住宅業者に寄り添う、日本リビング保証はどんな会社!?

2021年6月9日 17:52

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 顧客は住宅保有者ではない。住宅事業者(建設会社や管理会社)向けの、住まいのトータルソリューション事業(住宅保証サービス)。そんな事業を展開する、新興市場(東証M)の日本リビング保証(日本リビング)に着目したい。

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 代表的な商品は「住設あんしんサポート」。住宅の新築時orリフォーム時に取り付けられるキッチン・バス・トイレといった住宅設備機器の延長保証サービス。通常メーカが保証する期間は1~2年。対して日本リビングでは「平均10年間・10万円」の価格で(住宅業者に)無償の修理・交換を提供する。2012年のサービス開始以来、「契約件数:約21万件」「契約機器件数:約157万件」「取引業者数:約3500件」。

 いわば業者にとっての(同業者向け差別化)保険料。住宅事業者と.連名で共同保証という形で行われるが、住宅保有者に日本リビングの社名が知れられることはまずない。裏方サポーター。保険(保証)料は契約時に一括で支払われる。

 保証料/一括支払いに「契約件数を日々追い求めなくてはきつい収益構造」と思われる読者も少なくないと思う。だが創業(2009年)者社長の安達慶高氏自身が語っているように実際は、「分割計上された保証料が、(契約時の)翌期以降に毎年積み上げられていくために安定的な収益構造」。

 新築住宅の着工件数が横這い(年間約90万戸)傾向にある中で、業者にとっては引き渡し済みの顧客の「囲い込み」につながる。中小業者にとっては、「大手に劣らない保証サービスを提供」という武器になる。業者との連携を強化するために、(新旧の)住宅保有者の住設機器に関する問い合わせに応じるコールセンターなども、(結果的には)住宅保証サービスを売るために整備されている。

 前6月期の「18.7%増収、13.2%営業増益、30.4%最終増益」に続き今期も「22.8%増収(24億円)、52.0%営業増益(3億1000万円)、44.3%最終増益(2億6800万円)」で立ち上がり、開示済みの中間期実績は年間計画比「51%、57%、62%」で通過している。「在宅勤務浸透=リフォームメンテナンス増」「地方業者開拓がzoom営業で効率化」など、「らしき」解説も聞かれるが・・・どうか。

 順調に実績を積んでいる日本リビングが今後の展開として注力姿勢を示しているのが、「BtoC」サービス。個人持ち家3000万戸(居住中が多い)に対するサブスクサービス。「建物あんしんサポート」。新築住宅の瑕疵保険が切れる、引き渡し後10年以降のサポート。突発的な不具合に対し1不具合当たり最大200万円まで無料修理する、という枠組みの商品だ。

 新興市場には「知恵を絞り成長中」の企業が少なくない。だから妙味ある市場とも言える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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