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ビッグモーター、起死回生の身売りで弾かれる企業価値は
損害保険会社は亀の子を散らすように、ビッグモーターとの損害保険代理店契約を解除した。
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24日には、国土交通省の地方運輸局がビッグモーターの修理工場を併設する34の事業場に、事業の取消や停止の行政処分を伝えた。内訳は12事業場が指定自動車整備事業の取消、11事業場が事業停止、33事業場が自動車特定整備事業の停止だ(重複があるため合計は一致しない)。
ビッグモーターには全国に135の修理・車検工場があったから、今回の行政処分を免れたのは101工場となる。
今後も不正が確認されれば追加の処分が下される見込みだが、ここまで来たらビッグモーターが受けるダメージの大枠は固まったと見ていいだろう。悪名が轟いて損害保険の代理店業務を失い、当局の許認可で行われてきた車検や修理業務は大幅な縮小に追い込まれたから、ビッグモーターの今後はあまり面白みのない会社に変わる。ジャニーズ問題と同列に扱うことはできないが、心機一転の出直しが可能であるとすれば、他社に身売りをして社名を変えることだろう。
ビッグモーターの現経営者はすでに腹を括っている様子で、巷間会社の身売りも選択肢にあると伝えられている。
注目されるのは売却金額だ。上場企業であれば株式の処分で済むが、ビッグモーターは非上場企業なので、購入希望者が煩雑で慎重な値決めをした上で、ビッグモーターを実質保有する創業家の同意を取り付ける必要がある。
現在の店舗や土地の資産価値を評価し、保有している中古車に値付けをして、その他の資産も合算した上で、厳しい状況が続くことを織り込んだ減額要素をさっ引くことになる。
当然のことながら値決めに正解はない。創業家と購入希望者が合意できる価格が正解になる。購入希望者の腕の見せ所だが、想定外の競合相手に出し抜かれないとも限らないから、ギリギリの値決めになることは言うまでもない。さぞかし見ものである。
帝国データバンクによると中古自動車販売店の倒産が急増していると言う。22年の年間倒産件数が52件(1カ月平均4.3件)だったのに対して、今年は1~9月の間に57件(同6.3件)に達したと言うから、ほとんど5割増と表現してもおかしくない増勢だ。
この時期に中古車を購入するのは、よっぽどノー天気か、必要に迫られた人になってしまったのかもしれない。ビッグモーターの罪は深い。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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