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BRICSの新国際通貨で、ドル時代の終焉か!?
●BRICSが統一通貨?首脳会議では見送り
8月初旬、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が、ゴールドを裏付けとする通貨の検討を始めたという報道があった。
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4月にもインドメディアで、ロシアの高官による、BRICSは独自通貨の作成に取り組むべきという発言が報道された。
8月22日~24日に南アフリカ・ヨハネスブルグで開かれたBRICS首脳会議では、宣言文書に共同通貨の導入に関する言及は見送られた。
経済制裁を受けているロシアが米ドルに対抗し、BRICS諸国で金本位制に基づく新たな通貨を作り、西側諸国に対抗しようという意図が垣間見える。
今回は見送られたが、いずれは実現し、新たなドル時代の終焉へと繋がるのだろうか?
●なぜゴールドを裏付けにするのか?
かつては、中央銀行が発行した紙幣と同額の金(ゴールド)を保有し、必要に応じて金現物と兌換する制度である「金本位制」が維持されていた。BRICSの新通貨案は同額ではなく、何倍かまであらかじめ決めておく。
1971年のニクソンショックにより、金と米ドルの交換が停止され、ブレトン・ウッズ体制が終わり、金本位制に基づいた国際通貨体制は終焉した。
BRICSが金本位制復活を望むのは、中央銀行による通貨の供給過剰を防ぐためと、ロシアや中国が世界でトップ10に入る金保有国であり、その他の国も保有量が多いことが考えられる。
米国の金融不安も囁かれているが、そのリスクヘッジの意味でもBRICSにとってはメリットがある。
●非現実的という声も?
そもそもユーロのように、財政事情や経済規模の違う国が通貨を統一するということは、リスクも大きいことはギリシャ危機で露呈した。
BRICSの名付け親であるジム・オニール氏は、実現不可能と切り捨てている。
会議では、BRICSの中でも足並みが揃わなかったという報道もある。
一方で、ロシアや中国の米国への対抗心は衰えておらず、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国の加盟を決定した。
今回は見送りとなったが、BRICSが勢力を拡大し、力をつけてきた時に統一通貨が議題に上がることも考えられる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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