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ASNOVA、2Q売上高は前期比+11%の14億6,300万円で着地 4月からの大幅な足場投資や機材の高稼働が寄与
トピック
上田桂司氏(以下、上田):株式会社ASNOVAの上田と申します。本日は第2四半期の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
今回はトピックが大きく3つあります。1つ目は、第2四半期の業績が予想を上回って着地することができました。詳しくは後ほどご説明します。2つ目は、8月25日に佐賀県鳥栖市、9月12日に栃木県上三川町に機材センターを新たに出店しました。3つ目は、通期の業績予想を大きく上回る見込みとなったため上方修正しました。この点も後ほど詳しくご説明します。
損益計算書(対前年同期比)
第2四半期の業績についてです。売上高は前年同期比11パーセント増、金額にして1億4,500万円増加しています。例年と比べ、足場投資額を大幅に増やしたことが大きな要因となっています。
営業利益は前期の4,700万円から900万円減少していますが、これは例年と大きく違い、4月から足場投資することで、足場の減価償却費が期初から大きく発生しています。後ほどお話ししますが、大きく増加する減価償却費を上回るように、レンタル事業の収益を上げることで、通期予想を上回って着地する予定です。
第2四半期の予想と実績
5月に発表した予想に対する第2四半期の業績は、4月から続く機材の想定以上の機材の高稼働率や受注、そして機材センターの新規出店によって、経常利益が予想を上回り、黒字で着地しています。
営業損益増減要因分析
営業損益の要因分析です。レンタル収益は1億4,500万円の増加ですが、足場への積極的な投資による減価償却費の増加、および2センター出店による出店経費が減益要因となっています。しかし、将来のための積極的な投資によって減少しているため、事業そのものは大きく成長しています。
当社はまだ投資フェーズであるため、直近では大きな利益増は見込めませんが、投資フェーズから安定期、回収フェーズに移ると利益率は大幅に改善すると見込んでいます。
貸借対照表(対前年同期比)
BSについても、4月から足場機材の高稼働率もあり、大幅に足場投資を行いました。今期は昨年の倍となる24億円ほどの投資を予定しており、結果として、固定資産と有利子負債が大きく増加しています。
業績予想の上方修正について
2023年3月期の業績予想についてです。この度、通期業績予想を上方修正しました。営業利益は1億5,300万円から7,100万円プラスの46.6パーセント増益、経常利益は1億6,800万円から7,300万円プラスの43.5パーセント増益、当期純利益は1億1,100万円から4,200万円プラスの38.5パーセント増益と、それぞれ上方修正しました。機材の稼働率は例年に比べ10パーセントほど高く、4月から高稼働率が続いています。
リフォーム需要の増加や、今年も相次いだ自然災害の復興・復旧のための足場事業の増加、そして8月と9月に新たに機材センターを出店したことによる新規顧客の増加が要因と考えています。また、足場機材の高騰により、お客さまも足場の購入を控える傾向にあり、レンタルへの移行が進んだことも足場需要増への1つの影響であると考えています。
今年は、例年と比較して2倍となる24億円の投資を計画しており、投資額としては過去最高です。このように、足場のニーズ、社会性や重要性が増しています。
売上高進捗率
第2四半期の進捗率は24.7パーセントとなり、おおよそ例年どおりです。売上高は前期比11.1パーセント増の14億6,300万円となります。
投資フェーズと回収フェーズ
収益構造をご説明します。今期の予想営業利益率は7パーセントです。足場の投資フェーズでは、7パーセントからだいたい19パーセントへと推移し、回収フェーズの営業利益率は48パーセントへと大幅に高まります。
足場の減価償却期間は5年ですが、足場そのものは20年、30年と長く使用することができます。現在は投資フェーズにあるため、売上高が伸長した分のみが営業利益の増加となりますが、いずれ回収フェーズに移り、減価償却費が減少すると、営業利益率は大幅に高まります。
営業利益シミュレーション
スライドの図はよりわかりやすいシミュレーションです。現在は10期であり、期末には、足場保有額は約107億円になると思います。仮に3年後の13期まで15億円の投資を続けて足場保有額を150億円でストップした場合、それからも減価償却はどんどん進むため、18期の営業利益率は48パーセントを超えてきます。
