万円。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/14、上海総合+38高、3,225(亜州リサーチより抜粋
  ・金融緩和の期待が高まる流れとなった。
  ・中国・国務院(内閣)は李克強・首相が主催する4/13の常務会議で、預金準備率引下げなどの金融政策を適時実施する方針を表明し、景気下支え効果が期待された。
  ・電力株が買われるなど、上海総合は2日ぶりに心理的節目の3,200を回復した。
  ・業種別では、石炭の上げが目立ち、医療機械・食品・ホテル・観光が買われた。反面、電器が冴えなく、印刷・包装・貿易・石油が売られた。

 2)4/15、上海総合▲14安、3,211(亜州リサーチより抜粋
  ・上海総合は前日に節値の3,200を回復したこともあり、利益確定売りに押された。
  ・新型コロナ感染拡大や「ゼロコロナ政策」の継続で、業績悪化の懸念が高まる。上海のロックダウン(都市封鎖)は2週間、新規感染者は2万人を連日超えの状況。
  ・中国の習近平・国家主席は4/13、視察先の海南島でゼロコロナ政策の堅持を改めて表明した。
  ・業種別では、印刷・包装や交通運輸が下げ、貿易・石炭が売られた。反面、造船・電力・航空機製造・金融が買われた。

●2.中国人民銀行4/15発表、10兆円規模の資金を市場に供給する金融緩和策へ(NHK

 1)中国人民銀行、預金準備率▲0.25%引下げて5,300億人民元を市場に供給。

 2)中国政府は新型コロナ感染拡大の影響について、危機感を強めたため。

●3.感染拡大の中国・西安市が全市民1,300万人に対し4/16から4日間外出制限(テレ朝)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/14、日経平均+328円高、27,172円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株式市場で米長期金利の上昇一服でハイテクなど主要株価指数がそろって
上昇した流れを受けて、東京市場でも売り方の買い戻しもあり買い優勢となった。
  ・中国当局の金融緩和期待や景気刺激策への期待を背景に、中国・上海株などアジアの株式市場が堅調に推移したことも追い風となった。
  ・後場、円高となり、輸出関連を中心に売りが出た。
  ・日経平均は節目の27,000円を上回る水準で戻り待ちの売りも意識されやすかった。
  ・値嵩のファストリ・ソフトバンクGが買われ、旅行需要の回復期待で空運株が上昇。一方、リクルート・三井住友FGは冴えなかった。
 
 2)4/15、日経平均▲78円、27,093円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米株式市場では米長期金利の上昇を背景にハイテクが下落した流れを受け、東京市場でも運用リスクを回避する流れとなり、精密機器・電気機器などが売られ、下げ幅は一時▲380円を超えた。一方、好決算を発表したファストリが大幅高となり、1銘柄で+185円押し上げた。
  ・ドル円も126円半ばまで進んだことから、トヨタなどの輸出関連が買われた。
  ・「今日は日経平均寄与度の高いファストリの上昇が下支えしたが、米長期金利の上昇を懸念する投資家の警戒心は依然と強い」との声があった。
  ・東エレク・アドテスト・ソフトバンクG・TDK・ソニー・エムスリーが下落。反面、ホンダ・コマツ・日立建機・セコムが上昇した。

●2.日本株:日経平均は分岐点、3月期決算シーズン入りの攻防戦開始

 1)日経平均の動向
  ・日経平均は3/9の24,717円を底に、「3月期末をイベント」にした買い仕掛けもあり3/29の28,252円まで、+3,535円高・+14.3%もの急騰となった。この上昇に当たって、「みずほ・バークレイズ」の先物市場での買いが目立った。

  ・その後、急騰の反動もあり日経平均は4/15に27,093円と▲1,159円安・▲4.1%と反落した。先物手口からみると、「バークレイズ」は3/25の121,071枚買残⇒4/4の82,379枚と▲38,692枚も売越していた。「みずほ」は反対に+17,520枚買越して相場を買い支えしていた。「野村」も+14,012枚買越した。反動安幅が上昇幅に対して小さかったのは、国内大手証券の買い支えがあったためと思われる。

  ・「3月期決算発表をイベント化」する動きがある。 「バークレイズ」が、先物で4/4の82,379枚買残⇒4/15に86,506枚と+4,127枚買越している点に注目したい。今年の相場の牽引役を演じてきた「バークレイズ」が4/5に買い転換している。ところが同じ牽引役を担ってきた「みずほ」が4/4⇒4/15に▲7,333枚売越している。さらに、「クレディスイス」も同期間で▲5,249枚売越して、3月期決算発表シーズンイベント入りの攻防戦が始まったとみえる。

 2)好材料
  ・経験則では4月株価上昇。(ただし、昨年は例外で反落)
  ・ウイズ・コロナで経済活動回復基調。

 3)懸念材料
  ・原油高など資源・穀物の高騰による企業収益悪化要因と値上げの動向。
  ・消費者物価上昇による、個人消費の縮小。
  ・米欧の金融引締策強化による金利上昇・過剰マネー収縮。
  ・2023年3月期企業業績見通し。
  ・新型コロナ感染7波の動向。
  ・ウクライナ情勢

●3.企業動向

 1)マツダ  国内2工場で4日間操業停止、中国の感染拡大で部品調達困難(NHK)
 2) 食品主要105社 6,000品目以上で平均+11%値上げ表明、6割実施済み(帝国データ)
 3)ハウス食品 家庭用香辛料98品目を7/1から10年ぶり+10.9%値上げ(FNN)
 4)JR6社  GW期間の指定席予約は昨年の1.7倍(日テレ)

●4.企業業績

 1)JAL   下期修正で通期▲1,460⇒▲1,770億円赤字(東京商工リサーチ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4208 UBE     業績好調、肥料価格上昇効果。
 ・8015 豊田通商   業績好調。
 ・4021 日産化学   業績堅調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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