JR東とタクシー3社、Suica履歴使い近距離経費の精算自動化を実証実験

2017年9月26日 06:20

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Suicaデータサーバーと「Concur Expense」 実証実験イメージ(画像: JR東日本の発表資料より)

Suicaデータサーバーと「Concur Expense」 実証実験イメージ(画像: JR東日本の発表資料より)[写真拡大]

 JR東日本は、コンカーの「Concur Expense」を使用し、日本交通、国際自動車、大和自動車交通とともに近距離交通費の経費精算自動化の実証実験を開始する。

【こちらも】Suica履歴から自動でデータ入力、交通費精算簡素化のシステム JR東らが開発

 これはSuicaの利用履歴データを活用した共同実証実験で、鉄道およびタクシー等の利用履歴データを経費精算クラウド「Concur Expense」に連携し、近距離交通費の経費精算に費やす時間を削減しようとするもの。実証実験は2017年10月から開始する。

 これまでもJR東日本はSuicaの利用履歴を自動的に入力するシステムの提供をさまざまな企業向けにローカライズし行っている。近年は少子高齢化が加速し、労働人口が減少、あらゆる場面で人材不足問題が深刻化している。経費精算においては、本人の清算意向に確認作業を省略することができないため、経理での人材不足はあらゆる経理業務の停滞に繋がる。

 一方で、日本企業の働き方改革の実現には、様々な模索が続いている。労働人口が減りつつある中、業態にドラスティックな手法を用いなければ、労働生産性を上げることは難しい。コンカーの「サラリーマンの経費精算に関する実態調査」(2016年3月)によると、利益を生まない間接費のひとつとされる経費精算業務に日本人は生涯で平均52日を費やしているとされ、そうした間接費の削減が叫ばれている。

 経費精算業務にSuicaのデータを利用できることは確認作業の削減に加え、精算の透明化につながる。当事者にとっても清算業務に費やされていた時間をほかの時間に回すことができ、働き方改革の一助となる。

 「Concur Expense」は出張旅費・交際費・近距離交通費など、間接費管理をクラウド上で統合管理できる企業向けのサービス。コンカーは全世界で年間約4億件以上の経費精算処理を行っている。同サービスに格納された国内の経費支出データを分析すると、サラリーマンの行う経費精算の約半分が鉄道、タクシー等の近距離交通費が占めていることがわかった。

 こうした背景を受け、今回の実証実験では鉄道とタクシー等の利用履歴データを「Concur Expense」と直接連携させ、近距離交通費の経費入力業務の完全自動化を目指す。コンカーはこの事業を全国で展開することを目標としており、Suica以外の交通系ICカードでの実証実験の実施に向け、現在複数の交通系ICカード発行事業者と交渉を重ねている最中だ。こういった仕組みが広がれば、交通費精算はすべて自動入力となる日も近いかもしれない。(記事:M_imai・記事一覧を見る

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