相場展望9月29日号 米国株: FRB政策金利低下も、市場金利は上昇⇒株高意識に注目 日本株: 自民党総裁選とその後に、小泉・混乱要因が浮上

2025年9月29日 13:26

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/25、NYダウ▲173ドル安、45,947ドル
 2)9/26、NYダウ+299ドル高、46,247ドル

【前回は】相場展望9月25日号 米国株: 恐怖指数(VIX)が上昇し、高値警戒の意識が高まる 日本株: 自民党総裁選告示も、候補者意識は低く、自民党解党的出直しは困難?

●2.米国株:FRB政策金利低下も、市場金利は上昇⇒株高意識の高まりに注目

 1)米国株は小さな変化で上昇圧力が低下
  ・NYダウ、ナスダック総合の推移
             9/17   ⇒ 9/26    差異
    NYダウ     46,018ドル  46,247  +229ドル高・+0.50%上昇
    ナスダック総合  22,261    22,484  +223高   ・+0.10%上昇

 2)市場金利は上昇
  ・市場金利の推移
             9/17   ⇒ 9/26
    02年債     3.555%    3.643
    10年債     4.087     4.178
    30年債     4.684     4.741

  ・FRBは政策金利を引き下げたが、市場金利は逆に上昇している。

  ・市場金利上昇は、相対的に「株価が割高」として意識される。最近の米国株の上昇が弱いのは、市場金利の上昇を意識している可能性がある。このため、今後の市場金利の動向に注目したい。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/25、上海総合▲0.34安、3,853
 2)9/26、上海総合▲25安、3,828

●2.中国の工業利益、8月は前年同月比+20.4%増、4カ月ぶりの増加 (ブルームバーグ)

 1)中国の1~8月工業利益は前年同期比+0.9%増。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/25、日経平均+124円高、45,754円
 2)9/26、日経平均▲399円安、45,354円

●2.日本株:自民党総裁選とその後に、小泉・混乱要因が浮上

 1)日経平均の上げ・下落は、あいかわらず少数の銘柄で説明できるという特異続く
  (1)9/25日経平均+124円高は、ソフトバンクGの1銘柄+117円寄与で94%占める
   ・寄与度上位5銘柄
     ソフトバンクG   +117円高
     東エレク      +47
     リクルート     +26
     ソニー      +23
     ディスコ      +10
       合計     +223円高

  (2)9/26日経平均は▲399円安だが、3銘柄で▲419円安で説明できる
   ・寄与度上位5銘柄
     アドバンテスト  ▲151円安
     ソフトバンクG   ▲149
     東エレク    ▲119
     中外薬      ▲32
     日東電      ▲24
      合計      ▲475円安

  (3)日経平均は、海外短期投機筋による株価先物と少数の個別銘柄で動意するという状況が続いている。
   ・このため、この状況は今後とも続くとは思えない。

 2)自民党総裁選とその後に、小泉・混乱要因が浮上
  (1)小泉・農相が優勢となり、自民党総裁⇒首相就任が濃厚となってきた。
   ・政治資金規制強化に反対し、裏金問題は終わった問題としてきた。
   ・結果、派閥領袖などから好感を持たれ、議員数で多数の支持を得た。

  (2)しかし、小泉陣営の「やらせコメント工作問題(ステマ)」が発覚し、影響が懸念される事態となった。5候補者のなかでトップを走っていたが、にわかに暗雲が湧いてきた。

  (3)小泉氏が自民党総裁なら、また来年の今頃に再々の自民党総裁選の恐れ。
   ・小泉氏の討論での「資料まる読み」もあり、浅学菲才も露呈している。外務・財務など重要閣僚の経験もなく、軽量閣僚しか務めていない。さらに、自民党幹事長など重要職も経ていない。
   ・トランプ米国大統領やG7首脳と、丁々発止のやり取りをして、世界の日本を打ち出せない恐れがある。岸田・石破と続き、世界で埋没しそうな予感がする。
   ・自民党総裁⇒首相に選任されれば、来年の今頃、失政⇒衆議院選挙で自民党が敗北し、自民党内が混乱し引きずり落とされる可能性がでてきた。

 3)今後の株価動向に警戒
  (1)配当取りを狙った買いが無くなる。
   ・3月決算企業の中間配当狙いの買いは、9/26で終わり。

  (2)自民党総裁選を材料視した買いは、10/4投開票前まで。
   ・小泉・農相が有力となり、株買い材料が無くなる。
   ・株価先物が売り優勢となる可能性がある。

  (3)海外短期投機筋による「先物買い」⇒「先物売り」転換に注目。
   ・なお、海外投資家による「現物株売り」の姿勢が明確になってきている。
     海外投資家の現物株売りの推移
      9月1週(~9/12)  ▲6,924億円売り
      9月2週(~9/19)  ▲2,944億円売り

●3.トランプ氏、医薬品+100%、日本・EUは15%課税、日米合意の軽減措置適用(ブルームバーグ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6594 ニデック      業績好調
 ・8088 岩谷産業      業績堅調
 ・8306 三菱UFJ       業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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