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自動車メーカーのプラットフォーム開発競争(1)目的は決算書 利益率と生産技術の関係
■目的は決算書
世界の自動車メーカーの新プラットフォーム開発競争が激しさを増している。「なぜ?それほど加熱するのか?」と問われれば、それは「決算書の利益率を上げるため」であり、また、それを持続できる体質を構築するため「市場の変化に強くなる」ことが目的なのだ。つまり「平準化」が目的だ。
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つまらぬ目的で恐縮だが、クルマのユーザーは「コストパフォーマンス」を求め、企業は「利益」を求めるのが基本であり、それが行き過ぎない限り正常な姿だ。企業は、この利益を求めるために重要なのが「商品力」だが、必要な性能・価格でタイムリーに提供できないと商売は成り立たない。“ジャスト・イン・タイムが重要”とわざわざ言われなくとも当然の心理だ。そこでユーザー側が、重要でありながら見過ごしているのが「生産技術」の問題だ。ユーザーとしては結果として商品に満足できれば良いから見過ごしがちなのだが、自動車ジャーナリストが見過ごしていては実態をユーザーに伝えられない。
最近開発されたプラットフォームと言えば、マツダ・スカイアクティブ、トヨタ・TNGA、スバル・SGP、スズキ・ハーテクト、ニッサン・CMF、WV・MQB、ボルボ・SPA/CMAなどと目白押しだ。この中で先行していたのがマツダだ。トヨタは大規模であり最も効果が期待できる。そして、注目すべき動きは、スズキの軽自動車において140kgの軽量化に成功していることだ。将来の展望が難しい点で、最も苦しいのは日産だ。それは3事業、体つまり3企業の連合体だからだ。これを統一企業としてコントロールすることは、初めからハンディを背負っていると言える。
プラットフォーム開発に成功するとは「利益率向上」に成功することだ。かつて、リーマンショックで市場が縮小する中、赤字に転落してしまったトヨタが慌てていたが、生産台数世界一を目指して商品開発にいそしんでみたら世界一になれた。しかし、市場が縮小していく中で売り上げが落ちると、車種が多すぎるためそれぞれ別の造り方になっており、コストを連動して下げることが出来なかった。これは、コスト要因の中で固定費となっているものが多く、変動費とできなかったことによるものだった。それでトヨタはこの結果、慌てて変動できるコスト構成を目指してTNGA(トヨタ・グローバル・アーキテクチャー)を進めることとしたのだった。つまり、変動費と固定費は「造り方」でかなり変えられるということなのだ。これは、会計技術者の中ではあまり知られていない。
この方向性はどのメーカーも同じで、生産性向上と共に、変動に強いことは企業経営にとって大変重要なことだ。「平準化」はコスト要因としては重要なのだ。その大目標の中で、商品力を上げていかねばならず、可能とする技術開発が盛んにおこなわれているのだ。だから、プラットフォームの性能向上は、間接的でも必ず決算書の「利益率向上に結び付く」ことが必須であり当然なのだ。
次は、経理知識だけの経営者には、あまり理解されていない「生産技術」について追ってみる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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