GMとホンダ、次世代燃料電池システムを共同開発 2020年頃に実用化へ

2013年7月3日 12:37

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 米ゼネラル・モーターズ(GM)とホンダは2日、燃料電池電気自動車(FCEV)のより一層の普及のため、2020年頃の実用化に向けた次世代型燃料電池システムと水素貯蔵システムの共同開発を行うことに合意し、長期的な提携契約を締結したと発表した。

 今回の提携により、両社はこれまで培ってきたお互いの燃料電池技術の知見を共有することで、小型・軽量で高い性能を有した低コストな燃料電池システムと水素貯蔵システムを開発することが可能となると同時に、両社のスケールメリットを活かすことでさらなるコストダウンを図ることが期待できる。また、水素インフラ整備や規格化、標準化に対する取り組みを共同で行い、政府関係や関連産業に対してFCEVの本格的普及を推進する取り組みを行っていく。

 これまで、GMとホンダはFCEV開発において、実証フリートやリース販売などを通じて先駆的な活動を行ってきた。米国で発表されている「クリーン・エネルギー特許成長指数」において、両社は2002年から2012年における燃料電池に関する米国特許を1,200以上も保有しており、それぞれ1位と2位にランクされているなど、お互いがFCEV開発のリーディングカンパニーであると自負している。

 GMのダン・アカーソン会長兼CEOは、「この共同開発はGMとホンダの燃料電池技術におけるリーダーとしての強みがあってこそ成り立っている。エネルギー問題を解決する可能性を持ち、持続可能なモビリティー社会を実現させる燃料電池技術を、この2社で共同開発することが最善の方法であることを確信している」と述べている。

 また、ホンダの伊東孝紳社長は、「ガソリン車並の航続距離や短い充填時間などの使い勝手を持ちながら走行中にCO2を全く排出しない究極のクリーンモビリティーであるFCEVを、ホンダは世の中にいち早く普及させていきたいと考える。その想いがGMと合致し、両社の得意技術を融合させて、高性能で低コストの燃料電池システムを共同開発する提携に至った事を嬉しく思っている」と述べている。

 GMは2007年から北米で行っている「プロジェクト・ドライブウェイ」という実証実験において、他社を上回る119台のFCEVによる累計約300万マイルの実走行を展開してきた。

 一方、ホンダは、2002年に「FCX」のリース販売を日本と米国で開始し、2009年に「World Green Car」を受賞した「FCXクラリティ」と合わせ、これまでに日米で85台のFCEVを販売、走行データを蓄積してきた。アメリカでは一般の顧客にもリースを行い、リアルワールドでの一般ユーザーの使い勝手のデータも蓄積している。

 ホンダはすでに公表しているとおり、2015年にFCXクラリティの後継となるFCEVを日本、米国および欧州で発売する予定。なお、GMはFCEVの生産計画に関して今後適切な時期に発表を別途行うという。

 現在の自動車業界はエネルギー問題とCO2排出という2つの大きな課題に直面しており、燃料電池はこれらを解決しうる技術。FCEVは風力やバイオマスなどから作られる再生可能な水素を燃料として走行することができ、水以外のものを一切排出しない。また、FCEVはわずか3分ほどで水素タンクに水素を充填することができ、かつ航続距離は400マイルまで可能。さらに、このパワートレイン技術は小型車から中型車、大型車といったさまざまなタイプの車種への搭載が可能。

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