ヘアカットハウスQBの北野社長は、「来年は経済回復の年」と読む

2020年11月26日 17:00

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 私の頭は、1100円也。頭の中身の話?ではない。髪の毛の理髪料である。そう、QBハウス。周知の通り「1000円床屋」として世の中に登場した際は、衝撃的だった。

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 それまで理髪店の料金は、「カット+洗髪+髭剃り+ブロー」がセットで4000円前後というのが常だった。対してキュービーネットホールディングス(以下、QBNHD)創業者:小西國義氏(今年7月逝去)は、「セット料金は客目線ではない。カットだけでOKという客もいるはず」と疑問を抱いた。

 その疑問が理美容の世界とは全く無縁だった小西氏をして、「カットのみ1000円」のQBNHDの前身:キュービーネットを立ち上げさせた。1995年12月のことである(第1号店は東京神田三土代町に96年11月開店)。

 当初は業務委託契約店/FC店体制で、出店攻勢をかけた。2004年には200店舗を超え、06年には300店舗越えという猛スピードの展開だった。そうした勢いを背景に、シンガポールに海外進出の橋頭保をかけた。

 現社長の北野泰男氏は05年に入社。海外進出の後方支援役を担っていた。任に当たる中で今度は北野氏が、疑問を抱いた。「海外事業で最も大きな壁は、模倣店が相次いで出現することだった。日本でも同様の壁にぶつかりかねない」と痛感するのと同時に、「業務委託/FC展開での拡大戦略は難点が多すぎる」という思いを強めていった。

 FCオーナーは毎月、委託料を支払わなくてはならない。より利益を生み出すために、人件費の抑制に走るオーナーが増え始めていた。スタッフ不足で「客の待ち時間の長引き」など、サービス面でQBNHDが目指す方向と明かにズレが生じてきていた。

 09年に社長の座に就いた北野氏は、「あるべき方向」と考える戦略に舵を大きく切った。「直営で長く続くQB店舗を増やしていくことこそ肝要。直営化し本部でコントロールすることで、サービスの向上、それを実現する人材育成にもつながる」と、断を下したのである。

 12年にはスタイリスト研修施設『ロジスカットプロフェッショナルスタイリストスクール』を開設した。休眠中の理美容が主な対象。約半年間のオリジナルカリキュラムの受講で、QBNHDが求めるヘアカット技術が習得できる仕様。かつ、この間は有給(いぶかる声もあったが断行した)。

 前20年6月期末で店舗数は国内+シンガポール+香港+台湾+米国に計715店。前期は下半期にコロナウイルス禍に晒され(約1カ月の臨時休業、営業時間短縮等)、値上げ(19年2月)効果も吹き飛び「8.5%減収、87.8%営業減益」に沈んだ。

 が、今期計画に北野氏の今後の状況動向観が反映されている。今期中間期は「11.4%減収、70.3%営業減益」も通期では、「8.8%増収、317.4%営業増益」。ちなみに本校作成時の時価は1600円出入り水準。IFIS目標平均株価は3000円。

 市井人と表裏一体と言って過言でないビジネスを展開するQBNHD:北野氏の読みに期待したい。 (記事:千葉明・記事一覧を見る

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