サッポロに対し物言う株主が指摘する「資本効率の低迷」は、間違っていない!?

2025年4月1日 11:33

印刷

 改めて小心者だと我が身を振り返っている。手にした四季報「春」号を早々に、パラパラ読みした。目にとまったのは業績欄の見出しが【好転】と記されたサッポロホールディングス(2501、東証プライム市場)、そして同じ頁の【一歩後退】のアサヒグループホールディングス(2502、東証プライム市場)。

【こちらも】中興の祖:鹿島守之助没後50年、揺るぎない経営地盤の鹿島株とどう取り組むか

 私は1988年以降、アサヒビールを家飲みでは一切口にしていない。何故か。1987年末に日本能率協会コンサルティングから、2冊のビジネス書が発刊されている。一冊は大ヒットした石山順也氏の、『アサヒビールの挑戦』。そしていま一冊が拙著『金融業はこう変わる』、2刷りとまり。

 前者はアサヒが命運をかけた「スーパードライ」の誕生秘話。私もスーパードライを気に入り一時、愛飲した。が全く口にしなくなったのは出版記念会の通知が届いて以来。

 石山氏の師匠筋に当たる故梶原一明氏から、「出てやれ」と背中を押され「金一万円也」を支払わされ参加した結果だった。「敗北感」を痛感した。以来スーパードライは口にしていない。根性曲がりの我が身を重々承知しながらである。口にするのは、サッポロのYEBISU。

 四季報の2社を読み比べて気になったのが、サッポロの【物言う株主】という見出しの材料欄。「筆頭株主の3Dが取締役選任の株主提案、資本効率の低迷を指摘。サッポロは反対」と記されている。確かに2月19日付けでサッポロは「3D社からの書簡受領」と題するリリースを配信。その中で「反対姿勢」を明確にしている。

 が「資本効率の低迷」は事実。企業が株主や銀行から調達した資金を効率的に使っているかどうか(資本効率)は、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)が指標とされる。

 周知のとおり例えばROEは「8%」がメルクマールとされている。本稿作成時点でサッポロの株価は7000円台終盤、ROEは4.08%水準(アサヒ:7.5%水準)。資本効率の低迷は、指摘されて当然と言える。物言う株主に分がある。

 また不動産流動化の内容に関して「年内に結論」としているが、流動化で不動産部門(2024年12月期の総売上高246億円)は連結対象から外れる。収益動向に与える影響も少なくない。過去9年余の修正済み株価パフォーマンス:44%を振り返った時、不動産部門の寄与度も否定できない。

 IFIS目標平均株価は算出者の2人中1人が「中立」、1人が「弱気」。5950円。時価より2000円方下値にある。YEBISUの味と比べ株式市場の評価は低い・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事