ちなみに現在、約101億円の足場を保有しており、すでに償却済みの足場は80億円ほどあります。あくまでもシミュレーションですので、足場投資を150億円でストップした場合となりますが、いずれは償却済みの足場が収益を上げる構造となっています。
足場は工事現場をはじめ様々なシーンで使用されています
ここからは、主要事業である足場レンタル事業、ビジネスの特徴と優位性、市場環境、今後の取り組みについてご説明します。
主要事業の足場についてご説明します。足場は工事現場やそれ以外のさまざまなシーンで使用されています。新築やリフォームの現場であっても、工事の始めから完了まで足場は使用されていますが、最後は撤去されてしまうため、なかなか印象に残りづらい存在です。
しかし、足場は工事現場や社会インフラ、ひいては世の中を支え続ける、非常に社会性がある存在で、なくてはならないものだと考えています。最近では工事現場以外でも、例えばイベント等でも使用されており、その領域を拡大しながら、ますます可能性を広げています。
くさび式足場の特徴
一言で足場と言っても、実はさまざまな種類があります。当社が取り扱っているのはくさび式足場です。主に住宅や低中層の建物に使用されており、ハンマー1本で簡単に設置や組み立てができることが特徴となっています。施工効率、運搬効率、保管効率の高さが三大特長であり、お客さまの施工費用が抑えられるほか、輸送コストも従来の3分の2程度にすることができます。
ビジネスフロー
実際に足場がどのような場面で利用されるのか、また、どのような流れで当社にレンタルの依頼があるのかを、簡単にご説明します。
施主からリフォーム業者へリフォームの依頼があり、リフォーム業者が足場設置のために足場施工業者を手配します。ここで、足場施工業者が自社で足場を保有していない場合、あるいは不足している場合、足場レンタル会社である当社にレンタルの依頼があります。そして、現場で組み立て、使用され、リフォーム工事が完了すると機材が当社へ返却されるというサービスフローとなっています。
なぜくさび式足場をレンタルをするのか
当社がなぜくさび式足場に特化しているのかについてお話しします。くさび式足場は、日本で最も普及している足場です。マンションに限って言いますと、685.9万戸のストック戸数のうち、実に94.6パーセントを占める648.8戸が低中層マンションですので、くさび式足場が使用される現場です。
また、低中層マンション以外にも住宅や商業施設、高さ45メートルまでのビルにおいても使用できるため、大多数の現場でくさび式足場が使用されています。当社はくさび式足場に特化することで、幅広いニーズに応えています。
ビジネスモデル
ビジネスモデルをご説明します。当社は、事業規模が比較的小さい足場施工業者からの依頼が大半を占めています。また、足場施工業者以外にも、リフォーム会社や工務店、塗装会社、イベント会社など、多くの業者から依頼を受けています。最近はDIYの流行から、個人からの依頼も増えており、毎年200社から300社ほどの新規のお客さまが増えています。
ポジショニング(仮設業界)
足場には、くさび式足場以外にも、高層ビルや高層マンションに適した枠組足場や次世代足場などさまざまな種類があります。当社は、枠組足場や次世代足場をレンタルする大手レンタル会社と違い、事業規模が比較的小さな足場施工業者からの依頼が大半を占めています。
現在2,400社ほどのお客さまと取引していますが、大手ゼネコン・大手建設会社に依存していないため、1社あたりの売上高が比較的小さく、リスクが分散されている点が大きな特徴です。
ポジショニング(同業他社)
同業他社はくさび式足場に特化しているレンタル会社で、すべて非上場会社です。その中でのポジショニングになりますが、当社は拠点数、足場の保有量ともにNo.1のシェアを占めており、同業他社の中で1番拠点数の多いA社と比較しても倍の拠点数を構えています。
顧客がレンタル会社を選定する際に重要視する項目
ビジネスの特徴と優位性をご説明します。お客さまが足場のレンタル会社を選定する際に、最も重要視する点は「いつでも、近くで、安心して」借りることができるという3つになります。お客さまに毎年実施しているアンケートで、この3つを重要視したいという声が必ず上がっています。この声にお応えするための当社の取り組みをご紹介します。
いつでも/足場機材への投資
