土壇場だった楽天モバイルが、大キャンペーンで攻勢に転じたワケ! (2)

2023年5月21日 16:08

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 12日、楽天モバイルがデータ利用量の上限撤廃を発表してナゾの輪郭が見えて来た。今まで高額なローミング費用を嘆いていたはずの楽天モバイルが、 KDDIとのローミングでデータ使用量の上限を撤廃した「Rakuten最強プラン」を、6月1日から開始すると発表したからだ。

【前回は】土壇場だった楽天モバイルが、大キャンペーンで攻勢に転じたワケ! (1)

 これまで楽天モバイルの料金体系は、3ギガバイト(GB)までの980円(税別)、20GBまでの1980円(同)、無制限の2980円(同)となっていたが、KDDIのローミング利用の場合には5GBが上限で、上限を超えると速度が制限されていた。

 だから、いくら使い放題を喧伝してもヘビーユーザーからの「5GBを超えたら遅くなるでしょ!」という指摘には弱かった。「Rakuten最強プラン」では名実ともに制限がなくなるから、「KDDIのローミングが(劇的に?)安くなった」以外に想定できることはない。

 相対の交渉なので内容は不明だが、KDDIがローミング料金の引き下げを飲んで大人の対応をしたようだ。あんまり揉めて、ヤブヘビになることは避けたい思惑もあっただろう。

 15日には、楽天グループが3000億円規模(16日には3300億円規模になった)の公募増資計画を進めていることが分かった。今までの資金調達が設備投資資金の確保を目的としていたものだとすると、今回の増資は間近に迫った社債償還に備える性格を併せ持ったものだ。一晩で規模が10%拡大しているは幸先がいい。

 4月18日の記者会見で、松本総務相はプラチナバンド700MHz帯の未使用部分の割り当てを、今秋を目処に行うことを明らかにした。今後開催される「情報通信審議会」で「割り当て可能」のお墨付きを得てから、審査基準の策定手続きを進めるとしている。翌日楽天モバイルは早速、総務省に対して「プラチナバンド」の割り当てを申し入れたと発表した。

 NTTドコモ、KDDIやソフトバンクにも割り当てを求める資格はあるが、既に相応の帯域を確保していることや、プラチナバンドを巡って行われた近年の議論を踏まえると、楽天モバイルが念願のプラチナバンドの割り当てを受けることで落ち着きそうだ。

 楽天モバイルが6月1日から「Rakuten最強プラン」を開始すると華々しく打ち出していることも、多彩なキャンペーンを展開していることも、その流れを確信した上のことだろう。

 額面通りに受け取って競合各社の商品を比較すると、「Rakuten最強プラン」のコスパが優れていることは理解できる。快進撃を始めるために必要なのは、「繋がりにくい」という固定化したイメージからの脱却だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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