トヨタ、新型「MIRAI」を発売 コンセプトはEDGE

2020年12月11日 08:43

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新型MIRAI フロント(トヨタ自動車の発表資料より)

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  • 新型MIRAI リヤ(トヨタ自動車の発表資料より)
  • 燃料電池ユニット(トヨタ自動車の発表資料より)
  • インテリア ホワイト&ダークブラウン(トヨタ自動車の発表資料より)
  • インテリア ブラック(トヨタ自動車の発表資料より)
  • 空気清浄メーター(トヨタ自動車の発表資料より)
  • 外部給電アウトレット(トヨタ自動車の発表資料より)
  • プリクラッシュセーフティ 交差点右折時の対向直進車・右左折時の対向方向からくる横断歩行者検知機能(トヨタ自動車の発表資料より)

 トヨタ自動車は9日、燃料電池自動車(FCV)MIRAIの新型を発売した。初代MIRAIは世界中で累計1万台を販売。日本では主企業向けとして販売を開始し、その後各構成部品の安定供給が可能になったことから一般ユーザー向けにも提供をしていた。新型MIRAIの生産は元町工場にて行われる。

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■価格とグレード

 新型MIRAIのグレードは、標準グレードのG、上級グレードのZが設定されており、どちらのグレードにも高級感を出した“Executive Package”が設定された。標準グレードのGには駐車を自動で行うToyota Teammate Advanced Parkを装備した“A Package”が設定されている。

 価格は標準グレードのGが710万円、G“A Package”が735万円、G“Executive Package”が755万円。上級グレードのZが790万円、Z“Executive Package”が805万円。なお、新型MIRAIは各種優遇税制、補助金などがあり、およそ139万から141万の優遇が受けられる。

■新型MIRAIの概要

 フルモデルチェンジとなった新型MIRAIは、TNGAプラットフォームのGA-Lを採用し、FRの5人乗りとなった。先代に比べて、全長は+85mm、全幅は+70mmと全体的に大型化したが全高は65mm下がったことで、低重心に見えるスタイリングを手に入れた。

 肝心のFCシステムは新開発されるとともにレイアウトも一新され、航続距離は最大850kmになった。これには水素タンクが初代の2本から3本になったことも大きく関係している。パワーユニットにあたるFCスタックは足元からガソリン車などと同じようにフロントに配置され、空いた部分に縦置きで水素タンクを配置した。

■開発コンセプトはEDGE

 どの車にも開発されるにあたりコンセプトがベースとなるのだが、今回の新型MIRAIにつけられた開発コンセプトは「EDGE」。「Emotional Distinctive Genius Enjoyable」の頭文字をとったものになる。今回の記事ではそのコンセプトに沿って新型MIRAIを紹介する。

■Emotional = 感性に訴えるデザイン

 まず、最初に来るのが「Emotional = 感性に訴えるデザイン」だが、これはデザインということでエクステリア、インテリアということになる。

 見てわかる通り、フロントはかなり個性的なデザインになっている。台形のロアグリルと2つに分かれたエクステリアランプがあるだけでシンプルだが、見ただけですぐわかるようなデザインと、つい振り返ってしまうデザインの両方を表現している。

 なお上側のエクステリアランプはBi-Beam LED ヘッドランプを採用しており、Z“Executive Package”、Zはアダプティブハイビームシステムの2眼で構成されている。

 リヤは低重心を強調しており、リヤコンビネーションランプは横一文字デザインを採用した。形状は現行スープラとハリアーを彷彿させるようなデザインになっている。トヨタでのデザイントレンドはこのようなものになっているのだろう。

 ボディカラーは全8色でフォースブルーマルティプルレイヤーズ<8Y7>が新規開発色としてラインアップされた。

 インテリアのデザインは、運転席側には「包まれ感」を、助手席側へは「拡がり感」を表現した。

 運転に必要な情報機能は大型の12.3インチ高精細TFTワイドタッチセンターディスプレイに集約され、メーターパネルと連続して配置することで一体感をもたらしている。Z“Executive Package”、Zに標準装備されているカラーヘッドアップディスプレイも、幅560mm×高さ130mmと大型のものが採用され、視認性を向上。

 インストルメントパネルには柔らかい素材や金属調加飾のコントラストが表現され、カッパー加飾なども新規開発がされている。

 リヤシートは乗員が2人から3人に増えたが、室内空間を拡大したことでゆったりとしたスペースになった。シートには快適温熱シートやシートベンチレーションが採用され、冬場の寒い時期でも温かく過ごすことができる。