いつでも借りたいというニーズに対し、当社は足場の保有量にこだわっています。現在、新規顧客の増加とセンター出店に伴い、年間10億円以上の足場投資を行っており、9月末時点で約101億円の足場を保有しています。
くさび式足場のレンタル事業において機材センターの一般的な保有量は、だいたい1拠点あたり約5億円の足場機材とされています。他社の機材センター数から推測される保有量と比較しても、当社のくさび式足場の保有量は強みであると考えています。
そして、この保有量が、いつでも借りたい時に借りることができる理由です。くさび式足場に限って言えば業界No.1の保有量になっており、今期は大規模修繕工事および自然災害の増加、新センターの新規出店のため大幅に投資を増やし、例年の2倍の24億円の投資を行います。
いつでも/AI予測を用いた需要予測
また、AIを用いた需要予測を取り入れることで、前もって必要な機材を揃えることができます。レンタル事業で培ったデータにより、AIが3ヶ月から約1年先の需要を予測し、必要な時に必要な量を借りられる体制を作ることで、お客さまがいつでも借りられることを実現したいと考えています。これにより無駄な材料移動をなくしてコスト軽減や稼働率向上につながっています。
近くで/新規出店
次に、近くで借りたいというお客さまの声にお応えするため、当社は今期、合計で全国に19拠点の機材センターを展開しています。中部地方に5拠点、関東地方に7拠点、関西地方に4拠点、中国地方と東北地方、そして九州地方にそれぞれ1拠点ずつ構え、幅広いエリアをカバーすることができています。
今後も、顧客の利便性を追求するとともに、新たな市場開拓を進めるため、地域の商圏分析、顧客ニーズの分析を進め、住宅着工数が多い都道府県、基幹産業の多い都道府県や将来人口予測で人口減少の少ない都道府県、足場レンタルの需要の多いエリアにドミナント出店していきます。
近くで/ASNOVA STATION(パートナーを通じた地方展開)
さらに、近くで借りたいというお客さまの声にお応えするため、パートナーを通じた地方展開、「ASNOVA STATION」を行っています。当社は現在、19拠点のセンターを展開していますが、いち早く社会課題を解決するためには、日本全国に機材センターを拡大することが必要だと考えています。
そこで、より多くの地域に足場レンタルのサービスを届けるために、パートナー企業を通じたレンタル事業に重きを置いています。詳細はこのあとの成長戦略にてご説明しますが「ASNOVA STATION」を展開していくことで、全国各地に足場がレンタルできる環境を整えます。
安心して/お客様からの信頼
最後に、安心して借りたいという声に応えるため、品質、正確さ等の対応力にこだわっています。スライドの左の図は、アンケートの結果、つまりお客さまから当社ASNOVAに対する評価です。品質や迅速さや誠実さ等、非常に高い評価をいただいています。
このような評価から、新規のお客さまは既存のお客さまからのご紹介が大半で、年間150社以上増えており、現在では約2,400社と取引しています。お客さまの特長としては、一度契約すると、長く安定してお付き合いしていただける方が多いため、ストック型のビジネスとなっています。
また、1社あたりの売上高は大きくはありませんが、平均売上高は年間約100万円です。特定のお客さまに依存していないため、リスクが分散され、安定した収益を得ることができています。
安心して/WEB受発注システム
さらに安心して足場を借りていただくために、Webでレンタルの受発注が行えるサービスを始めました。これまで受発注は電話やFAXで行っていましたが、効率や確実性が低く、人的ミスも多発していました。
システムをWebに移行したことで、煩雑な発注作業などの業務量を減らすことができたため、人的ミスの減少にもつながっています。また、先ほどご説明したAIによる需要予測をWeb受発注システムのデータとつなぐことで、より正確な受注予測につながると考えています。
足場レンタル需要の拡大
当社を取り巻く市場環境と社会課題についてご説明します。足場レンタルの需要は年々拡大しています。理由は大きく分けて3つあります。1つ目は老朽化マンションの増加によるマンションリフォーム需要の増加、2つ目は集合住宅への関心や国のバックアップによる住宅リフォーム需要の増加、3つ目は自然災害による復興・復旧のための足場需要の増加です。これら3つの市場拡大により、足場レンタルの需要と社会性は年々増加しています。
高経年マンション増加
