がんや脳卒中のリスク検査する味の素の疾病予防サービス、太陽生命の保険で提供

2021年6月13日 17:04

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アミノインデックスリスクスクリーニングのサービスイメージ(画像:味の素の発表資料より)

アミノインデックスリスクスクリーニングのサービスイメージ(画像:味の素の発表資料より)[写真拡大]

  • 共同研究の枠組みイメージ(画像:味の素の発表資料より)

 味の素は10日、同社が開発した疾病発見や予防につながる「アミノインデックスリスクスクリーニング(AIRS)」が、6月より太陽生命が発売した「ガン・重大疾病予防保険」等の保険加入者が利用できる疾病予防サービスに採用されたと発表した。

 AIRSは味の素が開発し、検査は受託検査事業を手掛けるH.U.フロンティアが担う。太陽生命が6月1日より販売開始した新商品「ガン・重大疾病予防保険」の加入者へ疾病予防サービスとして提供する。

■アミノインデックスリスクスクリーニング(AIRS)とは
 AIRSは、1回5ミリリットル程度の採血で、3大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)や認知機能低下などのリスク評価を行う検査だ。味の素が2000年頃から研究開発を開始し、現在では地域の開業医を含め全国の医療機関で実施されている。

 通常のがん検査では原則、1回の検査で1つのがんの診断を行うが、AIRSでは7カ所(胃・肺・大腸・膵臓・前立腺・乳房・子宮・卵巣)まとめてがんリスクの評価が可能。がんが進行している場合はもちろん、早期がんのリスクも評価する。

 がん以外では、10年以内に脳卒中・心筋梗塞を発症するリスクや、現在認知機能が低下している可能性、認知症のリスク要因の1つである糖尿病を4年以内に発症するリスクなどの検査ができる。

 AIRS開発のベースには、味の素が長年行ってきた人のアミノ酸研究の実績がある。人の血液中のアミノ酸濃度バランスは、様々な疾患で変化する。それに着目し、複数アミノ酸の濃度バランスの違いを統計的に解析・指標化する技術や、短時間でアミノ酸を分析する技術などを開発。医療機関と連携し、データ収集や検査実施を進めてきた。

 厚生労働省の2019年人口動態統計によると、3大疾病は死因の5割を占めている。最も多いのは悪性新生物(がん)で27.3%、以下、心疾患15%、脳血管疾患7.7%となる。がんの死亡率は年々上昇しており、昭和56年以降死因第1位をキープしているという。

 太陽生命のガン・重大疾病予防保険は、同社が取り組んでいる予防保険シリーズの第2弾。2018年の「ひまわり認知症予防保険」に続き、予防範囲を3大疾病に拡大した商品として位置づけている。AIRSは、有料の疾病予防サービスの1つとして提供。保険契約の1年後から2年ごと受け取れる予防給付金(特則付加が必要)をAIRSに充てることもできる。売れ行きは好調といい、発売初日は約3.5秒に1件成約したという。

 味の素と太陽生命は今後、契約者から得られたアンケート回答や検査結果などのデータを活用し、共同研究を推進。疾病予防につながるサービスの拡充と、疾病の早期発見の機会創出に貢献していくという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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