相場展望10月18日 米国決算発表で今後、下方修正に注目 日本株反発の先に注視

2021年10月18日 09:45

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/14、NYダウ+534ドル高、34,912ドル(日経新聞より抜粋
  ・市場予想を上回る米主要企業の決算発表が相次ぎ、投資家心理が改善した。
  ・週間の米新規失業保険申請件数が前週から減少し29.3万件と市場予想の31.8万件を下回った。雇用回復が進んでいるとの見方が広がった。9月卸売物価指数(PPI)が前月比+0.5%と、予想+0.6%を下回り、8月の伸びから鈍化した。
  ・10/14発表の米経済指標を受け、過度なインフレや景気減速への懸念が後退したことも、株式の買い安心感につながった。
  ・PPIを受け、米長期金利が低下し、割高なハイテク株にも買いが入った。

【前回は】相場展望10月14日 衆議院選挙イベントは、不透明感浮上 世界経済成長下方修正、米国・中国が鈍化牽引

 2)10/15、NYダウ+382ドル高、35,294ドル(日経新聞)
  ・9月上旬以来の高値で終えた。
  ・米主要企業の好決算の発表が目立ち、投資家心理が上向いた。
  ・9月の米小売売上高が市場予想を上回り、米景気の減速懸念が和らいだのも株買いを促した。
  ・NYダウは8/16に付けた過去最高値35,625ドルに、あと300ドルあまりに迫った。
  ・米金融株は好決算に加え、米長期金利の上昇で利ザヤ拡大期待から買われた。
  ・9月米小売売上高が堅調だったことを受け、米消費が鈍化するとの懸念が薄れた。
  ・ハイテク株は買われたが、長期金利の上昇で割高感が意識され、上値が重かった。

●2.米国株は金融の好決算発表で上昇したが、今後の下方修正に注目

 1)NYダウはコロナ禍以降、株式市場は▲5%程度の調整したが、その後は上昇している。今回の反発も同様の流れと理解する。

 2)米国株式市場は、楽観的心理と悲観的心理が交互に入れ替わる状況になっている。そして、今は「楽観的」にある。
 (1)楽観的心理
  ・インフレは一時的である。
  ・利上げまで、まだ1年先のこと。
  ・カネ余りで株式市場に資金流入が続いている。
  ・企業の好決算発表シーズン入りへの期待。

 (2)悲観的心理
  ・インフレの高止まりと長期化。 
  ・景気後退。
  ・FRB(米国中央銀行)の資産段階的縮小と利上げの繰上げ実施。

 3)インフレ懸念材料
 (1)WTI原油価格が10/15には82.53ドルにまで上昇、今後90ドルまで突き進む可能性が出てきた。100ドルまで上昇すると指摘する見解もある。

 (2)国際商品先物指数(CRB指数)も10/15に239.27と高騰しており、2020年4/21底値の106.29から2.25倍となった。

 (3)国際海運指数(バルチック指数)の高騰、2020年5/13底値398⇒2021年10/7高値5,650 まで、14.2倍となった。
  要因
   ・コロナ禍からの景気回復による船舶需要増。
   ・荷下ろしのため港湾の沖待ち(ロサンジェルスで2週間、シアトルで一時1カ月)の長期化による船の回転悪化とコスト増。
   ・コンテナ不足。
   ・船舶の運航用重油価格の高騰によるコスト増。

 (4)労働市場は見た目よりもはるかに逼迫しているかもしれない。

 4)米決算発表の下方修正と米株式市場の動向に注目
  (1)SP500指数のPERは20.6倍で、過去最高値付近で推移している。

  (2)株式のバリュエーションが高値圏にあるだけに、7~9月期の決算発表シーズン入りし、金融株は好業績発表で株価上昇したが、今後、コスト増(原油価格・輸送費・サプライチェーン混乱の負担増)した企業決算の下方修正発表が予想される。

  (3)市場は短期的には上値よりも、売られて下値を模索する可能性が大きくなる。

 5)関連事項
  (1)国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー(原油・天然ガス)の不足で、世界経済回復が鈍化する可能性を示唆した。

  (2)国際通貨基金(IMF)は、金融危機を引き起こす種として、高騰した(1)不動産(2)暗号資産、(3)世界株式市場の急落、を指摘した。

 6)今後の懸念材料として浮上しそうな「増税」
  (1)バイデン政権は、「増税」を計画している。法人税率の上昇など増税が企業利益に影響するとなれば、株価は急落する恐れがある。

