ヒビノ、売上高が500億円を超え過去最高を更新 今期は新規連結子会社と万博需要が寄与する見込み

2024年5月31日 16:13

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記事提供元:ログミーファイナンス

ヒビノ、売上高が500億円を超え過去最高を更新 今期は新規連結子会社と万博需要が寄与する見込み

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吉松聡氏:本日はお忙しい中、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。代表取締役副社長の吉松です。よろしくお願いいたします。

本日の流れですが、私から「2024年3月期決算の概要」ならびに「2025年3月期業績予想」そして、5月22日に公表しました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についてご説明いたします。続いて、社長の日比野より「今後の取り組み」についてご説明いたします。

【2024年3月期決算の概要】 連結損益計算書

お手元の資料は3ページ、連結損益計算書でございます。まず、売上高につきましては、504億9,100万円となり、前期比85億6,800万円の増収となりました。コンサート・イベント市場が急速なペースで復活、拡大したこと、また、顧客の設備投資意欲の回復、都市再開発計画の進展等を背景に大型案件が増加しました。すべてのセグメントで増収となり、連結売上高は初めて500億円を超えて過去最高を更新しました。

次に売上総利益ですが、175億5,900万円となり、前期比33億5,200万円の増益となりました。これは、高収益なコンサート・イベントサービス事業の増収と、販売施工事業及び建築音響施工事業における粗利改善活動の成果に起因しております。

販売費及び一般管理費は、前期比17億6,800万円増加し、147億4,500万円となりました。連結子会社が2社増加したこと(株式会社Cerevo、株式会社エヌジーシー)、また、連結化要因を除くと、事業活動の活発化に伴う人件費や広告宣伝費の増加、また、支払手数料、研究開発費の増加などが要因です。

営業利益につきましては、売上高と同様にすべてのセグメントが改善し、28億1,400万円となり、前期比15億8,400万円の増益となりました。

営業外収益は、為替差益(プラス2億4,800万円)が増加した一方で、保険解約返戻金(マイナス1億1,700万円)及び助成金収入(マイナス4,700万円)が減少し、前期比7,300万円増加の4億800万円となりました。営業外費用は、支払利息(プラス2,300万円)の増加などにより、前期比1億600万円増加の2億7,100万円となりました。これらの結果、経常利益につきましては、29億5,100万円となり、前期比15億5,100万円の増益となりました。

特別利益は、海外子会社の清算完了に伴い、為替換算調整勘定取崩益9,800万円を計上しました。特別損失は、関係会社整理損(プラス1億6,400万円)、関係会社債権放棄損(プラス4,700万円)の増加等により、前期比9,600万円増加し、2億6,000万円を計上しました。法人税等は10億6,000万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、16億2,700万円となり、前期比10億1,900万円の増益となりました。

セグメント別実績(1)

続きまして、売上高のセグメント別の内訳です。「販売施工事業」は、業務用音響・映像・照明機器等の販売及びシステム提案を行っておりまして、売上高構成は49.8パーセントです。

「建築音響施工事業」は、建築音響(音空間)に関する設計・施工を行っておりまして、売上高構成は18.4パーセントです。

「コンサート・イベントサービス事業」は、コンサートやイベント等における音響サービス、大型映像サービスを行っておりまして、売上高構成は31.9パーセントです。

セグメント別実績(2)

右上のグラフは、セグメント別売上高の増減、右下のグラフは、セグメント別営業利益の増減を示しております。すべてのセグメントで増収増益となっております。

次のページより、セグメント別の実績について、ご説明いたします。

販売施工事業

まず、販売施工事業です。売上高は251億2,300万円となり、前期比49億9,900万円の増収、営業利益は11億9,400万円となり、7億4,400万円の増益となりました。

主軸である業務用音響・映像機器等の輸入販売において、顧客の設備投資が活発化し、大型案件が増加しました。また、円安に対応した販売価格改定の効果で収益性が向上しました。

LEDディスプレイ・システム販売は、JR駅構内、都内エンターテインメントシティ、首都圏新設アリーナ、企業ミュージアム、再開発ビル向けの大型案件により、好調に推移しました。