 “Executive Package”にはさらなる快適性ということで、可倒式ヘッドレストやアシストグリップなどが設定されている。インテリアカラーはプレミアム感を出したホワイト&ダークブラウン、スポーツマインドを表現するブラックの2パターンがある。

■Distinctive = 唯一無二の走り

 走行に関係する「Distinctive = 唯一無二の走り」だが、主な意図としては、「意のままのハンドリングと静粛かつ快適な乗り心地」そして、「スムーズで力強い走行性能」があげられる。

 走りの面では全車速域でのピークトルクの向上が図られ、Gに関してもアクセルを踏んだ初期応答、そこからの加速度ピークまでの時間が初代の約半分になっておりレスポンスも上がっている。それにより、ドライバーの要求に対してのドライブフィールは向上したという。

 またMT車のエンジンブレーキのように働く「Brモード」もシフトポジションの1つに設定された。静粛性に関してはフロア全体に制振材を塗布し、新開発FCユニットのノイズ発生を全方位で見直したことで、低減を行った。

 新型MIRAIは、フロントとリヤの重量配分を50:50にすることで慣性諸元を最適化した。さらに冒頭でも説明したが低重心化を行ったことで、ハイレベルの操縦安定性や姿勢変化の少ない快適な乗り心地を作り上げた。

 FCVの心臓とも呼べる新開発のFCスタックは、フード下にレイアウトを変更。燃料電池は小型化と世界最高レベルの高出力化に成功し、FC昇圧コンバーター、パワーコントロールユニットなどと合わせることで最高出力は128kW(174PS)となった。高圧水素タンクは先にも述べたが、2本から3本になり高出力モーターの充電圧力は高圧の70MPaとなった。

■Genius = 一歩先を行くあふれる先進性

 先進性ということだが、新型MIRAIには気になる新機能も多く採用されている。

 まずは「ゼロエミッション」ではなく「マイナスエミッション」だ。概念としては「走れば走るほど空気をきれいにする」というものだ。空気清浄システムを新開発して、吸入した空気をきれいな状態にして排出する。

 まず、エアクリーナーエレメントに加工を行い、PM2.5レベルの細かい粒子までキャッチ。そして、ケミカルフィルターで有害な化学物質を除去してPM2.5の発生を抑制する。結果として走れば走るほど空気をきれいにする。12.3インチ高精細TFTワイドタッチセンターディスプレイでは、空気清浄メーターを表示することが可能で、きれいにした空気量はランナーのグラフィックと数字でわかりやすく表示をする。

 ほかには、水素と酸素の化学反応で電力を生み出すことにより発生する電気を使用する、DC外部給電システムを装着しており、非常時などに電力を住宅や電気製品に供給できる。

 予防安全パッケージは最新型となる「次世代Toyota Safety Sense」を標準装備。おなじみの機能に加え、新サポートも追加されている。プリクラッシュセーフティには、交差点右左折支援(横断歩行者・対向車両)、緊急時操舵支援、低速時加速抑制の3つが追加。レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)にはカーブ速度抑制機能が追加され、レーントレーシングもピニオン角による舵角フィードバック制御を採用するなど進化を遂げている。

 ユニークな機能としてはカメラ洗浄システムを紹介する。リヤウォッシャースイッチと連動することえ、バックカメラ、デジタルインナーミラー用カメラの汚れを落としてくれる装備だ。

■ Enjoyable = 距離を気にしない安心の走行

 走行可能距離に関しても先代の650kmに比べ、新型MIRAIはGグレード(”A Package”、“Executive Package”含む)は850km、Zグレードと Z“Executive Package”は750kmと、約100~200kmの延長に成功している。

距離の問題はすでに解消されているが、問題は水素ステーションだ。2020年7月現在は全国157基が開業または準備中となっており、その数はまだまだ少ない。設置されていない県ももちろんある。旅行や遠出をした時に必要となるものなので早めの整備を期待したいところだが、整備目標は2020年度までに160基、2025年度までに320基程度と、まだまだその数は足りないように思える。

開発コンセプトをベースに多くの部分が進化した新型MIRAI。早く街中で走っているのを見てみたいところだ。(記事:キーパー・記事一覧を見る

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