ふるさと納税返礼品の「おせち」発送中止、製造元の小野瀬水産が破産開始

2020年1月9日 18:39

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 茨城県筑西市のふるさと納税の返礼品であるおせちが、配送遅延や取りやめとなっていた問題をめぐり、製造元である同市の小野瀬水産などが東京地裁から7日に破産手続きの開始決定を受けていたことが、8日判明した。小野瀬水産の関連会社で飲食店を運営する小野瀬フーズについても、同様に破産手続きの開始が決定した。

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 小野瀬水産は、1977年創業の鮮魚販売業者。1982年に法人化し、1991年には飲食店部門が分社化されて小野瀬フーズとなった。当初は小売業を中心に営んでいた小野瀬水産だが、小野瀬フーズや周辺飲食店に鮮魚や魚介の加工品などを販売する卸売業へと転換。

 一方の小野瀬フーズは飲食店の運営を行い、茨城県や栃木県などの関東圏で和食レストラン「ごほう」や回転寿司「すし勢」など複数の飲食店を展開していた。

 近年はおせち消費の減少や他の飲食チェーンとの競争激化などによって苦戦を強いられており、売上はピーク時の3分の1以下に落ち込んでいたようだ。業績の悪化により赤字経営を余儀なくされ、金融機関の支援のもとで経営再建に取り組んでいたものの、思うように好転せず、事業継続を断念することとなった。

 2019年末にふるさと納税返礼品のおせち料理の製造が追いつかないというトラブルが発生しており、先行きの見通しが不明瞭になったことが直接の原因とみられる。

 おせちの製造が年末までに間に合わず受け取れない人が発生した問題は、多くのメディアに取り上げられ、筑西市の須藤茂市長が謝罪する事態に発展していた。配送の遅延があったほか、358件では配送中止となり、筑西市は予定通りおせちを受け取れなかった人に向けておわび状を送付した。

 また茨城県古河市のふるさと納税返礼品でも、小野瀬水産が請け負ったおせちが使われており、同様に配送遅延や配送中止などの問題が発生していたことが判明している。

 東京商工リサーチによると、小野瀬水産は約1億7,000万円、小野瀬フーズは約8億円の負債を抱え、2社を合計すると10億円近くの負債となる。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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