また、第3四半期に連結子会社化した株式会社エヌジーシー、前期に連結子会社化した株式会社Cerevoが業績に寄与しました。

韓国市場では、直販ビジネスの強化が奏功し、事業規模が拡大しております。

建築音響施工事業

次は、建築音響施工事業です。売上高は92億6,700万円となり、前期比13億400万円の増収、営業利益は6億5,700万円となり、1億9,100万円の増益となりました。

いくつかの大型案件で遅れが発生し、売上計上が来期にスライドしましたが、ホールやシネマコンプレックスを含む開発関連や大学施設等の建築音響案件をはじめ、メディア関連の大規模プロジェクトが進捗し、増収増益となりました。

利益面につきましては、原価低減活動と工事契約金額の見直しが利益改善に寄与しました。

コンサート・イベントサービス事業

次は、コンサート・イベントサービス事業です。売上高は160億9,900万円となり、前期比22億6,400万円の増収、営業利益は23億5,800万円となり、9億2,300万円の増益となり、売上高及びセグメント利益ともに過去最高を更新しました。

コンサート市場が活況を呈し、ドーム・アリーナツアー、K-Popなど海外アーティストの来日公演、最近人気を伸ばしているアーティスト案件を獲得しました。

企業イベント、コンベンション、スポーツイベント市場もイベント規模の拡大によりコロナ禍前を上回る実績となりました。特に、「ジャパンモビリティショー」「G7広島サミット」「世界水泳選手権」等の特需案件が寄与しました。

バーチャルプロダクションは3つの常設スタジオが稼働し、CM、ドラマ等で安定的に売上を確保しております。

連結貸借対照表

続きまして、連結貸借対照表です。総資産は、前期末より39億6,400万円増加し、408億2,900万円となりました。グループ会社で「現金及び預金」が増加、また、売上の増加に伴い「契約資産」が増加しております。

負債は、前受金及び電子記録債務の増加等により、前期末より25億6,000万円増加し、299億4,200万円となりました。

純資産は、利益剰余金の増加等により、前期末より14億400万円増加し、108億8,600万円となりました。

連結キャッシュ・フロー計算書

続きまして、連結キャッシュ・フロー計算書です。右側が、当期実績です。営業キャッシュ・フローは、69億6,900万円の収入となりました。税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上と、仕入債務の増加が主な要因であります。

投資キャッシュ・フローは、42億円の支出となり、これは主に、コンサート・イベントサービス事業におけるレンタル用機材の設備投資によるものであります。

財務キャッシュ・フローは、13億300万円の支出となり、これは主に、短期借入金の純減額、リース債務の返済による支出、配当金の支払額によるものであります。

【2025年3月期業績予想】 連結業績予想

お手元の資料12ページ、連結業績予想のサマリーでございます。売上高は前期比55億800万円増加の560億円、営業利益は3億8,500万円増加の32億円、経常利益は4,800万円増加の30億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億2,200万円増加の17億5,000万円を計画しております。

売上高につきましては、前第3四半期から連結化した株式会社エヌジーシーが通期連結となること、2024年5月に子会社化するCHグループの新規連結化、大阪・関西万博特需の取り込み、建築音響施工事業の活況と、大きく4つの要因により増加し、すべてのセグメントで増収の見通しであります。

利益につきましては、全部門共通の「一人当たり経常利益」最低目標値を設定し、部門ごとにその達成を目指して活動することで、グループの収益基盤を強固なものにしていきます。なお、経常利益の予想数値には、一定の為替変動リスクを織り込んでおります。また、例年どおり、下期偏重型の計画となっております。

配当金につきましては、1株当たり中間配当40円、期末配当30円とする年間70円の配当を予定しております。なお、中間配当40円には、「設立60周年記念配当」10円を含んでおります。

