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静脈企業:イボキンの今後の課題
5月1日の企業・産業欄に『静脈企業・リバーHDの強み』と題する拙稿を投稿した。製造業(動脈産業)の製品が廃棄された後、回収し再資源化・処理する業界トップクラスの「何故」を記したものだ。
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産業廃棄物の処理・再資源化は産業自体の効率化を促す、不可欠な事業である。暇にあかした四季報読みで、今度はイボキン(JQ上場)なる静脈企業を知った。そもそも目にとまったのは、その社名だった。
前身は1984年に設立された揖保川金属(2003年にイボキンに変更)。本社所在地は兵庫県たつの市揖保川町(夏の風物詩:ソーメン揖保乃糸の産地)。イボ=本社所在地かつ設立時の冠:揖保が源。キン=主要事業の金属事業の金からとったもの。社名の由来を調べるのも、それなりに楽しいものである。
イボキンの前12月期は、コロナ禍の経済停滞に晒された。動脈企業が生み出す製品が少ない状況下では、静脈企業は売り上げ減を強いられる。12.8%の減収。だが営業利益は7.4%増。採算事業であることが示されている。
今期も「12.7%増収、0.3%営業増益」計画と、ソロリ立ち上がった。が、1-3月期終了時点で早々に通期を上方修正。「29.5%増収(70億6100万円)、76.2%営業増益(5億7700万円)、10円増配40円配」。イボキンでは「鉄スクラップ相場の高止まりや銅スクラップ相場の上昇で、環境・金属事業が大幅な増収増益となった」と説明した。
第1四半期時点の各事業部門の状況は、こんな具合。
★解体事業: 解体工事は、大型案件4件を加えた観光件数53件(前年同期は大型ゼロ)。前年同期比131.1%増収、825・7%営業増益。受注残5億3000万弱。
★環境事業: 産業廃棄物処理を受託し、再生資源として販売する。前年同期は資源価格下落傾向だったが、上昇に転じ11.5%増収527.7%営業増益。
★金属事業: (鉄)スクラップの資源価格が前期下半期より高騰、高止まり。56.8%増収、営業利益7500万円強(前年同期は1900万円余の営業損失)。
市況産業の宿命を背負っている。株価もそれを映し出している。今年大発会の2169円から上方修正を挟み、6月24日の4020円まで倍近く急伸。本校作成中の時価は高値圏揉みあい。ただ18年8月2日の上場初値:2310円から19年7月19日の4180円まで上昇後、20年4月6日に1487円まで調整「地場相場」入り。時価は上場初値に比べ7割強上値にある。静脈産業(企業)への期待度を窺わせている。
イボキンの今後の課題は、四季報材料欄が記している点といえよう。「製鉄メーカーの電炉導入に伴う鉄スクラップ需要拡大に対応し取扱量拡大方針。PCやスマホなど情報関連機器のリサイクル受注に向け体制強化図る」。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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