老朽化しているマンションの戸数増加についてです。高経年化したマンションの増加は大きな社会課題となっています。築30年以上の分譲マンションの総戸数は、約20年後には現在の約2.4倍に増加すると予測されています。
高経年化したマンションは共有部分である外壁などの劣化、鉄筋の露出や腐食、給排水管の老朽化など、生命や財産に影響する問題を抱えています。これらの老朽化した分譲マンションは、長期修繕計画に基づいて12年周期で修繕が行われるため、リフォーム市場の拡大が見込まれています。
また先日、日本経済新聞に、老朽化したマンションの大規模改修を行いやすくするため、2024年度から法律が改正される見通しであるという記事が掲載されました。これまで改修には所有者全員の同意が必要でしたが、5分の4以下にする案が検討されています。法律の改正が実現すると、今後ますますリフォーム市場が拡大すると想定しています。
分譲マンション大規模修繕需要
分譲マンションにおけるリフォーム市場の規模についてご説明します。スライド左側に記載しているグラフは、分譲マンションの大規模修繕工事において、足場を使用した工事のみを行った時の市場規模を表しています。2021年から2022年は新型コロナウイルス感染症の影響により、市場規模は2020年と比べて減少する予想です。しかし、2023年以降は堅調に回復すると予想されています。
また、右側の円グラフは大規模修繕工事の内訳を表していますが、修繕工事の過半数は足場を必要とすることがわかります。このような分譲マンションの老朽化により、今後修繕が必要なマンションの件数はますます増えていくと予想されています。
住宅リフォーム市場
住宅リフォーム市場についてご説明します。近年、新築住宅着工件数は異動する世帯の減少や住宅の平均築年数が伸びていることにより減少傾向です。しかし、外出自粛やテレワークの普及により住宅への関心が高まったことに加え、国によるバックアップが後押しとなったことで中古住宅への関心も高まりました。このような理由から住宅リフォームの市場規模は堅調に推移していくと予想されています。
スライド右側に記載しているグラフは、戸建住宅におけるリフォーム経験者の割合を示しています。上位2つは外壁と屋根の修繕で、どちらも足場を必要とする工事です。これからもわかるように、今後ますます足場のレンタル需要が拡大すると予想しています。
自然災害の増加
自然災害の増加についてです。近年、地球温暖化による気候変動などの影響から、自然災害の発生頻度が高まっています。また、建物の老朽化により被害規模は大きくなっています。さらに、自然災害や老朽化による屋根を修理するための家計支出が増加したことから、2020年に屋根の修理費が消費者物価指数に追加されました。
災害後の復興や復旧、建物の老朽化対策が必要となることで、これからますます足場が必要とされます。このような社会課題の解決に取り組むため、足場レンタル事業の拡大がより必要だと考えています。
社会的課題に対応し、循環型社会の実現へ
まとめとなりますが、当社は環境負荷の少ない足場レンタルビジネスで、循環型社会の実現を目指していきたいと考えています。老朽化によるマンションの修理修繕需要の増加や、生活環境の変化によるリフォーム需要の増加、自然災害による復旧の増加などの社会的課題の解決に努めます。
成長戦略について
当社がさらに成長するために行っている今後の取り組みや、戦略についてご説明します。まず、経営基盤を強化することで既存事業の拡大を図り、新規事業にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。新規事業と、それらを支える経営基盤の強化にどのように取り組んでいるのかを詳しくご説明します。
ASNOVA VIETNAM
海外で展開する新規事業、ASNOVA VIETNAMについてご説明します。著しい成長を続けるベトナムでくさび式足場のレンタル事業を開始しました。
ベトナムは2014年から2019年まで、プラス6パーセント以上の経済成長率を維持しています。新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年と2021年の経済成長率は2パーセント台でしたが、今年は長期都市開発計画の推進により、6パーセント台にまで回復する予想で、5年後も経済成長率は6パーセントを維持すると予想されています。
ベトナムにおいて消費の中心となる中間所得層が増えたことにより、住宅購買層も増加しています。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により停滞していた建設計画が、ロックダウンが解除されたことで一気に再開し、足場の需要も高まっています。
