相場展望4月1日 潮流に変化か: (1)ハイテク⇒(2)景気敏感⇒(3)業績へ 米政権(1)インフラ投資発表へ (2)社会福祉策は4月に

2021年4月1日 09:14

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/29、NYダウ+98ドル高、33,171ドル
  ・ワクチン普及に伴う経済活動の正常化期待が高まり、ボーイングの受注発表もあり、NYダウは連日で市場最高値を更新した。
  ・エジプトのスエズ運河通行再開により、貿易の混乱が正常化に向かうとの見方もあり投資家心理の改善につながった。
  ・ナスダックは長期金利上昇が重石となり下落した。

【前回は】相場展望3月29日号 米個人給付金の3割の約9兆円が株式流入⇒米国株高の要因 日銀は高株価操縦を3/24に復活か⇒株価戻り高

 2)3/30、NYダウ▲104ドル安、33,066ドル
  ・米10年国債利回りは一時1.776%まで上昇したこともあり、利益確定売りが売り優勢となり、反落。
  ・長期金利上昇で利ザヤ拡大が期待される金融株が上昇した。

 3)3/31、NYダウ▲85ドル安、32,981ドル
  ・3月最終日の取引だったこともあり、米国の景気回復期待で上昇が目立った景気敏感株に、短期的な過熱感を警戒した利益確定売りが優勢となった。(日経新聞)
  ・ナスダック総合は長期金利上昇が一服したこともあり、反発した。

●2.米国株の潮流に変化あり

 1)潮流の変化
  (1)ハイテク ⇒ (2)景気敏感 ⇒ (3)企業業績へ

 2)米国株の上昇率は鈍化し始めて、次第に重苦しくなってきている
  (1)NYダウは史上最高値を更新も、株価牽引主役はハイテク⇒景気敏感⇒半導体へと、業績上昇が見込める半導体株に移行しているが、物色銘柄の転換エネルギー不足が目立ち始めた様子。
  (2)米国株式上昇の息切れは、超融緩和によるマネーゲーム化に発露していることで見て取れる。
   ・長期金利上昇をきっかけにハイテク株の反落
   ・ゲームストップ株、銀、仮想通貨の暴騰と急落

 3)経済正常化という『期待』から、現実的な『実績直視』へと移ってきている
  (1)成長期待で株価急騰したハイテク株は、2/16をピークに約▲10%下落し、相場の牽引役から後退した。
  (2)その後、景気回復期待で景気敏感株が急伸したが、過熱感から売り優勢が見受けられるようになった。
  (3)相場の流れは、4月の企業決算発表に移っていき、『業績相場に移行』する可能性が出始めた。それは、好調な企業業績発表が見込まれる半導体株の復調に見て取れると考える。

●3.3/31発表の米大統領、第1弾の「8年間、2兆ドル(約220兆円)インフラ投資計画」提案へ。第2弾の社会福祉政策発表は4月後半に(日経新聞より抜粋

 1)2兆ドルのインフラ整備計画の内容
  (1)運輸: 道路・橋・鉄道・EV整備   6,210億ドル
  (2)製造業: 半導体など米国生産強化等   3,000
  (3)研究開発: AIやバイオ         1,800
  (4)デジタル: 高速通信網          1,000
  (5)電力  : クリーンエネルギー      1,000
   など

 2)財源確保は企業増税(15年間で2兆ドルの企業増税で投資を賄う)
  (1)連邦法人税引上げ : 税率21%⇒28%
  (2)企業の海外収益課税2倍 : 21%
  (3)大企業にミニマム税導入 : 最低でも15%課税

 3)今回のインフラ投資は、バイデン政権が2段階で打ち出す成長戦略の第1弾となる。第2弾は、4月後半に、医療など社会福祉の拡充策を発表する予定。今回の発表と合わせると、歳出と増税の規模はさらに膨らむことになる。

 4)新たなインフラ投資計画の実現性は不透明感がある。
  (1)共和党は、景気回復に水を差すおそれのある企業増税に反対姿勢。
  (2)民主党でも、中道派と左派で、財政支出の優先度や増税時期で意見が分かれている。
  よって、政権と議会の交渉が長引くのは避けられない。

●4.株式市場の好材料が継続

 1)バイデン米大統領は3/25、新型コロナワクチン接種について4/末までの2億回を目指すと表明した。すでに従来目標の1億回を達成したため、倍増した。

 2)ミシガン大学3/26、3月消費者態度指数は上方修正し、1年ぶりの高水準だった。
  (1)追加経済対策による現金給付と、(2)想定よりも順調なワクチン普及が、景況感の改善につながった。

 3)米連邦準備制度理事会(FRB)は3/25、新型コロナ蔓延で大手銀行に課していた株主還元制限を6月末で解除すると発表した。これは、経済正常化が進んでいることを示唆し、投資家心理向上させる。

●5.米投資会社アルケゴスが苦境で、米メディア株を投げ売りしたため急落(日経新聞より抜粋

 1)アルケゴス・キャピタル・マネジメントは、欧米メディアによると、保有するメディア株の下落で打撃を受け、担保の追加差し入れ(追証)を求められたが対応できずに、メディア株などを投げ売りしたようだ。

 2)米ブルームバーグによると、金融のゴールドマン・サックスは3/26にバイアコムや百度など合わせて105億ドル(約1.15兆円)相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」をしたと、伝えた。モルガン・スタンレーやドイツ銀行などもアルケゴスとの取引があったという。

 3)損失額関連
  ・野村は3/29、米顧客との取引で約20億ドル(約2,200億円)の損失が生じる可能性を発表した。
  ・スイス金融大手のCスイスは3/29、1~3月期の損失は「巨額になる」と発表した。英フィナンシャル・タイムズは損失額が30~40億ドル(約3300~4,400億円)と伝えた。(時事通信)
  ・JPモルガン・クエースは、アルケゴス関連の損失は金融機関で50~100億ドル(約5,510億円~1兆1,030億円)に上る可能性があると指摘した。(ブルームバーグ)

