壽屋はフィギュア、プラモデルで異色の玩具屋

2021年2月10日 16:33

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 「成長株の中長期投資で資産を作る」が株式投資に関する持論。だが株式市場(株価)動向が、企業収益だけで決まるものでないことは承知している。

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 旧日本短波放送に就職(1973年)。早々に兜町倶楽部担当記者に配属された時、先輩に1冊の本を差し出され「読め」と命じられた。作家:故清水一行(いっこう)氏が1966年(昭和41年)に刊行した『兜町(しま)』だった。実在した「最後の相場師」と称された人物をモデルに、「株式市場の裏側」「兜町の実態」を詳細に記した書下ろしだった。いま読み返しても「今」に通用する1冊である。株の世界に興味がある方には、是非読んでいただきたい。

 前ぶりが長くなった。本稿を書くキッケはご本人には失礼だが、清水一行(かずゆき)なる人物が社長を務める壽屋なる企業(JQ市場)を知ったからである。「清水一行」の4文字に何故か懐かしさを覚えたがゆえである。

 壽屋は「版権取得に強み」とされる、いわゆるフィギュアやプラモデルの企画・製造・販売を展開する企業。例えば昨今話題の「鬼滅の刃」関連のフィギュアなども手掛けている。

 と記すと時流に乗った企業のイメージが先行するが、創業は1947年。東京都立川市に設立された広義の玩具屋である。現状の事業展開を始めたのは、1989年に可動式モデルキットの開発販売が契機となった。

 中国の企業に生産を委託しているファブレス企業。今6月期は「5.8%の増収(78億円)、22.6%の営業増益(2億8000万円)」計画で立ち上がり、開示済みの第1四半期は「売上高18億5400万円:前年同期比15.8%増、営業利益8100万円:前年同期9700万円の営業赤字」はコロナ禍にもかかわらず順調な立ち上がりとなった。

 「鬼滅の刃効果」とする評価も聞かれるが、清水社長は「否定はしない。だが黒字回復には他の要因も大きい。自社商品の海外販売が伸びている。特に中国はコロナ以前の需要が完全に回復している。また自社IPコンテンツ(キャラクターなどの知的財産権)が7種類にまで増えており、海外で好評を博している。自社IP分野は今後も拡充を図る」とする。

 自社IP事業は一口で言うと、デジタル事業。パートナー企業と協業で「仮想現実(VR)」「拡張現実(AR)」空間にキャラクターを登場させる、AIを活かしキャラクターと会話ができる遊び方を視野に入れている。

 アナリストは「事業の構造転換が進んだのも、黒字化の大きな要因。売上高に重点を置き売れないものにまで手を出していた。それを(フィギュア等の)原型師が(絶対数は減るが)自信作を生み出す体制にシフトした」ともしている。

 日本(壽屋)独自フィギュア・プラモデルが世界を制す、清水一行さんと一緒に見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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