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国民負担率が年々上昇! これでは若者のクルマ離れも当然か
若者のクルマ離れが叫ばれる中、自動車業界では様々な取り組みが行われている。だが依然として、クルマ離れに歯止めがかからないが、これは若者の所得が低いだけでなく、国民の税負担率が大きいことも挙げられる。
1980年代、わが国は主要先進国の中で相対的に高い給与を保っていた。これは高い経済成長率と、1985年のプラザ合意による急激な円高で、ドル換算された国民所得が急上昇したからだ。そして1990年代もバブル崩壊などがあったが円高傾向が続いたため、1人当たりの国民所得は1980年代半ばから1990年代半ばまで、主要先進国の中で高水準だった。
その後、多少の上昇はあったものの、現在の給与水準は1990年代半ばで止まっているといってよいほど低水準だ。国民所得が上がらないため、クルマ離れが起きても当たり前とよく言われるデータではあるが、もう1つ、税金と社会保障費の国民負担率を見ると恐ろしいことがわかる。
財務省では、国民負担率及び租税負担率の推移を公開しているが、それを見ると、1989年(平成元年)では37.9%であり、その後34%台から39%台を推移しながら2012年(平成24年)まで30%後半を推移していた。しかし、2012年の39.8%を最後に40%以上の国民負担率になった。
そして2020年(令和2年)には46.1%と、史上最高の国民負担率になっている(2021年は44.3%)。これでは、いくら稼いでも税負担が大きすぎて、自分の手元に残るお金は少ない。
例えば、額面20万円の給与であっても、2021年では8万8600円も控除されてしまうことになる。これでは、手元に日々の生活費ギリギリしか残らないため、当然クルマの購入に回せるはずがない。働いても、給与の半分近くが国に取られている現実では、若者だけでなく、すべての国民が消費に回せる余力は減少していると言えるだろう。
消費税が8%から10%に上昇し、クルマを購入するときに支払う消費税も大きく増えた。そして、新たに導入された環境性能割も、対象は新型車で燃費に優れている場合だ。資金に余裕がない若者は中古車を購入するため、こけまでの取得税率と同じ普通車なら3%、軽自動車なら2%課税となることがほとんどであろう。
このような状況では、いつまでたっても若者のクルマ離れは止まらない。根本的な大きな減税対策を国民や法人に行い、企業も減税分を国民の給与に還元できる仕組みが、必要ではないだろうか。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)
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