 4)このアルケゴスの巨額の売り注文は、持ち高整理を示唆する動きであり、余波への警戒が広がる。(日経新聞)

●6.米10年債利回りは3/31、1.74%で再上昇(フィスコ)

●7.米3月消費者信頼感指数は109.7と、1年ぶり高水準(フィスコ)

 1)2月の90.4と、予想96.9からも上回って、昨年3月以降の高水準となった。

●8.米住宅価格指数(主要20都市)は前年比+11.2%上昇し、前月+10.2%から拡大(ロイター)

●9.企業動向

 1)ボーイング サウスウェスト航空から737MAXを100機の契約締結(みんかぶX)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/29、上海総合指数+16高、3,435(亜州リサーチ)
  ・先週末の好調を継ぐ流れで、景気期待も持続。
  ・ただ、中国と西側諸国の対立が警戒され、上値は重い。

 2)3/30、上海総合指数+21高、3,456(亜州リサーチ)
  ・世界銀行は中国の経済成長率を8.1%に急上昇するとの見通しを示した。主要企業の決算報告で増益など好決算を明らかにすることが材料視された。
  ・相場を大きく動かす新規材料は乏しく、積極的な売買は手控えられている。

 3)3/31、上海総合指数▲14安、3,441(亜州リサーチ)
  ・投資家の慎重スタンスが強まった。米中対立の警戒感が依然としてくすぶっている。
  ・新疆の人権問題を巡って、中国と欧米が非難を応酬し、制裁合戦に突入している。
  ・米金利高も不安材料で、3/31には再び金利引上げ基調にある。

●2.中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)は3月56.3と、2月の51.4から上昇(ロイター)

 1)サービス部門は製造部門より回復が遅れていたが、消費活動が活発化し始めている。

●3.企業動向

 1)中芯国際集成電路(SMIC)  半導体生産工場建設、米国の制裁外の28nm以上の成熟したプロセ ス技術を採用する。総投資額は約2,563億円。(東洋経済)

●4.中国・電子部品大手オーフィルムは3/16、アップルから取引停止の通告受けたと発表

 1)理由は、オーフィルムが、米国政府のエンティティリストに指定されたため。(東洋経済)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/29、日経平均+207円高、29,384円
  ・先週末の米国株高を受け、3/29の3月末の配当権利取りで買いが入り一時+400円高となった。
  ・しかし、米投資会社アルケゴスの取引に関連して金融機関の損失が相場を混乱させるとの警戒感が広がり、リスク回避の売りが出て日経平均は上げ幅を縮小した。

 2)3/30、日経平均+48円高、29,432円
  ・バイデン政権の経済対策に対する期待が高いが、日本株市場は方向感に欠けた展開となった。

 3)3/31、日経平均▲253円安、29,178円
  ・長期金利上昇とアルケゴスの余波を懸念。
  ・米国株安を受けて、バイデン米大統領のインフラ投資演説を前にして、増税計画の懸念もあり様子見気分が広がった。内容次第では長期金利などが大きく変動する可能性もある。(日経新聞)

●2.3月末~4月初頭は経験則では下落基調

 1)3/30は異例とも思えるバラバラの動き
  ・日経平均は、野村が予想を上回る先物+8,609枚もの大量の買いで、配当落ちを埋めて+48円高・+0.16%の上昇。
  ・TOPIXは、日銀ETF501億円購入にもかかわらず、▲0.78%下落。

 2)外資系は先物市場での売り基調が継続している。

●3.株式市場はボラタイルな相場をみているか

 1)3/29の日経平均は一時+400円超だったが、終値は+207円高。しかし、日経平均VIX指数は逆に不安感を増して、前日比+1.69高の23.12と警戒感を高めたことに注目。

 2)騰落率25日移動平均線も3/29、天井圏とされる120超の137.1を記録し、高値圏に位置。

●4.日経平均の株価強弱のリトマス試験紙『配当落ちの即日埋め』?

 1)配当落ち分(日経平均で180円程度)を3/30に即日で埋めるかに注目
  ・結果として、3/30は日経平均+48円高で配当落ち分を埋めたが、翌3/31は▲253円安で配当落ちを埋め切れなかった。

 2)即日埋めとなれば、相場の基調の強さが改めて印象付けられたが、今後の流れを注視。

 3)配当落ちを埋められると、配当金の再投資買いが引き続き入り、需給面での支えとなる。

 4)早期に配当落ち埋めが出来なければ、不透明感が増し利益確定売りに傾く可能性がある。

●5.米投資会社アルケゴスの巨額損失が、3/30の市場に混乱を与えると警戒感(日経新聞)

●6.企業動向

 1)野村     米国子会社取引で損害額▲2,200億円の可能性(ブルームバーグ)
 2)三菱UFJ証券  アルケゴス関連取引で▲330億円の損失も  (ブルームバーグ
 3)ソフトバンクG 米ウィーワークがSPACで上場へ、評価90億ドル(ロイター)
          EBITDA利益は2020年▲18億ドル、2021年▲9億ドル
 4)ソニー    EVの試作車を公開
 5)ルネサス   半導体工場火災の復旧に最大4ヵ月     (TBS)
 6)竹内製作所  オランダに部品倉庫を開設

●7.企業業績

 1)出前館  9~2月期、広告宣伝費・人件費増で最終赤字▲96億円(日経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6925 ウシオ電機   業績堅調。
 ・9602 東宝      企業収益基盤強い。
 ・5563 新日電工    業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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