相場展望12月10日号 世界株高となった要因と、その後の調整タイミング予想

2020年12月10日 08:38

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■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)12/07、NYダウ▲148ドル安、30,069ドル(日本経済新聞社)
  ・米国で新型コロナ感染拡大に歯止めがかからず、経済活動が想定以上に制限されるとの見方が投資家心理を冷やした。
  ・カリフォルニア州では人口の約8割以上の3,300万人に自宅待機命令を発動した。
  ・追加経済対策の期待が高いが、7日は進展の報道がなく、協議に時間がかかるとの思惑が買い手控えにつながった。
  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は3日間続伸で市場最高値を更新。

【前回は】相場展望12月7日号 米株は好調ながら、日本株では外国人が先物売りに転換  来年1月20日までは『ハネムーン期間』、以降注意

 2)12/08、NYダウ+104ドル高、30,173ドル
  ・一時▲100ドル近く下落、追加経済対策協議と報じられプラスに転じたが、協議の進展に対する懸念もあり買い手控えられた。(フィスコ)
  ・ナスダック総合とSP500は最高値を更新した。

 3)12/9、NYダウ▲105ドル安、30,068ドル
  ・前日比+100ドル超で始まったが、追加経済対策の協議に進展が見られず、高値警戒感から利益確定売りで下落した。

●2.株高となった要因と、その後の株価調整タイミング予想

 1)コロナ禍で、米・日・欧の中央銀行が未曽有の量的緩和策を実施したため、その資金のうち行き場を失った巨額の余剰資金が、世界の株式市場に流入したためと考えられる。

 2)膨大な余剰資金を作り出した3極の中央銀行の資産膨張は、2008年比で米FRBは10.4倍、日銀8.5倍、欧ECBで7.2倍程度となっている。

 3)コロナ蔓延で感染者再拡大が続く限り、各国中央銀行は超緩和策の継続あるいは強化される見込みであり、さらに株高が続く要因がある。

 4)株式急騰を是正する要因としては、ワクチン接種が順調に進み、景気回復が見通せた段階で各国中央銀行が超緩和策を見直して、資金回収を始める言動を見せた時と思われる。その場合は、急騰の反動で急落する局面を予想する。上記以外で小さな転換材料としては、今まで上昇材料となってきた(1)ワクチン接種本格化(2)米追加経済対策の議会決着(3)欧中央銀行(ECB)の追加緩和策実施で材料出尽くしとなる可能性もある。

 5)注目のポイントは、来年1/20の米大統領就任式後で、それまでは株高基調が続くと見られる。

●3.米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、クリスマスに警鐘(ブルームバーグ)

●4.フェイスブックを独禁法違反で48州提訴(フィスコ)

●5.テスラ、株高を活かして今年3度目の資金調達で最大50億ドル株売出し(ブルームバーグ)

●6.欧州

 1)英国ではファイザーのワクチン接種が12/8に始まる。(ブルームバーグ)

 2)英国・国家医療制度(NHS)は12/9、ファイザー製ワクチンで深刻なアレルギー持つ人は接種するべきでないと警告した。これまで2人がアレルギー反応を示した。(ブルームバーグ)

 3)フランスでは、国際見本市やパリ航空ショーの開催中止。(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/07、上海総合指数▲27安、3,416
  ・出来高が減り、上値の重い展開となった。

 2)12/08、上海総合指数▲6安、3,410
  ・米国の対中国への圧力強化の動きを警戒し、銀行や鉄鋼が売られた。(日経新聞)

 3)12/09、上海総合指数▲38安、3,371
  ・11月消費者物価指数(CPI)が約11年ぶりに前年同月を下回り、デフレ圧力が意識され、投資家心理の重荷になった。(日経新聞)

●2.中国11月の輸出額は前年同月比+21.1%の増加で6カ月連続プラス(NHK)

 1)輸出増は、マスク、医療機器、パソコンなどの電子機器が主になっている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/07、日経平均▲203円安、26,547円
  ・米株高を受け一時約+150円高となったが、新型コロナ感染拡大を警戒し、中国株式下落もあって、利益確定の売りが優勢。

 2)12/08、日経平均▲80円安、26,467円
  ・米国株安を背景に一時▲200円超安と売り込まれたが、政府の追加経済対策の事業規模73.6兆円への期待が支え、下げ幅縮小した。

 3)12/09、日経平均+350円高、26,817円
  ・英国でのワクチン接種を好感し反発して始まり、10月機械受注の伸びが+17.1%増と予想+2.5%を超え、追い風となった。
  ・ワクチンの世界的普及で世界景気の回復期待が増し、景気敏感株を中心に買われた。
  ・+350円高の寄与では、ソフトバンクGが85円、ファナックが27円押し上げた。

●2.日経平均の今週の予想

 1)今週末12/11に株価先物の12月物特別清算指数(SQ)を控え、売買を手控える動き。
 2)前日12/9はSQ週の水曜日ということで思惑から急騰したが、本日は反落を予想。
 3)11月の大幅高を受け、NYダウともども日経平均もレンジ内の動きとなりそう。

●3.11月街角景況感が45.6と大幅悪化、10月までの改善傾向が一変した(朝日新聞より抜粋

 1)内閣府公表の11月景気ウォッチャーは10月54.5⇒11月45.6と、7カ月ぶり悪化した。業種別では、飲食、サービスが特に大きく下落した。
 2)この結果を受け、内閣府は基調判断を10月の「着実に持ち直している」⇒11月「持ち直しに弱さが見られる」に引き下げた。
 3)2~3カ月の見通しを示す指数は、前月より▲12.6低い36.5。特に飲食業の下落が大きかった。内閣府は、「感染拡大が続き、稼ぎ時の年末年始にも響くと見たためではないか」としている。

●4.政府の経済対策規模は73.6兆円、うち国の支出は30.6兆円、財政投融資40兆円等(NHK)

 1)菅首相は新たな経済対策について「効果はGDP+3.6%程度と見込む」と述べた。
 2)西村経済再生相は「2022年1~3月までのGDPは、コロナ前の水準に戻す」と語った。

●5.コロナで税収は▲8兆円減収となり、新規国債発行は初の100兆円超の見通し(NHK)

 1)税収の落ち込み幅は、リーマンショックの後の2009年度以来。
 2)財政再建への道のりは一層厳しくなる。

●6.脱炭素への設備投資に最大10%の法人税控除へ(読売新聞)

 1)税控除投資対象設備
  ・電気自動車(EV)向けの高性能リチウム電池
  ・省電力性が優れる半導体生産
  ・生産工程の省エネ化など
 
 2)2021年度税制改正大綱に盛り込む方針
  来年の通常国会で産業競争力強化法の改正案提出し、2021~2023年度の3年間実施方向

●7.財務省12/8発表、10月経常収支+2兆1,447億円の黒字、黒字幅2カ月連続拡大 (NHK)

●8.企業業績

 1)電通 最終赤字▲237億円、2年連続赤字。海外人員約6,000人削減。(NHK)

●9.企業動向

 1)ANA  公募増資で最大3,052億円調達、新株単価2,286円(Aviation Wire) 
       2,000億円をボーイング787型機購入、既存機の客室改修、残りは返済充当。

 2)三菱自  希望退職654人と計画上回る。特損72億円。(共同通信)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・5021 コスモエネ  原油高と洋上風力発電効果。
 ・8088 岩谷産業   水素供給基地などに期待。
 ・7012 川崎重工   水素取出し技術に期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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