それでは、セグメント別の動向・見通しについてご説明いたします。

販売施工事業

まずは、販売施工事業です。売上高は、前期比32億7,600万円増加の284億円、営業利益は、1億7,700万円増加の13億7,200万円を計画しております。

コンサート・イベント市場、設備市場、放送局市場における活発な設備投資が継続し、大阪・関西万博需要も本格化する見込みです。

グループ連携により、大阪・関西万博プロジェクトをはじめ、都市再開発や全国各地で建設計画が進むスタジアム・アリーナ向けにトータル・ソリューション販売の拡大を目指します。

また、株式会社エヌジーシーの業績が、通期で連結業績に寄与します。

引き続き、新ブランドの獲得・育成やECサイトの強化等に取り組んでまいります。

建築音響施工事業

次に、建築音響施工事業です。売上高は、前期比14億3,200万円増加の107億円、営業利益は、2,200万円増加の6億8,000万円を計画しております。

メディア関連の大規模プロジェクト等の当期からの継続案件のほか、顧客の旺盛な設備投資需要や都内で複数進行する再開発を背景に、ホール、スタジオ、音響実験室の大型案件が増加し、増収増益の見通しであります。

2025年度以降の売上となる大型案件も豊富で、良好な事業環境が中長期的に続き、右肩上がりの成長が期待できます。

戦略事業分野と位置づける騒音対策につきましては、近年、大規模なデータセンター、物流施設の建設が相次いでおり、これらの施設における需要が今後伸びていくと予想しております。

コンサート・イベントサービス事業

最後に、コンサート・イベントサービス事業です。売上高は、前期比8億円増加の169億円、営業利益は、1,500万円減少の23億4,300万円を計画しております。

コンサートプロモーターズ協会が公表した2023年の市場概況によりますと、コンサート動員数は初めて5,000万人を超え、市場規模も5,000億円を超えて過去最高を記録しております。これは、関東圏におけるアリーナ5会場の営業開始により、アリーナ会場の公演数・動員数が大きく伸長したことが主な要因とされています。今後も全国各地において大規模会場の新設が計画されていることから、コンサート市場は、中期的に拡大していく見通しです。

また当社は、映像制作会社10社で構成されるCHグループを子会社化し、新たに映像制作サービス事業を開始することを、5月13日に公表いたしました。詳細は後ほど「今後の取り組み」の部分でご説明いたします。

CHグループの連結化及び大阪・関西万博プロジェクトの一部取り込みを見込んでおりますが、特需案件が減少することから、増収減益の計画となっております。

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について】 1.現状分析・評価 (1)資本収益性

続きまして、5月22日に公表しました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、ご説明いたします。

はじめに「現状分析・評価」です。株主資本コストを推計する手法はさまざまございますが、ページ左下にお示ししておりますとおり、当社ではCAPM(資本資産価格モデル)を用いて算出し、株主資本コストは5パーセントから8パーセント、5期平均は6パーセント程度と認識しております。

まず「資本収益性」につきまして、ROE(自己資本当期純利益率)は、新型コロナウイルスの影響で2021年3月期は著しく低下しましたが、コロナ禍からの完全脱却により、足元の2024年3月期は16.7パーセントとなりました。株主資本コストを上回るROEを達成しており、付加価値を創出することができていると考えております。

1.現状分析・評価 (2)市場評価

次に「市場評価」につきまして、PBR(株価純資産倍率)は、1.2倍から2.1倍の間で推移し、2024年3月期は1.8倍となり、安定して1倍を上回っております。

また、2024年3月期のPERは、3月31日の株価(1,916円)で算出しますと11.7倍、直近の株価(2,291円)で算出しますと14.0倍となり、東証スタンダード市場の平均15.3倍と比較するとやや下回っておりますが、当社グループの成長性について、投資者から一定の評価と期待を得ていると認識しております。

PBRのさらなる改善に向けては、株主資本コストを上回るROEの継続的な達成に向けた取り組みが必要であり、ROEの向上及び株主資本コストの抑制の両面からアプローチしていくことが重要であると考えております。

2.改善に向けた方針

続いて、当社グループの資本収益性及び市場評価の「改善に向けた方針」です。第一に、中期経営計画「ビジョン2025」の着実な実行です。売上成長と収益性改善にこだわり、中長期的な利益成長を図るとともに、外部環境に左右されにくい安定性のある事業ポートフォリオへの変革を実現してまいります。最終年度である2026年3月期は、売上高750億円、経常利益45億円、自己資本比率30パーセント(目標40パーセント)を目標としております。

