21年3月期を既に3回上方修正した、宝HDの理由

2021年5月7日 16:22

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 第3四半期開示に至る過程で、3回の上方修正。「期初計画を積算するに当たり、事業環境を読み切れなかった」と言ってしまえばそれまでだが・・・。やはり興味をそそられる。宝ホールディングス。周知のとおり傘下に「宝酒造」と「タカラバイオ」を有する。

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 まずは期初計画「4.0%減収、36.9%の営業減益、43.2%最終減益」からの修正過程をなぞっておく。1回目の「1.9%減収、24.2%営業減益、33.7%最終減益」から、2回目は「2.6%、12.9%、20.9%の減収減益」。それが3回目には1.5%減収(2770億円)も、「21.2%営業増益(192億円)、8.0%最終増益(97億円)」といった具合。何故か。

 第3四半期では、こんな状況が見て取れる。「宝酒造」セクターは「0.7%増収(1197億5700万円)、23.3%営業増益(61億4500万円)」に対し「タカラバイオ」セクターは、「20.3%増収(295億4900万円)、126.6%営業増益(87億9000万円)」。

 売上高構成比では「酒」部門が通常通り75%水準にある。だが営業利益ではバイオ部門が60%以上を占めるに至っている。アナリストはこう噛み砕く。「酒部門はコロナ禍の中で業務用が減少したが、宝焼酎に代表される商品が『家飲み』効果で奮闘した」。ではバイオ部門の大幅な増益は、どう理解すればよいのか。

 タカラバイオは、遺伝子技術などの革新的なバイオ技術開発で知られる。現状では「腫瘍溶解性ウィルスC-REV」「レトロネクチン法(高効率遺伝子導入技術)」「レトロネクチン拡大培養法」などの臨床開発の進行が伝えられている。正直、記していて正確な内容は把握できない。タカラバイオの医学界における、身近に受け止められる成果はないものかと考えた。こんな事実を知った。

 昨年11月に国は、『サプライチェーン対策のための、国内投資促進事業費補助金』対象技術(企業)を選定した。宝HD(タカラバイオ)も選ばれた。件の新型コロナウイルスの感染の有無を調べる、PCR検査用の試薬が対象となった。

 タカラバイオは本社工場(滋賀県草津市)と中国の大連市の工場で検査用試薬を製造してきた。それが認められた。タカラバイオでは2月1日、「国の補助金を活かし、国内の生産能力を現行の約8倍(月産800万)検体分を供給できる体制を、今年夏場までに整える。再び感染症が流行しても検査試薬を国内の工場で供給できるような体制を築く」と公にした。

 株価は、「3回目の上方修正」「PCR検査試薬8倍増計画」が出揃うのを待っていたように2月に急伸過程入りしている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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