魅力的な労働力
これまで、経済成長に関しては中国が注目される傾向にありましたが、新たに注目されているのがASEAN諸国です。経済成長に加え、国民の若さからくる豊かな労働力は、海外進出を検討している企業にとって非常に魅力的です。
その中で、ASEAN第3位の人口を誇るベトナムは特に注目されています。理由としては、経済成長による国内消費市場の拡大や、平均年齢31歳という若く豊かな労働力、さらに高い親日感情による日系企業の販売への追い風などがあります。ASEAN主要6ヶ国の中でも、ベトナムは新型コロナウイルス感染症の収束後、国内消費市場はさらに成長すると期待されています。
ベトナムにおける日本製品の品質、安全性、信用力
当社が2017年より行ったテストマーケティングにおいて、建設市場のレンタルニーズが非常に高いことと、日本製は品質の面でベトナム製品より高い信頼を得ていることがわかりました。日本から輸送したくさび式足場は、ベトナムで非常に高い信用を得ています。
ベトナムで製造されている足場は品質があまりよくないため、5年程度で買い替えが必要になります。一方、日本製の足場は、徹底した管理を行えば20年、30年と長く使用することができます。これからも品質、安全性の高い機材を提供していきたいと思います。
シェアNo.1を目指す
現在、1,000トン近い足場をベトナムに輸送しています。今後も足場の投資を積極的に進め、ベトナムで足場シェアNo.1を目指したいと考えています。詳しくは「YouTube」に公開していますので、ぜひご覧ください。
ASNOVA STATION(パートナーを通じた地方展開)
2つ目の新規事業、ASNOVA STATIONについて詳しくご説明します。当社は現在19拠点の直営機材センターを展開しています。いち早く社会課題を解決するためには、日本全国に機材センターを設けることが必要です。そこで、より多くの地域に足場レンタルのサービスを届けるため、パートナー企業を通じたレンタル事業に挑みます。
このASNOVA STATIONサービスを展開することにより、全国各地でいつでも、近くで、安心して借りられることを実現します。2023年3月期のSTATIONパートナー拠点数は、すでに10拠点を見込んでいます。当社のセンターと合わせると、29拠点になる見込みです。
ビジネスモデルASNOVA STATION
ASNOVA STATIONのビジネスモデルについてです。まず、当社からレンタル事業を運営していただくパートナー企業に、ASNOVAの商標、レンタルのノウハウ、足場機材を提供します。そしてパートナー企業は、施工会社へ機材をレンタルし、施工会社からレンタル料金をいただきます。
当社はパートナー企業と施工会社の間でレンタルが発生した場合のみ、パートナー企業よりレンタル料金をいただきます。それとは別に、パートナー企業から月々のサポート料金をいただく仕組みとなっています。
売上高推移(見込み)
パートナーの拠点数と売上高の見込みについてです。ASNOVA STATIONでは、機材センターの土地と管理する人材は、パートナーが準備します。そのため、スピード感をもって拠点を展開することが可能となります。2023年3月期では、少なくとも10社のパートナー企業を展開し、翌年には18社、2025年には30社に拡大する予定です。
2023年3月期第2四半期の決算についての報告は以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:機材価格の上昇や業界の再編について/h2>
質問者:2点質問します。1点目は、足場機材は何パーセントくらい価格が上昇したのか教えてください。価格転嫁について影響は軽微ということですが、レンタルとするか購入するかという部分で、おそらくどこかでブレークダウンする場所があるのだと思うのですが、その位置を教えてください。
また、レンタルにシフトする機運が高まっているとのことですが、足場施工業者さまは、以前購入した足場は廃棄したのでしょうか? なぜ、レンタルにシフトする機運が高まっているのかを教えていただきたいです。
2点目の質問は、スライド22ページのポジショニングについてです。同業他社と比較した機材センター拠点数は19拠点で1位ということですが、A社さま以下が今後御社のパートナーになるなどの流れはあるのでしょうか? M&Aという表現が適切かわかりませんが、いわゆる業界の再編のような流れは今後起こりえるのでしょうか?