第二に、非財務の取り組みの強化を通じて、株主資本コストの抑制を図り、持続的な企業価値向上を目指します。

3.具体的な取り組み (1)中期経営計画の着実な実行(ハニカム型経営、イノベーション)

ここからは「具体的な取り組み」についてご説明いたします。まずは「中期経営計画の着実な実行」についてです。当社グループは、ハニカム型経営を推進し、ナンバーワン、オンリーワンの製品・商品・サービスや技術を持つ事業の集合体を目指しております。

イノベーション及びM&Aにより新領域に挑戦し、収益を生み出す事業を多数有することで、外部環境の変化に強い事業ポートフォリオを構築いたします。

グループ総合力を発揮するための施策として、ワンストップソリューション機能の強化を図っております。ヒビノグループの各部門が持つ専門性を組み合わせ、顧客ニーズにワンストップで対応することで、ハニカム型経営の効果を最大化してまいります。

また、イノベーション創出に向けた活動として、2018年にスタートした「I Project」は、すべての従業員から事業改善や新規事業等のアイデアを公募して具現化を目指す制度です。起業家精神を養成する場、挑戦を促進する場として機能しており、手挙げの文化を醸成することで、イノベーションが生まれる環境を整えております。

3.具体的な取り組み (1)中期経営計画の着実な実行(健全経営)

健全経営につきましては、適正な利益を上げることにより財務の安定を図り、財務の安定を図ることにより人的資本の向上を図り、人的資本の向上を図ることにより、適正な利益を確保する、この好循環の確立を図ってまいります。

3.具体的な取り組み (2)非財務の取り組みの強化

次に「非財務の取り組みの強化」についてです。当社は、中期経営計画「ビジョン2025」において、「サステナビリティマネジメントの推進」を主要な経営課題の一つとして位置づけております。当社グループが取り組むべき4つの重要課題(マテリアリティ)と15の取り組みテーマを特定し、取り組みの進捗を管理するための指標(KPI)と目標を設定しました。取り組みの進捗は、有価証券報告書等において報告いたします。

コーポレートガバナンスにつきましては、当社は、取締役会の機能向上を目的として、2024年3月期より、第三者機関である外部機関を活用し、取締役会の実効性評価を開始いたしました。毎年、取締役及び監査役を対象とした自己評価アンケートをもとに、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要をコーポレートガバナンス報告書において開示いたします。

また、経営陣の報酬が中長期的な企業価値向上に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、報酬制度を見直し、2024年6月26日開催の株主総会及び取締役会の承認を経て、取締役及び執行役員に対し株式報酬制度を導入する予定です。これにより、株主のみなさまとの一層の価値共有を促進してまいります。

最後にIR・PRにつきましては、機関投資家・株主のみなさまとの対話等を通じて当社グループの成長性について共有するとともに、対話等によって認識された課題を経営陣に共有し、今後の意思決定に反映させてまいります。

また、コーポレートサイト等による財務情報、非財務情報の開示や発信機会の拡大により、情報開示の質・量の充実を図ってまいります。

以上で、私からの説明を終わります。

【今後の取り組み】 中期経営計画「ビジョン2025」(2023年3月期~2026年3月期)

日比野晃久氏:代表取締役社長の日比野です。「今後の取り組み」についてご説明いたします。当社グループは、グループビジョン「世界のヒビノへ」の実現に向け、4ヵ年の中期経営計画「ビジョン2025」に取り組んでおります。最終年度の連結売上高を、前中計実績の約1.8倍となる750億円に拡大させる計画であります。

今期は折り返しとなる3年目です。「ハニカム型経営」と「イノベーション」を成長戦略の柱とし、M&Aも活用して新たな領域を開拓するとともに、健全経営の確立、すなわち適正な利益、財務の安定、人的資本の向上の好循環サイクルの構築に尽力いたします。

