JT、「桃の天然水」など飲料事業から撤退　たばこ・医薬・加工食品に集中

　JT(日本たばこ産業)は4日、飲料製品の製造販売事業から撤退すること決定し、事業終了の時期は本年9月末を予定していると発表した。

　撤退理由のひとつは、飲料市場全体が成熟し事業規模が優劣を決する構造にあるが、同社の事業規模は優位性を発揮できる規模ではないこと。もうひとつは、商品のライフサイクルが短期化する中で、安定的かつ継続的な収益基盤を確保するには、積極的な販促活動で規模を追求しつつ、高品質・独自性を追求した商品を短期間で開発し続けなければならないが、同社にとっては、それらを実施するには厳しい事業環境にあることとしている。

　これらの理由で飲料事業をこのまま継続しても、同社グループにとって中長期的な成長に貢献しないと判断し、経営資源の配分など全体最適の観点から撤退を決定した。

　今後は、たばこ事業の競争力強化のための投資を優先するともに、医薬事業、加工食品事業について、事業基盤の強化に向けた投資を実行し、中長期にわたる持続的な利益成長を図るという。

　なお、自販機オペレーター事業については従来通り継続し、今後様々な可能性を検討するという。

　同社は、飲料事業に1988年に参入し、「ルーツ」、「桃の天然水」などを販売、同事業の2014年3月期の売上高は約500億円であった。なお、事業撤退による飲料事業部門の社員は配置転換を行い、ジェイティ飲料株式会社の社員は、再雇用を基本に対応する。事業撤退による業績への影響は2014年12月の連結業績には影響しないが、本年12月期の業績への影響は未定としている。（記事：阪木朱玲・記事一覧を見る）