過去10年間で株価6倍、島津製作所の再考察 (上)

2021年5月9日 09:28

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「新型コロナウイルス変異検出コアキット」(画像: 島津製作所の発表資料より)

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 新型コロナウイルスの変異株が、コロナ禍収束を阻む「壁」として日増しに懸念が強まっている。そうした状況下で例えば、島津製作所(京都市)が本社を構える地元紙:京都新聞電子版は5月6日に『島津製作所、インド株対応のPCR検査試薬を開発 6月発売を目指す』という見出しで、「インド株の特徴となる変異遺伝子:L452Rを特定する試薬開発に成功。同時に英国株などの感染の有無を判断する試薬の発売を開始。英国・ブラジル・南ア株に共通する変異遺伝子:N501Yを区別・判別すると発表」とした。

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 「敵」を見定めないことには、闘いようがない。

 報道に接しまず、2つのことが頭に浮かんだ。

 1つは2002年にノーベル化学賞を受賞した、田中耕一氏のことである。そしてもう1つは島津製作所の株価動向はどんな具合か、だった。

 田中氏のノーベル賞受賞後の共同記者会見(だったと記憶しているが)に参加する機会を得た。当時の田中氏は、分析機器事業部主任。授賞理由を耳にしたが「ド」の字がつく理工系ダメ頭では「人間には体内に10万種の蛋白質がある。蛋白質は極めて軽い分子。1個が1gの“1億分の1~1000億分の1”」。「そうした非常に軽い分子の重さ(質量)を分析する方法を開発」。「細胞や血液中の蛋白質を調べられることで、癌の早期発見も可能になる」とくらいしか理解できなかった。

 ただ取材に当たり田中氏の経歴を調べ、妙に魅力を感じた。東北大学工学部出身。在学中1年間「留年」している。入学時に戸籍謄本である事実を知ったことのショックで、教養課程で単位を落とした結果だった。ただ卒業時には上位1割に入る成績。大学院の道を選択せず卒業後、ソニーの入社試験に臨み面接で不合格。知人の推薦から島津製作所に入社した。

 「もしソニーに入っていたら、ノーベル化学賞を得ていただろうか」と、当時思ったことを記憶している。現在の田中氏はいわゆるフェローの称号がつく「質量研究所」所長、また東北大学名誉博士など存在感を高めている。

 さてノーベル化学賞受賞者を生み出した島津製作所の、株価動向はどんな具合か。本校作成中の時価(5月7日)は3890円。2021年3月期の上方修正(2月5日)後4450円(22日)まで買われ、12%近く調整場面。IFIS目標平均株価は4545円。過去10年間の株価動向をみると12年の初値:659円から年々水準を切り上げ、前記の4450円へ。時価で捉えても10年余で5.9倍の上昇。

 改めて、島津製作所を調べてみることにした。(記事:千葉明・記事一覧を見る

続きは: 過去10年間で株価6倍、島津製作所の再考察 (下)

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