大型映像サービスの重点施策①

本日は、中期経営計画の取り組みの中から、「大型映像サービス」を中心に、これまで実行してきた重点施策と今後の方向性についてご説明いたします。

重点施策の一つ目は「バーチャルプロダクション」です。当社は、コンサート・イベントで培った大型映像技術を土台に、日本国内におけるバーチャルプロダクション領域を開拓し、マーケットリーダーのポジションを確立しております。

ページ左側をご覧ください。写真は、自社内(ヒビノ日の出ビル)にあります「Hibino VFX Studio」です。バーチャルプロダクション撮影技術を提供する専用スタジオとして、2021年7月に国内他社に先駆けて開設しました。

さらに2022年1月からは、ページ右側に記載しております広告制作を手掛ける大手映像プロダクションとの共同プロジェクト「メタバース プロダクション」を展開しております。現在、3つの常設スタジオが稼働しており、強力な営業基盤を持つ企業とタッグを組むことで、数多くのCM、映画、ドラマ、ミュージックビデオの撮影をサポートしてまいりました。

バーチャルプロダクションを活用するメリットは、「撮影の効率化」「ポストプロダクション編集の負荷軽減」「大規模なスタジオセットをLEDディスプレイに置き換えることによる廃棄資材の削減」などでございまして、それは働き方改革や環境保全といったSDGs時代の要請に応えるものです。最近では、映像制作のワークフローで排出されるCO2の量を算出できるツールを開発するなど、顧客企業の脱炭素アクションを積極的に支援しております。

ページ右下をご覧ください。バーチャルプロダクションの実績は、当社のウェブサイトで積極的にプロモーションしております。今後も、この「メタバース プロダクション」での活動を通じて、先進的かつ今日的な課題を解決するバーチャルプロダクションへの理解が一層進み、あらゆる映像制作の現場に浸透すると確信しております。

大型映像サービスの重点施策②

重点施策の2つ目は「新たな3Dエンターテインメント」です。画期的な三次元LED技術を有するアメリカLiminal Space(リミナル スペース)社との資本業務提携及び技術ライセンスの獲得により、2024年4月より、Immersive LED Systemの本格運用を開始しました。

没入感あふれる次世代の3D空間演出のインパクトは絶大で、今年1月から3月まで行われた人気音楽ユニットYOASOBIさまの全国ツアーでのステージ演出に採用され、話題となりました。また、YOASOBIさまは、岸田首相が招かれたバイデン大統領の晩餐会に出席されたこともニュースになりましたが、ロサンゼルス、サンフランシスコの公演も、米国子会社H&Xテクノロジーズ社と共同で、3D映像のサポートをさせていただきました。

今後はコンサート、イベントはもとより、ターゲット市場としているテーマパーク等の施設でも、当社が提供する新しい3Dエンターテインメントの導入が進んでいくことが期待されます。

また、先端映像技術の研究開発拠点として「Hibino Immersive Entertainment Lab」を2023年11月にオープンしました。Immersive LED Systemと他のテクノロジーを組み合わせ、現実世界と仮想世界が融合する没入感あふれるエンターテインメント体験を、このラボから生み出していきたいと考えております。

映像制作を取り巻く環境と当社グループにおけるニーズ

こうした最先端の大型映像サービスをさらに推進・拡大していくために必要なのは「ソフト」、まさしく映像制作です。

ページ左側をご覧ください。映像制作を取り巻く外部環境として、2023年の総広告費は、インターネット広告費をはじめイベントの再開、大規模化に伴いプロモーションメディア広告費が増加し、過去最高を更新しました。広告市場の成長を背景に、映像コンテンツの需要も増加しています。

一方、ページ右側をご覧ください。映像コンテンツに関する当社グループの現状として、まず、コンサート・イベントサービス事業においては、機材提供及びオペレーションサービスが中心であり、コンサートやイベント、バーチャルプロダクション撮影に必要な映像コンテンツは、外部の映像制作会社が担当しております。販売施工事業においても、その施設に最適なハードを組み合わせてシステムとして提供していますが、納入後のコンテンツについては未着手となっております。

