豊田通商、最大1.5倍の収量とおいしさを両立した新品種でコメ事業に参入

2015年1月24日 22:24

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コシヒカリと新品種の穂の比較(豊田通商の発表資料より)

コシヒカリと新品種の穂の比較(豊田通商の発表資料より)[写真拡大]

 豊田通商は23日、新品種を軸にして国内産のコメ事業に参入すると発表した。

 同社は、出資する水稲種子開発ベンチャー企業の「水稲生産技術研究所」が権利を持っているコメの新品種の種子の販売からはじまり、契約農家によるその種子のコメ栽培、そして収穫されたコメの消費者への販売までを一貫して行う。そして、産業として永続できるコメ生産の確立に貢献し、将来的には海外への販売も視野に入れつつ、生産者と消費者のそれぞれの顔が見え、双方から支持されるバリューチェーン事業の構築を目指す。

 新品種のコメを用いるメリットの一つに多収性による栽培農家の生産コスト低減の可能性がある。加えてIT活用、農法の改良、農業資材の最適化に取り組み、生産コストの4割削減を目標に生産農家の経営安定化と所得向上を目的とする。

 すでに、各地の農協や農業生産法人などの協力のもとで、試験栽培を行い、栽培方法の最適化を図ってきた。昨年には17県・約100ヘクタールで栽培し、一定の増収を見込めるようになったことから、本年より順次商業栽培に切り替えていく。

 新品種のコメはコシヒカリをベースにしたF1ハイブリッド品種で、主な特徴に、「大きな穂、大きな粒による多収性(1.3倍から1.5倍の収量が見込める)」、「東北から九州まで広い範囲での栽培が可能(早生・晩生の2系統の品種)」、「良好な食味(低アミロース性でコシヒカリのおいしさと粘りを併せ持つ)」、「直まきにも向いた特性(初期生育が良く倒れにくい)」、「一般品種の作期と大きくずれない(輪作体系への組み込みが可能)」がある。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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