H2&DX、水素で調理する水素焼レストランを東京で開業へ 世界初

2024年2月4日 16:10

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水素焼レストランの店内イメージ(画像:H2&DX社会研究所の発表資料より)

水素焼レストランの店内イメージ(画像:H2&DX社会研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • 水素焼レストランのイメージ(画像:H2&DX社会研究所の発表資料より)

 水素コンロの製造・販売を手がけるH2&DX社会研究所(以下、H2&DX)は1日、水素焼レストランを開業すると発表した。H2&DXの水素コンロを使い、水素を燃焼させて食材を調理し提供する。レストランにはショールーム要素を持たせ、機器やインフラ設備などの見学の場としても活用する。

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 2024年4月上旬、東京都内での開業を予定しており、水素調理を行うレストランは世界初という。

 水素調理の大きな特徴は、調理の際に二酸化炭素を出さないことで、プロパンガスや炭火などの調理と比べて環境負荷が低い。H2&DXによると、飲食店の厨房で使われるガスと電気の消費エネルギー量が、店舗全体の50%超を占めるとするデータも存在する。昨今の温暖化の加速もあり、排出量の多い製造・運輸領域での削減だけでなく、厨房で排出されるCO2も無視できない。

 環境面だけでなく、調理法としても優位性がある。水素は燃焼温度が高くて無臭。また調理の際に、空気中の酸素が水素と結合して湿度を高める。それにより、食材の香りを保ちながら、外側はパリッと中はジューシーに焼き上げるという。

 コンロは水素ガスの入ったボンベをつないで構築している。H2&DXが開発し、2022年9月より販売を開始した。現在、肉や魚などの直火焼きが可能なコンロと、鍋やフライパンなどの熱源として利用できるタイプの2種類を展開。セミオーダーで製造しており、サイズや目的に応じてカスタマイズできる。さらに他の調理器具の研究開発も進めており、今後展開を予定しているという。

 手がけているH2&DXは、多摩大学研究開発機構のシンクタンクである、ルール形成戦略研究所の水素利活用に関する研究会からスピンアウトしたベンチャー企業だ。21年10月の創業当初は、主に水素の利活用支援事業を行っていた。

 水素コンロの発売以降は、箱根旅館への導入を皮切りに、各地のイベントなどで展開。23年5月には、広島で開催されたG7サミットの国際メディアセンター内で水素調理を行った。その当時、製品は直火焼きコンロのみだったが、サミット開催にあたり、鍋釜用水素コンロのプロトタイプを開発。開催中は、鍋釜用水素コンロを使って牡蠣を蒸し、直火焼きコンロで焼いて提供したという。

 開業するレストランの名称は「水素焼 icHi(いち)」。具体的な場所など、詳細はまだ明らかにされていないが、複数ジャンルの料理店を入れる想定で、現在参画企業を募っている。H2&DXは、水素社会の実現に向け、食を通じて水素を五感で体験できる仕組みづくりを進めていくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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