伊藤忠とパワーエックスが業務提携 蓄電池・EV充電事業の協業強化へ

2022年10月28日 07:43

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パワーエックスの蓄電池製品(画像:伊藤忠商事の発表資料より)

パワーエックスの蓄電池製品(画像:伊藤忠商事の発表資料より)[写真拡大]

 伊藤忠商事は27日、蓄電池製造などの事業を手がけているパワーエックスと業務提携契約を締結したと発表した。伊藤忠は、22年8月よりパワーエックスのシリーズAラウンドに参画。両社は今後、脱炭素の実現に向けて社会的に関心が高まっている蓄電池ビジネスや、EV充電分野での協業を強化していくという。

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 パワーエックスは、蓄電池の製造・販売や電気運搬船の開発などを手がけるベンチャー企業で、21年3月に設立。同年8月には、洋上風力発電所から船で電気を運ぶといった事業構想も立ち上げている。主事業は蓄電池で、22年6月には岡山県に日本最大級の蓄電池組立工場の建設を発表。同工場では、23年にテスト生産を開始し、24年春以降の出荷開始を予定している。

 同社は同じく27日、EV充電ネットワーク事業「PowerXチャージステーション」の発表会を開催。同社製の大型蓄電池とEV充電器を設置したPowerXチャージステーションを展開し、100%再生可能エネルギーによる急速充電サービスを提供していくと明らかにした。

 EV充電は国内最速級の早さで、時間制限なく利用可能。使い易さにもこだわり、専用アプリ1つで、充電予約やQRコードを用いた充電器の解錠、チャージ料金の決済まで可能なサービスを予定しているという。

 サービス開始の予定時期は2023年夏で、まずは港区、中央区、千代田区、渋谷区など都内中心に10カ所に設置していくという。設置先の候補は、東京ミッドタウンや成田国際空港、丸の内トラストなどで、現在各社と展開に向けて協議を開始。30年には全国7,000カ所への展開を目指しているという。

 パワーエックスは設立以来、着実に資本業務提携先を獲得。21年12月の今治造船との締結を皮切りに、その後は、日本瓦斯や日本郵船、関西電力などと資本業務提携を結んでいる。資金調達額も順調に増やし、シリーズAラウンドでは全体で50.7億円を調達。伊藤忠はAラウンド後半で参画した形となる。

 伊藤忠は、以前から蓄電池ビジネスを手がけており、蓄電システムの販売実績も豊富。同社は、パワーエックスの蓄電池・EV充電事業の立ち上げを支援すると共に、EV充電器から得られる蓄電池データなどを活用した、新たなビジネスの創出を目指している。

 両社は今回の業務提携を通じて、PowerX チャージステーションでの協業や、データ活用による新規ビジネスの創出、エネルギーマネジメント領域での事業推進など、複数事業で取組みを強化する予定。また伊藤忠は蓄電池ビジネスの知見や商社ネットワークを活用し、パワーエックスの蓄電池製造・販売サポートなどを行っていくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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