  (2)「増税」はEPS(1株利益)の低下という企業利益に悪影響をもたらす。

  (3)「増税」要因は、株式市場に織り込まれていないだけに、株価急落をおもたらす恐れがある。

 7)株式市場と債券市場の関心は、(1)インフレ指標と(2)景気動向指標に向いていると思われるだけに、さらに注視したい。

●3.米9月卸売物価指数は前年同月比+8.6%、伸び率最大を更新(共同通信より抜粋

 1)米労働省10/14発表、9月卸売物価は+8.6%上がり、8月+8.3%を一段と上回った。

 2)新型コロナ禍から経済活動再開による需要の急拡大に対し、供給網の混乱などを背景に高い物価上昇が続いた。

 3)高インフレが続けば、消費者の生活や経済への悪影響が広がるとの懸念が強まっている。

●4.米労働省10/14発表、新規失業保険申請件数29.3万件、予想31.6万件より改善(ロイター)

 1)労働力の不足で、原材料・商品生産・出荷に携わる労働者が少なくなっていることがサプライチェーンを停滞させ、インフレ上昇につながっている。

●5.サマーズ氏、インフレリスクは1970年代以降で最も大きく制御を失う恐れ(Bloombergより抜粋

 1)サマーズ元米財務長官は10/13、米国と他の地域の金融政策担当者が社会問題に注意を払い過ぎる一方、1970年代以降で最も大きくなっているインフレへのリスクに十分留意していないと批判した。

●6.米WTI原油10/15続伸し82.28ドルと、2014年10月以来、7年ぶり高値(共同通信より抜粋

 1)冬場を控えてエネルギー需要の増加が見込まれる一方、主要産油国の増産ペースが緩やかなことから、需要逼迫への警戒感が広がり、買い注文が続いた。

 2)9月米小売売上高が好調で、米景気回復の加速への期待の高まりも相場を押し上げた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/14、上海総合▲3安、3,558(亜州リサーチ)
  ・9月新規人民元建て融資や、社会融資総量が予想を下回ったことが嫌気された。
  ・9月中国物価統計はまちまちの内容。9月消費者物価指数(CPI)の上昇率は+0.7%と、市場予想+0.8%を下回った。生産者物価指数(PPI)は+10.7%上昇し、前月+9.5%から加速し、市場予想+10.5%も超えた。
  ・業種別では、医療器械の下げが目立ち、食品・家具・石油なども売られた。反面、機械・セラミックが高く、自動車・飛行機・発電設備も買われた。

 2)10/15、上海総合+14高、3,572(亜州リサーチ)
  ・中国の経済対策に期待感が強まっている。
  ・李克強・首相は10/14、「中国の経済成長は足元で減速しているが、通年発展目標の達成を確信している」と述べた。中国の7~9月期GDP成長率は、10/18に発表される。
  ・景気鈍化を不安視した売りが先行したものの下値は堅く、指数はプラスに転じた。
  ・業種別では、石油・石炭が高い。資源価格の上昇を受け、業績期待が高まっている。ハイテクも急伸、銀行・不動産・非鉄・医薬品も買われた。反面、保険・証券は冴えず、海運・発電ン・鉄鋼・インフラ関連は売られた。

●2.習主席、「中国の共同富裕は、2050年ごろまでに実現へ」を表明(ロイター)

●3.中国、9月卸売物価の上昇率+10.7%は過去最大(共同通信)

 1)中国国家統計局は10/14、9月工業品卸売物価指数(PPI)が前年同月比で+10.7%上昇したと発表した。

 2)上昇率は記録で確認できる1996年以降で過去最大となった。

4.急速に冷える中国の不動産市場、リーマンショック以降で最悪(東方新報より抜粋
 1)中国ではコロナ禍のなかで高騰した不動産価格を、当局が抑制しようとしている。8月以降、不動産市場が急激に低迷している。

 2)国家統計局によると、中国で1~7月の住宅販売額は前年同期比+30.7%増を記録したが、8月はマイナス18.7%と急落。特に下落が目立つのは、価格上昇が続いていた中古住宅市場だ。既に契約しているマンションの工事が停止した李、建物の引き渡しが延期されたりしている。駐車場の取引価格は「白菜並み」といわれるほど下がっている。

 3)中国共産党中央政治局は7月末、「不動産価格を安定させる」と方針に盛り込んだ。地方政府は、中古マンションの「参考価格」を作って価格を事実上統制し、マンション購入を許可制にするなど、様々な規制を始めた。

 4)経済アナリストの王静文氏は、「中央銀行の声明には、『住宅は保護するが、不動産企業は保護しない』というシグナルが表れている」と指摘。

●5.中国恒大集団は、元建て社債の利払い実施へ、国内優先鮮明に(時事通信)

 1)恒大は、9月下旬以降にドル建て社債の利払いを3回にわたって見送っており、未払い額は2億7,900万ドル(約320億円)に達する。

 2)期日から30日以内に利払いができなければデフォルト(債務不履行)となる。

●6.中国不動産業界関連

 1)中国地産集団は、社債2.26億ドル償還不能でデフォルトと、10/15発表(ロイター)

