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ビッグモーター問題で、「損保ジャパン」はどんな役割を演じたのか? (下)
今回の事態で大きな役割を演じたのが「損保ジャパン」であることに、異論のある人はいるだろうか?
【前回は】ビッグモーター問題で、「損保ジャパン」はどんな役割を演じたのか? (上)
損保ジャパンからビッグモーターへの出向者は他の2社を大きく超え、現在まで37人を数えている。まさにビッグモーター内部で暗闘が展開されていた22年末時点でも、5人の出向者が在籍していた。
出向していた部署は不正調査を行うBPテクニカルサポート部などで、コンプライアンス(法令遵守)体制の進捗を見極め、異常な事態が報告された場合には全社を統率すべき部署であるはずだ。その損保ジャパンが「意図的なものでなく、組織的な関与はない」とするビッグモーターの調査結果を受け入れ、その後自賠責保険を独り占めする流れには、どう考えても恣意的なものを感じるのが妥当だろう。
保険金詐欺の主犯がビッグモーターだとしたら、損保ジャパンはその揉み消しに関わった共犯という指摘があっても抗弁しにくい状況だ。
道路運送車両法施行規則62条には、明確に「依頼されない点検・整備を不当に行い料金を請求しないこと」と規定されている。簡単に言うと「押し売りはするな」という感じだが、ビックモーターで行われていたのは、こんな規定を嘲笑うかのような器物損壊行為だ。
法の精神も、保険会社としての矜持も失った損保ジャパンには厳しい視線が向けられている。
白川儀一社長は22年5月に「37人抜き」で社長に抜擢された「やり手」のようで、就任時の会見では「本当に顧客のためになる損害保険」について、自説を展開している。今回の事態でテレビの取材に応じた白川氏は「不正を見抜けなかった」と陳謝している。
不正監視部門とも言える部署を含めて5人もの出向者が在籍しながら、損保3社の調査結果に対するビッグモーターの「組織的・意図的ではない」という説明を、他社が納得していないにも関わらず、すんなり受け入れた。もはや、「不正を見抜けなかった」というよりは、「不正の隠蔽に加担」した行為と指弾されても、抗弁しにくいはずだ。
ビッグモーター問題は、自動車修理業のみならず損害保険会社や損害保険協会にも、大きな逆風となって吹き荒れている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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