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1年間で株価が1/5になってしまった「レオパレス21」、未だに事態は拡大中?
19日、石井啓一国交相はレオパレス21が18年4~5月に建築基準法違反の疑いがあると公表した物件で、優先調査対象とした約1万5,000棟のうち、1月末時点で173自治体の1895棟の物件に建築基準法違反が確認されたと発表した。対象件数の約12%に建築基準法違反が確認されたことになる。
建物の延焼を防止するために不可欠とされ、天井裏に設置が必要な界壁という部材が未設置か、設置範囲が不足した状態だった。同社では特に危険性が高い物件に入居する7,800人に、3月末までの転居を求めている。問題物件の入居者が概ね1万5,000人と見られることから、そのうちの約50%が緊急避難を迫られている。
レオパレス21は遊休地を所有する地主に照準を絞って、(1) 更地に賃貸物件を建設すると、土地の評価額が下がって節税対策になること、(2) サブリース契約を締結して家賃保証をするので、安定収入が見込めること、(3)入居管理はレオパレス21が行うので、煩わしい手間がないこと、等を前面に打ち出して“執拗”とも形容される営業攻勢を展開してきた。
「かぼちゃの馬車」でも大きな注目を集めた“サブリース”には、素人の期待を裏切る家賃保証のカラクリがある。賃貸物件を地主に売りつけた業者が借家人となって、アパートの家賃保証をするため、素人の大家は貸主になる。借地借家法は弱い立場の借家人が、大家の横暴に泣かされることがないように、借家人を手厚く保護している。例えば、サブリース契約でアパートを一括賃借する海千山千のレオパレス21は、サブリース契約の条件に拘わらず将来の任意の時に賃料の増減を請求できる。保証されていた筈の賃料収入を減額されても、素人の大家に対抗手段はない。
レオパレス21の株価は18年5月に最高値の1023円を付けたが、18日には一時200円を切る水準まで低下している。例えば100万円の資産があると思っていた人が、ふと気が付くと20万円になっていたということだ。
レオパレスのオーナーは入居者の転出リスクに晒され、サブリース契約の切り下げリスクを抱える。入居者は年度末の繁忙期に意に沿わない転居を迫られる。投資家は投資先企業の不始末で資産の大幅な目減りに直面する。もはや、社会問題と化したレオパレス21問題の怖さは、もしかしたら始まったばかりかも知れないところにある。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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