 2)中国恒大は、香港本社ビル売却が買い手の計画撤退で白紙に=関係筋 (ロイター)

 3)中国恒大は、長春市の用地代も資金難で31億円滞り、改めて浮き彫りに(時事通信)

 4)中国金融当局は、一部大手銀行に対し10~12月期に住宅ローン承認を加速するよう指示した。(ロイター)

●7.中国人民銀行は10/15、「恒大集団の問題は、個別事象でリスクコントロール可能」(新華社)

●8.中国各地で大規模停電、「脱石炭」が一転して石炭の増産へ(FNN)

●9.中国石油化工(シノペック)など5社は、米国産LNGの長期確保協議(ロイターより抜粋

 1)アジアの今年の天然ガス価格は5倍以上に高騰し、冬の電力不足が懸念されている。

 2)中国は今年、日本を抜いて世界最大のLNG購入者としての地位を固めることになる。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/14、日経平均+410円高、28,550円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米市場で長期金利の上昇が一服し、ハイテク株高となった流れを受けて、日本株式市場でも成長(グロース)株を中心に買い優勢となった。
  ・値嵩の半導体関連株など買いが入り、日経平均の上げ幅は一時+430円を超えた。
  ・衆議院は10/14解散、10/19公示、10/31投票の日程で実施する。
  ・与党から具体的な政策が出始めるのではないかという期待の高まりを見据えた先回り買いも支援材料の1つとなった。
  ・原油先物が80ドルと高止まりしており、コスト増による収益圧迫への懸念から海運や空運株は下落した。

 2)10/15、日経平均+517円高、29,068円(日経新聞より抜粋
  ・9/30以来の2週間ぶりの高値となった。
  ・10/14発表の9月米卸売物価指数(PPI)は市場予想を下回り、過度なインフレ懸念が後退した。米株式市場では主要企業の好決算の発表もあって続伸し、また為替が114円台とドル高・円安が進み、東京市場では採算改善が改善するとの見方から自動車・機械など輸出関連株を始め、幅広い銘柄に買いが入り、上げ幅を広げた。
  ・新型コロナ感染が低水準に抑えられ、経済活動再開への機運が高まっている。衆院選挙を前に、経済政策への期待から、日本株への買いが断続的に入った。日経平均先物に、売り方の買い戻しも入り、指数を押し上げた面もあるようだ。

●2.日本株反発の先

 1)6日移動平均線は10/15に149.64を付け、短期的な天井到達圏に入ったことを示唆。   

 2)東証1部売買高は3兆円を下回り、10/14に、上昇銘柄数と下落銘柄数が拮抗し今後の需給の方向性が読みづらくなった

 3)外資系は先物市場で、10/14に買い越したが、10/15には売り越しに転換し基調は売り越し継続か?

 4)ただし、上値抵抗ラインの75日移動平均線(28,500円)を超えたので、さらなる高値を目指す可能性が出てきた。なお、28,500円を下回ると、下落圧力が再燃するので注意したい。

 5)先物で8/21以降、自民党総裁選イベントを材料に買い仕掛けをして市場を牽引したバークレイズの買い建て玉枚数は高水準のままであることから、再び買い仕掛けをしてくる可能性がある。

●3.銅の高騰の要因は、(1)金融緩和 (2)脱炭素(Forbes JAPANより抜粋

 1)米連邦準備制度理事会(FRB)は、2022年の利上げ見通しを示した。その理由は、コロナ対応のため、大量に供給したドル資金が商品市場に流れ、価格高騰などを引き起きしている状況を是正するため。

 2)日銀によると、今年8月の銅・アルミ・鉄などの素材原料の輸入価格は、前年同月比で+69.9%上昇した。

 3)EV車の銅使用量は、ガソリン車1台の3~4倍。半導体の配線、コイルなど銅のニーズが高まると同時に、蓄電池用のニッケルや鉛の使用も増えるため、価格がさらに上昇する可能性がある。

 4)FRBの金融引き締めが始まれば、投機的な動きは抑制され、2021年前半のような急上昇の再現は考えにくい。しかし、実体経済が良くなっているので、大きく反落することはないと思われる。

●4.企業動向

 1)イオン   キャンドゥにTOB、連結子会社化を目指す(ロイター)
 2)コクヨ   鋼材価格高騰で、はさみなど平均8%値上げ(時事通信)
 3)トヨタ   部品不足で、11月は最大15万台減産(時事通信)
 4)マツダ   定年65歳に引上げへ(読売新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6289 技研製    国土強靭期待。
 ・7912 大日本印刷  ハイテク化期待。
 ・1332 日水     業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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