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相場展望8月15日号 米国株: FRBの政策金利引下げは、「9月に▲0.25%の引下げ」と予想 日本株: 6カ月2週間の株価上昇分を、わずか4週間で藻屑と消える ただ今、戻り率46%
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)8/12、NYダウ▲140ドル安、39,357ドル
2)8/13、NYダウ+408ドル高、39,765ドル
3)8/14、NYダウ+242ドル高、40,008ドル
【前回は】相場展望8月12日号 米国株: 米株式市場の関心は、(1)米国経済の成長・(2)FRBの金融政策 日本株: 米金利の低下で「円高」へ転換、政府・日銀の混乱が目立つ
●2.米国株 : FRBの政策金利引下げは、「9月に▲0.25%の引下げ」と予想
1)米国FRBの利下げの根拠を補強
・7月卸売物価指数(PPI)がインフレ鈍化を示し、金利低下。
・7月消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.9%上昇、3年超ぶりの低水準。伸び率が+3%を下回るのは2021年3月以来。
・パウエルFRB議長は「9月に利下げを始める可能性」を示唆
2)FRBの利下げは、「9月に▲0.25%の引下げ」と予想。
・米国インフレ率は着実に鈍化している。失業率も4.3%に上昇するなど、労働市場の軟化も見られる。インフレ再加に対する過度な警戒感も薄れてきた。米国経済の成長も急低下の恐れも緩み、ソフトランディング(軟着陸)する可能性が高まってきている。
・8月初旬にあった米国経済の先行き見通しの悪化懸念が和らぐと受け止められる経済指標(CPI、PPI)が発表された。このため、FRBは
・インフレ鈍化を着実にし、
・米国経済の軟着陸を実現するため、経済の成長エンジンをやや強める
ため、「政策金利を9月に▲0.25%引下げる」方向の確率が高まったと見る。なお、▲0.50%の引下げは大きすぎて、米国経済の悪化に拍車をかける可能性があるため、「9月に▲0.25%引下げ」があると読んだ。
●3.米国7月の卸売物価指数(PPI)は前年比+2.2%上昇、予想+2.3%、6月+2.7%(ロイター)
1)伸びは鈍化。
●4.米国7月消費者物価指数(CPI)は+2.2%上昇、伸び率は4カ月連続で鈍化(ロイター)
1)市場予想からも下回り、インフレの鈍化基調が続いていることが確認された。
2)変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比+3.2%上昇した。伸び率は前月の+3.3%から縮小した。
3)インフレ圧力の緩和を受け、市場では連邦準備制度理事会(FRB)が9月の次回金融政策会合で利下げを決めることが確実視されており、焦点は利下げ幅となっている。
●5.物価目標達成の「確信」が深まる、利下げには一段の指標が必要=アトランタ連銀総裁(ロイター)
●6.アルファベット傘下のグーグルに対し、司法省が事業分割を命じることを検討(ロイター)
1)米国連邦地方裁判所は8/5、グーグルがネット検索市場で反トラスト法(独占禁止法)に違反していると提訴した米国司法省の主張を認めた。
●7.米国消費者の支払い延滞懸念、2020年以来で高水準=NY連銀調査(ブルームバーグより抜粋)
1)失業後に新たな仕事を見つけるのは難しくなるとの予想強まる。
2)消費者が向こう3カ月に債務の最低返済額を延納する確率は平均で13.3%に上昇。新型コロナ禍初期である2020年4月以来で高水準となった。支払い延滞に対するストレスは、年収5万ドル(約737万円)未満ならびに学歴が高卒以下の消費者の間で最も強まった。
●8.米国インテル、英国半導体設計大手アームの全株式118万株売却(ロイターより抜粋)
1)インテルは、人工知能(AI)半導体分野でエヌビディアなど競合に後れを取るなか、▲15%の人員削減と配当停止を今月発表していた。
2)先端AI半導体の開発や受託生産能力の拡大に取り組みでコストが膨らみ、利益率を圧迫していた。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)8/12、上海総合▲3安、2,858
2)8/13、上海総合+9高、2,867
3)8/14、上海総合▲17安、2,850
●2.中国経済、7月も足踏み状態か、消費低迷で回復の火付け役不不在(ブルームバーグ)
●3.中国への直接投資、4~6月は▲150億ドルの流出超過、強い経済悲観論反映か(ブルームバーグ)
1)外国人投資家は4~6月に中国から記録的な規模の資金を引き揚げた。1~6月は約▲50億ドルの純流出だった。今年の残りの期間も流出超過が続けば、データがある1990年以降で年間として初の純流出となる。
2)中国の対外投資は、4~6月に+710億ドルと過去最高。
●4.OPEC、2024年世石油需要予想を引下げ、中国の伸び減速が理由(ロイター)
●5.米国GM、中国生産の削減を検討と報道、競争激化で販売不振(共同通信)
1)GMの中国での販売台数は2017年に400万台だったが、2023年は210万台にまで落ち込んでいた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)8/12、祝日「山の日」の振り替えで休場
2)8/13、日経平均+1,207円高、36,232円
3)8/14、日経平均+209円高、36,442円
●2.日本株:年初から6カ月2週間の株価上昇分を、わずか4週間で藻屑と消える ただ今、自律反発中で戻り率+46%
1)日経平均は年初からの上昇幅以上に下落し、年初からの上げ幅を帳消し
・日経平均の推移
7/11高値 42,224円
8/05 31,458
差引 ▲10,766円安・下落率▲25.5%安
・昨年12/末の終値33,463円から▲2,005円も下回った。つまり、年初からの上昇幅+8,761円高を帳消しする以上に下落してしまった。年初から6カ月2週間かけて日経平均を上昇に積み上げてきたが、わずか4週間で藻屑にしてしまったともいえる。
2)現在は自律反発中
・日経平均の推移
8/05 31,458円
8/14 36,442
差引 +4,984円高・上昇率+15.8%
・7/11高値から8/05までの下落幅▲10,766円に対する、戻り率は+46.2%。
・依然として、調整入りとされる▲10%を超える下落率となっている。7/11高値から8/14終値の下落幅は▲5,784円安・下落率▲13.6%安
3)NYダウと比べて、「割高感は消え、落ち着ける位置」にある
・長らく、日経平均は米国株と並行して動いてきた。それが、今年7月中旬までは日経平均がアウトパフォームしてきた。その調をが8/5までの4週間という短期間で修正した。
・短期大幅下落に対して、8/6以降は自律反発している。米国株と連動が高い日本株であるため、米国株の動向を見ながら騰落するという段階に入ってきた。NYダウとフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の動きに注目したい。
●3.メルカリ、2024年6月期営業利益は前年比+6.7%増の174億円、過去最高(朝日新聞)
●4.ホンダ系部品メーカー5社、4~6月期は北米が好調で3社が営業増益、中国市場では苦戦(中部経済新聞)
●5.アシックス、1~6月営業利益は589億円の黒字、過去最高(ロイター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6503 三菱電機 業績好調。
・7012 川崎重工 業績好調。
・7259 アイシン 業績好調。
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