上田:1つ目のご質問についてお答えします。現在仕入価格は4割ほど上がっています。くさび式足場を保有される大半のお客さまが、ある程度材料を保有していますが、保有できる量は当然、資材置き場の広さが影響します。
平均で200坪から300坪ほどの機材センターに資材を保有していますが、資材センターでの保有数を超える受注があった場合は、レンタルするという傾向があります。また、足場は消耗品ですので、毎年一定程度は消耗、紛失ないし破損され、一定数は購入されると思います。
足場は20年、30年持つと言われていますが、現在4割ほど価格が上がっているため、例年であれば購入していたけれど、今年はレンタルしてみようという流れがきていると思います。
今年は、これまでは足場を購入していたけれど、今回はレンタルを試してみたというお客さまが非常に多かったと思います。1度レンタルを試していただければ、非常に便利だと気づかれると思います。
将来的な償却も考えると、当然購入するほうがキャッシュアウトも少ないかもしれません。しかし、一時的なキャッシュアウトは購入したほうが多くなるため、レンタルのほうが便利です。今年は、購入とレンタルを組み合わせてみようと思われたお客さまが非常に多かった傾向にあります。
価格転嫁に関しては、今年9月からレンタル料を上げましたが、思った以上に多くのお客さまのご理解を得ることができました。すべてのお客さまに対してレンタル価格を上げさせていただいたことも、今回の通期業績予想の上振れの要因となっています。
2つ目の業界再編の可能性については、私も検討したこともないですし、十数年そのような話も持ち上がったこともないため、現在は考えにくいのではないかという現状です。
質疑応答:業界の次世代足場への移行について
質問者:働き方改革や安全性の問題で、枠組足場にしてもくさび式足場にしても、どちらも次世代足場に移行していく業界の流れだと理解していたのですが、くさび式に特化することのリスクはないのでしょうか?
上田:足場施工業者が保有している足場の大半がくさび式足場になりますが、旧来の枠組足場も、実は1970年代から多く販売されており、まだ大量に流通しています。おそらく全体で見れば、枠組足場が3分の1強を占めていると言われるほどです。
新たな足場が出てきているとはいえ、まだ枠組足場が50年以上活躍している以上、足場の手技が大きく変わっていくとは考えづらいと思います。すでに、施工業者の大半がくさび式足場を保有しており、その償却の終わったくさび式足場をわざわざ入れ替えて、次世代足場に移行していくという急激な動きは考えづらいです。
次世代足場は超高層マンションなどに多く使用されていますが、このくさび式足場は低層と言いながらも、高さ45メートルまでの現場であれば使用できます。むしろ次世代足場よりも便利ですし、そのような意味でもうまく住み分けができており、大きく次世代足場に変わっていくことはあまり考えていません。
質疑応答:レンタル会社との競合関係について
質問者:現在、お付き合いのあるメーカーは何社くらいになりますか? また、レンタル会社との競合関係についても教えてください。
上田:だいたい4社、5社のメーカーから仕入れています。当然ながらメーカーは販売がメインのため、レンタルの需要が増えれば増えるほど販売の量が減るのではないかという問題が出てきます。
しかし実態としては、足場はそもそも消耗品であり、一定程度は紛失や劣化で必ずなくなっていきます。どちらかと言いますと、このレンタル会社が出てきたおかげで、よりこのくさび式足場が普及するかたちになった面もあり、販売会社ともうまくお付き合いは続けています。
一部のメーカーもレンタル事業を始めていますが、レンタルはやはり特殊な事業で、管理が非常に難しいです。メーカーがレンタルに大きく踏み込めない理由がそこにあり、そのようなあたりでうまく住み分けしながら、共存しているかたちになっています。
質問者:特にどのメーカーと親密で、連携が強いといった関係はありますか?
上田:大きく仕入れているのは信和さま、KRSさま、光洋機械産業(KYC)さまの3社ですが、どこかに依存しているという状況ではなく、3分の1程度ずつ分散しています。
質疑応答:大手レンタル会社のくさび式足場の取り扱いについて
質問者:大手のレンタル会社がくさび式足場を扱わないのは、単に顧客が小規模で、管理が難しいからという理由だけなのでしょうか?
上田:やはりそれが大きな要因になります。大手レンタル会社のお客さまは大半が大手ゼネコンになるため、顧客層がまったく違います。そのため、今までほとんど相見積もりになったことはありません。
質問者:大手もくさび式のストックはそれなりに持っているものなのですか?
上田:厳密に言いますと、次世代足場というのはくさび式足場になります。そのような意味では、当社が扱っているくさび式足場は保有されていませんが、次世代足場ないしは枠組足場、その他の機材も大手レンタル会社はたくさん保有されています。
質問者:中小企業の間ではくさび式足場を使う流れがまだそれほど広がっていませんが、その流れが広まると、中小企業の間でも次世代を保有している企業の利用が増えてくる可能性がありますか?