こうした時流、当社グループの現状を踏まえ、今後目指すべき姿としては、ソフトとハードを統合した、トータル・ビジュアルサービス、トータル・システムソリューションの実現であると考えております。

CHグループの子会社化(2024年5月予定)

当社は、5月13日に、映像制作会社9社を傘下に持つCHホールディングス株式会社の子会社化について公表いたしました。

CHグループは、2012年に設立された株式会社エルロイを中核とし、その創業者である和田氏のグループ内起業の取り組みを通じて、映像制作をはじめCG・VFX制作、モーショングラフィック制作、先端技術、撮影技術といったさまざまな専門分野のクリエイターを育成・獲得し、全10社、約80名の映像プロダクショングループを形成しています。

ここでは、CHグループが手掛けた映像作品を3つ、ご紹介いたします。1つ目は、ウェザーニュースTVCM 広瀬すずさん出演「予報精度No1!」篇/ウェザーニュースTVCM 広瀬すずさん出演「今から晴れるよ!」篇、2つ目は、刑事ドラマ「相棒」season22 オープニング、3つ目は、集英社さま『怪獣8号』発売記念PV、です。

CHグループはすでに映像制作の分野で実績のある企業グループです。このCHグループと連携することでヒビノが何をやろうとしているかについて、次のページでご説明します。

映像制作サービス事業の開始

それでは、映像制作サービス事業における戦略についてご説明いたします。左側に、CHグループの持つ経営資源、言わば「強み」をまとめております。

当社が考えるCHグループの強みは、企画から納品まで映像制作に係るすべてのワークフローを完結する一貫体制、企画デザイン、プロデュース、制作、撮影、編集のプロフェッショナル人材とナレッジ、グループ内起業の取り組みを通じて獲得・育成した映像制作、CG・VFX制作、モーショングラフィック制作、先端技術、撮影技術などの専門分野、スピード、コストパフォーマンス、完成度の高さ、テレビCMやウェブ動画、ビデオパッケージ、ミュージックビデオ、イベントなど多様なジャンルの実績であります。

これらの強みが当社グループに加わることによって、大きく4つのシナジーを生み出せると考えております。

1つ目は「イベントにおけるソフトとハードの総合ビジュアルサービスを提供」です。今後は、企業イベントを中心に、映像コンテンツ制作までサービス範囲を拡大いたします。私たちは、イベントプロモーションのトレンドを知り尽くした“見せ方”のプロです。企画の段階からサポートすることで、お客さまの心に響くヒビノにしかできない唯一無二の提案ができると考えております。

2つ目は「バーチャルプロダクションの需要を喚起、普及を促進」です。これまでバーチャルプロダクションの活用は、大規模なハイエンド案件が中心でしたが、映像制作を内製化すれば、利用しやすい価格帯とすることができます。バーチャルプロダクションをより一般的で取り入れやすい撮影手法にしていくことで、バーチャルプロダクションの市場そのもののパイを拡大していきたいと考えております。特に、テレビCM、ウェブ広告に関わる映像制作は、年間を通じて安定的な収益源になると考えておりますので、広告分野を強化していく方針です。

3つ目は「新たな映像体験、エンターテインメント体験を創出」です。クリエイティビティと先端テクノロジーを掛け合わせた新しい映像演出、コンテンツの創造に向けた研究開発を共同で推進してまいります。

これらの3つの項目はコンサート・イベントサービス事業におけるシナジーで、最後4つ目の項目は、販売施工事業におけるシナジーです。それは「LEDディスプレイ、デジタルサイネージのトータルプロデュース」です。

企画・立案から導入、運営までサポートいたします。施設や店舗のコンセプトを深く理解し、その目的を達成するために最適なソフトとハードを提案いたします。システム納入後も、施設や店舗の賑わい、活気を生み出す映像コンテンツを提供し、継続的にサポートしていきたいと考えております。

いずれも商流の上流部分を自社で構築することになり、よりお客さまと近い位置で仕事をすることができますので、提案力アップ、顧客増加につながることが期待されます。既存事業の成長と映像制作サービス事業の育成を目指し、推進してまいります。

私のプレゼンテーションは以上です。

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