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逆の立場からの視点が大事 年式と走行距離
Photo: 1959年式キャデラック・エルドラド~当時は毎年モデルチェンジしていた ©sawahajime[写真拡大]
「グレードと塗色」、「整備入庫先・残存車検期間」に続き、中古車に関するいろんな疑問点を、引き続きユーザー視点と業者側の事情を勘案して検討して見たい。
【こちらも】逆の立場からの視点が大事 整備入庫先・残存車検期間
●年式について
1950年代以降のアメリカ車は、大体1年ごとにモデルチェンジを実施した。
これは、当時のプレス型は1年間生産すると交換時期を迎え、同じ投資をするなら新しいデザインに変更する方が、「目新しさ」もあるので、毎年モデルチェンジをするのだと聞いた。
この頃は、暦年で車のデザインが変わるため、年式判別も容易であった。
国産車の場合は、ランプ類等の小規模な変更がなされる場合もあったが、金型が交換時期を迎えるまでの量産もしている訳では無く、実際には暦年が違っても、外観も変わらないままのケースは多かった。
しかし1970年代以降でも、中古車の相場を記載した「査定価格表」には、年式欄に「前期・後期」の区分と共に、年式が変わるごとに、歴然と価格差が付いていた。
●年式区分の矛盾点
例えば、単に年式が「1970年後期」から「1971年前期」になっただけで、外観にも装備にも変化が無いままに、査定価格が低下する。
昔、「マイカー」と称して「大衆車」(現在では、「ファミリーカー」と称しているカローラ、サニー、ファミリア等)を保有するのが、ステータスだった頃の話である。
当時は正月を迎えるにあたって、愛車のフロントグリルに、「しめ縄」を飾ったりする風習が多く見られ、車が家庭内で大きな地位を占めていた時代である。
そんな時、1971年の新年を迎える機会に、「正月から新車に乗りたい」と考えると、1970年の12月には登録しておく必要がある。つまり、1970年後期モデルとなってしまうのだ。
たかだか1週間程度のことだから遅らせて、1971年の新年早々に登録すれば1971年前期モデルとして査定価格表に載ることとなる。
●年式にとらわれずに
昨今は、あまり年式を気にせずに、マイナーチェンジの前か後かが節目になっており、より健全になって来たと思う。
車好きが大勢いて、車検到来年のステッカーが色分けされていて、年式の判別が容易だった頃だったら、気にしたのだと考えられる。
●走行距離
一般のユーザーにとって、中古車を検討する場合、走行距離の目安は「5万kmを超過しない」位に考える傾向がある。
現在の車の積算計(オドメーター)は6桁あるので、ゼロに戻るには99万9999km走行する必要がある。また、積算距離の巻き戻しは不可能だ。
これは、『走行距離計が表示する距離の数値は、1の位から10万の位の6桁(二輪自動車及び側車付二輪自動車にあっては5桁)以上の整数値であること』との規定による。
しかし、大昔の車の積算計は5桁までで、99,999kmまで行くと00,000kmに戻った。そして中古車業界では、「メーター巻き戻し」も結構横行していた。
●国産車の耐久性
実際のところ、最近の国産車ならエンジンに関して言えば10万km、20万km程度なら全く平気だ。
ボーリングなんぞは『死語になった自動車用語「ボーリング」』(2020年7月8日付)で述べた様に、殆ど加工されることも無くなった位だ。
従って多分、それまでに「飽きて来た」、「ぶつけたりして傷ついた」「小さなトラブルが複数回起こった」といった理由で代替えするのが殆どの筈だ。
そこで中古車を検討する場合は、走行距離はあまり気にせずに車探しをしても大丈夫だ。逆に年式の割に、極端に走行距離が少ない方が、あまり稼働せずに長期間車庫に眠っていたりするので、そうなった原因は確かめておいた方が良い。
長期間乗らずに放置した車は、エンジンオイルも全部オイルパンに戻っていて、始動の瞬間には油膜が切れているから、エンジンへのダメージは却って大きい。
●外車購入はよく確かめて
しかし10年程前、既に国産車は昨今並みの耐久性が実証済みだった頃、フランス車Rを提携先である日産に車検整備に出したら、未だ5万km未満の走行距離だったのに「タイミングチェーン交換が必要」だと連絡して来たことがある。
国産車なら10万km程度はノータッチが当たり前の部分なので、何故かと聞くと、「日産車なら大丈夫ですが~」との返答で、改めて国産車の優秀さを認識させられた。
思い出すのが、同じくフランス車Cの話で、新車購入した知人が、購入後1年間で普通に使えたのが4カ月、残りは整備入庫していたと、「惚れてしまえば痘痕も靨(アバタもエクボ)」とかで、半ば自慢げに話していたことだ。
良い車を故障とは無縁で、安全、快適に使用したいなら、国産車一択だろうと思う。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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