上田:あると思います。
質疑応答:
司会者:「今回上方修正されましたが、その理由についてあらためて教えてください」というご質問です。
上田:やはり大きくは今期、2センターを新規竣工したことで、お客さまが非常に多く増えました。それに加え、足場投資を昨年のほぼ倍となる24億円で予定しています。お客さまの需要にしっかりお応えすることができたことが、上方修正の一番大きな要因だと考えています。
質疑応答:東証への上場について
司会者:「今後、東証への鞍替えは検討していますか?」というご質問です。
上田:時期はお話しすることができませんが、いち早く東証へのステップアップを目指して頑張っていきたいと考えています。
質疑応答:価格設定について
質問者:価格設定についてです。まず収益性を設定し、購入額から逆算して価格を設定しているのでしょうか?
上田:そのとおりです。足場の減価償却は5年となります。年間稼働率を約60パーセントと仮定し、4年弱で回収できるぐらいのレンタル単価を設定しています。
質問者:今回、仕入価格が40パーセント上昇したということは、それに合わせて単価も40パーセント値上げしたのでしょうか?
上田:通常であれば、期初は閑散期のため稼働率が60パーセントを下回るくらいなのですが、今年に限っては75パーセントを超えていました。現在も90パーセント近い高稼働率がずっと続いているため、そのあたりで価格上昇分を相殺した部分があります。
仕入価格のアップに関しては20パーセントほどの価格転嫁で、機材の高稼働率が売上を上回っているかたちになります。
質疑応答:ベトナム法人について
司会者:「ベトナム法人が開設されて2ヶ月弱になりますが、感触はいかがでしょうか?」というご質問です。
上田:今年10月に現地法人を設立し、本格的なレンタル事業の開始は来年1月からとなります。当然ながら、すでに営業活動は始めていますが、非常に受注環境が良く、営業に行くと、「足場の種類に関わらずとにかく足場を引いてほしい」というような状況です。輸送する足場次第ですが、おそらく来年は大きく稼働が見込めると思います。
質疑応答:くさび式足場について
司会者:「現時点でくさび式足場がベストの足場なのでしょうか? 足場というのは、どのくらいの年数でまったく新しい製品が出てくるのでしょうか?」というご質問です。
上田:用途ごとに足場の種類は変わりますし、その現場ごとでベストな足場があります。そのような意味では、足場が使用される現場の大半が住宅やマンションになるため、くさび式足場に特化することが一番だと考え、当社は他の足場を保有せず、このくさび式足場の保有にこだわってきました。
先ほどもお伝えしましたが、旧来の枠組足場や別の足場も流通しています。今後、新しい足場も開発されて市場に出てくると思いますが、このくさび式足場の需要は依然としてあると考えており、大きな入れ替えが起こることはなかなか想定しづらいと考えています。
質疑応答:足場の実際の耐用年数について
司会者:「足場の償却期間は5年とのことですが、実際のところは何年ぐらい使用できるのでしょうか?」というご質問です。
上田:こちらのスライドに基本的には20年、30年と長く使用することができると記載しましたが、これは管理のノウハウ次第です。当社が保有している足場の中で一番長いものは30年で、もしかすると40年、50年と長く使用することができる可能性もありますが、しっかり管理さえすれば、少なくとも20年、30年と長く使用することが可能です。
質疑応答:足場の管理費用について
司会者:「足場の管理費用は固定費に含まれるという認識でよろしいでしょうか?」というご質問です。
上田:機材センターにかかる費用は、足場の減価償却含めて、人件費や賃料も売上原価の中に含まれます。
質疑応答:ASNOVA STATIONのパートナー企業について
司会者:「ASNOVA STATIONのパートナーとなる企業の業種を具体的に教えてください。地方の中小建設会社が多いのでしょうか?」というご質問です。
上田:現在すでに10パートナーとの契約が進んでおり、大半が足場施工業者です。その他に、足場施工業者に近い例えばフォークリストを利用する業種や資材置き場を保有する業者など、足場施工業者以外のパートナーも今後は増やしていきたいと考えています。
質疑応答:今後の夢について
司会者:「20年後、30年後の貴社の夢は何ですか?」というご質問です。
上田:今後はステーションサービスも含めて、3年後には30拠点、将来的には50拠点ぐらいは増やしていきたいと思っています。1拠点でも20数ヶ所、全国で70数ヶ所、80ヶ所ぐらいの足場がレンタルできる環境を整え、いずれは「足場といえばASNOVA」と想像される会社になりたいと思います。
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