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ソフトバンクGに迫る吉と凶! 注目される「アーム」と「ウィーワーク」の行方 (1)
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ソフトバンクグループ(SBG)が5月11日に発表した23年3月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益で9701億円の赤字だった。前期が1兆7080億円の赤字だったことと比較して、改善傾向にあると評価する向きもあるが、所詮赤字幅の縮小と考えれば評価できる決算ではなかった。
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SBGは自前の事業を持たない投資会社だから、「空箱」のようなものだ。投資がなければ、ただの空の箱だが、投資先が増加するにつれて箱の中は混み合ってくる。投資した先が業績アップにより評価額を上げる先があったり、伸び悩んで評価額を下げる先が出るのは止むを得ない。
神ならぬ身が将来の成長を判断するのだから、当たり外れは当たり前だ。運良く評価額を上げる投資先が多ければ、箱全体はプラスの状態になる。評価額を下げる投資先が多ければ、マイナスとなる。SBGの決算は、22年3月期も23年3月期も、箱の中身を合計するとマイナスだったと言うことだ。
決算発表の翌日である5月12日、東京証券取引所におけるSBGの終値は4949円だった。株価までがシクシクと泣いているようだった。
「今が底」と見た投資家は、SBGの虎の子である英半導体設計大手アームの動向を勘案して買いに向かった。8月1日の終値は7250円だから、不本意な決算の発表から3カ月も経過していない時期に、50%近い上昇となった要因はアーム以外に考えられない。言ってみれば、アームの上場を先取りした株価とも言える。
8月8日になって、アームが9月に米ナスダックに上場されて時価総額が600億ドル(約8兆6000億円)と見込まれる、と言う観測記事が流れたものの、すでに折込済みだったマーケットでは利益確定の勢いが優っていた。
8日の終値が7022円だったのに、お盆を挟んで僅か10日後の18日の終値は6493円だ。毎日値上がりと値下がりを交互に演じているが、上昇するときには数十円単位なのに対して下落するときは200円前後なので、下げ圧力が優勢の印象だ。(続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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