経産省が「攻めのIT経営銘柄(DX銘柄)」を選定する目的と投資価値 後編

2021年4月21日 07:26

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 「攻めのIT経営銘柄(もしくはDX銘柄)」の選定については、「攻めのIT経営(2019年からはDXに関する意識調査)」のアンケート調査に参加することがエントリー条件とされており、企業への自発的な行動が求められている。銘柄に選定されるのは毎年30社程度であるにも関わらず、2020年には535社のエントリーがあったことからも、年々注目度が高くなっていることは間違いない。

【前回は】経産省が「攻めのIT経営銘柄(DX銘柄)」を選定する目的と投資価値 前編

 そして、経済産業省と東京証券取引所が選定する銘柄であるならば、そこに1つの忖度が働くのではないかという期待が膨らむ。つまり、金融緩和の結果として、今や日本最大の投資家となってしまった日本銀行と、世界最大規模の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、積極的に投資を進める企業にならないだろうか。

 そこで今回、2015年から2020年の6年間連続して「攻めのIT経営銘柄(DX銘柄)」に選定されている「5社」の企業をピックアップし、日本銀行とGPIFの持株比率を確認していきたい。なお、日本銀行については、ETF(上場投資信託)の買い入れによって株価を下支えてしているため、間接的な株式保有である。

 まず、1社目はアサヒグループホールディングス(2502)であるが、日本銀行とGPIFが保有していると推定される時価総額の合計は3,200億円程度で、持株比率が約17%であった。2社目のブリヂストン(2108)は、同じく時価総額は3,800億円程度で持株比率が約15%、3社目の東日本旅客鉄道(9020)は、時価総額は4,300億円程度で持株比率が15%程度となっている。

 残る2社については、日本銀行の保有額の確認ができなかったため、GPIFが公開している情報のみが参照となるが、JFEホールディングス(5411)は時価総額2,565億円程度で持株比率が約8%、東京センチュリー(8439)は、時価総額121億円程度で持株比率は約3%であった。

 東京証券取引所に上場している企業は約3700社あるが、GPIFが公開している保有銘柄の持株比率ランキングでは、東京センチュリー以外の4社について上位300社に入っているため、それなりの投資先として見込まれていることは間違いないだろう。一方で、東京センチュリーについては、GPIFの持株比率ランキングでも1800位程度であった。

 そもそも「攻めのIT経営銘柄(DX銘柄)」の選定基準の1つとして、同業界におけるROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が一定基準以上というスクリーニングがあるため、銘柄に選定されていないとしても、高い成長性が見込まれる企業であることが財務指標から読み取れる企業であったはずだ。

 つまり、「攻めのIT経営銘柄(DX銘柄)」に選定された企業は、忖度の有無を問わずしても、IT活用によって急成長を遂げる可能性がある投資先として、一定の価値があるといえるのでは、ないだろうか。次回以降、これらの銘柄がアベノミクスやコロナ禍を経て、株価がどのように推移してきたかを考察していきたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

関連キーワードJR東日本アベノミクスブリヂストンGPIF経済産業省

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