関連記事
トヨタ、19年3月期決算で初の売上高30兆円超え 社長「慢心が最大の敵」と語る
決算発表で記者会見を行う豊田章男社長。(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]
トヨタ自動車は8日、2018年4月~2019年3月期の連結決算を発表した。売上高は30兆2256億円(前期比2.9%増)と日本企業初めて30兆円を記録した。営業利益は2兆4675億円(前期比2.8%増)、税引前純利益は2兆2854億円(同12.8%減)、純利益は1兆8828億円(同24.5%減)。純利益減は「未実現持分証券評価損益」の影響だ。
【こちらも】『なぜ、クルマは着替えないの?』トヨタのKINTO サブスクリプションサービスがトレンド
日本国内を含む全世界販売台数は、連結(ダイハツ工業や日野自動車を含む)グループ全体で19年3月期は1060万台を記録し、過去最高を更新した。国内や米国販売は頭打ち。中国や欧州が好調に推移した。日本国内に限ってみると、普通乗用車販売台数は222万6000台(前年比1.3%減)となった。しかし「トヨタとレクサス」ブランドの日本国内の販売シェアは45.9%と、国内販売台数の約半数をトヨタが占める結果が続いている。「軽自動車・普通乗用車」の販売シェアは、ダイハツ・日野ブランドを含めると43.6%と、これも相変わらず圧倒的シェアを誇っている。
日経新聞の報道によると、豊田章男社長は“「19年3月期に初めて売上高が30兆円を超えた。お客や販売店、仕入れ先、従業員、すべての人たちがコツコツと積み上げてきた結果だ。あらためて達成できたこと、トヨタを支えていただいたことに感謝申し上げたい」”と語っている。加えて“『トヨタは大丈夫、という気持ちが一番、危機につながるのではないか』”とも語っているようだ。
さらに株主に対しては、“「この数年間、設備投資、研究開発費、株主還元にそれぞれ1兆円を投じて未来への投資をしている。この還元を続ける実力を維持し、未来への投資を遅らせないことが大きな課題だ」”と語り、自社株買いを実施するという。
2019年3月期については、“「あえて一言で表すと未来に向けてトヨタのフルモデルチェンジに取り組んだ1年と言える。未来への積極投資はできたが、原価をつくりこむ活動、風土改革は道半ば」”と語った。
豊田社長は、“「保護主義の考えが広がっているが資源のない日本は単独では生きていけない。わたしたち企業も単独では生きていけない」と強調。『これからは仲間作りがキーワード。資本の論理では本当の仲間はつくれない』”と経営方針の要について語った。
これらの言葉から、日本風に言えば「勝って兜の緒を締めよ」と言ったところであろうか。米中貿易摩擦、日米貿易交渉がどのような決着を見せるのか?結果によっては世界経済の行方が分からなくなるが、ますます中国市場での販売が重要となってきた。
トヨタは、2018年は中国市場で大幅に売り上げを伸ばした(レクサス販売台数は前年比21%増の16万500台)が、その主力はどうやら「レクサスES」にあったようだ。この車の人気は特別なようで、中国全体の市場が縮小(前年比2.8%減)する中で「行列」が出来たようだ。2019年4月の単月で、レクサスは「前年同月比46%増」の2万1800台を記録している。
一方で、ベンツ、BMWは生産が米国工場であり、米国から中国市場に向けての輸出となり、追加関税の影響をまともに受けてしまった。中国における高級車市場では相対的にレクサスがお得となって、人気が沸騰したとの見方もある。
とは言え、「トヨタ・レクサス」ブランドの中国市場でのシェアはまだわずかであり、これからが本番だ。トヨタは、中国市場でのEV車も生産販売を本格化する。広汽トヨタ自動車で40万台の生産増強を図り、第一汽車集団との合弁会社も含めて中国での自動車生産能力156万台を確保する。フォルクスワーゲン(VW)も、上海汽車集団と30万台のEV生産能力向上を準備している。
中国政府は、2019年から「一定比率の新エネ車(EV・FCV・PHEV)の製造を義務付ける(NEV規制)」ことを実施。各社は、電動車生産販売に取り組まねばガソリン車も売れなくなってしまう情勢だ。トヨタもとうとうBEV(純粋EV)を中国で販売開始したが、順次、車種と販売地域を増やしていくこととなる。
世界市場については、CASEに対する投資は万全であるように見受けられるが、自動車市場をめぐるCASEの動きは予断を許さないため、巨大な先行投資が誤りでないことを祈るしかない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
スポンサードリンク