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OPECプラスが増産 原油価格への影響は!?
●OPECプラスが増産へ
OPECとロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスは8月3日の閣僚級会合で、9月に日量10万バベルを追加増産することで合意した。
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OPECは声明で余剰生産能力は限られており、慎重に活用する必要があると説明しており、小幅な増産に留まった。6月の生産量は増産幅が目標値に届かなかったという報道があったが、今回もその課題が浮き彫りになった形だ。
ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰から半年近く経過するが、解決の糸口は見ない。一方で、原油価格高騰などによるインフレも深刻であるが、景気減速懸念もあり、原油価格は一体どこに向かうのか?
●バイデン氏のサウジアラビア訪問
7月には米国バイデン大統領がサウジアラビアを訪問し、原油の増産を要請したとみられる。
バイデン氏は「数週間以内に措置をとることを期待している」と発言し、サウジアラビアには大きなプレッシャーになったはずである。
サウジアラビアとしては、ロシアとの協調に配慮しつつ、米国の意見も無視できない板挟みの状態であっただろう。今回、小幅な増産に留まったことは、バイデン氏のメンツをつぶされたと見る向きが多い。
●原油価格はどうなる?
8月3日の会合以降、WTI先物価格は下落し、1バレル=90ドルを割り込み、ロシアがウクライナに侵攻する前の安値に戻った。
3日にIEA(米国エネルギー情報局)の発表で、原油とガソリンの在庫が増えたことが統計で分かったことも影響した。
レジャーシーズンで在庫の減少が予想されていただけに、あらためて景気減速への懸念が高まっている。
中間選挙を控えるバイデン氏からすれば、サウジ訪問によるOPEC増産で、原油価格を下落させるというシナリオは崩れたと言える。結果的に原油価格は下がっても、それが景気後退によるものならば意味がない。
ウクライナ問題の終結もOPECプラスの増産もあまり期待できず、供給面による原油価格の下落よりも、景気後退による下落の方が可能性は高いだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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