ダイオーズが「コロナ関連株として急浮上の可能性」とする見方の理由

2020年7月2日 17:40

印刷

 東証1部企業:ダイオーズは、事務所向けトータルサービス大手。一口で言えば「地味だが真面目」な企業。前2020年3月期まで5期間の平均営業増益率は0.12%。配当は掲げている「業績連動型」をしっかり守っている。

【こちらも】コロナ禍で浮上したゴーストレストラン、クラウドキッチンとは

 前期で創業50周年を迎えたが、祖業は米屋。現社長の大久保真一氏が「日本1の米屋に」を掲げて始まった。まだ「米穀通帳」なるものがまかり通っていた時代。大久保氏は流通の本場:米国に渡り、米の流通に一石を投じる一策を考案し実施した。米屋本来の御用聞き・配達を活かし、近隣の米屋を束ね「(米の)配達スーパー」を立ち上げたのである。

 だが米屋で仮に日本1になったとしても、今日の上場企業という立ち位置には至らなかったろう。その当たりは百も承知していたから大久保氏は、ダスキンの加盟店になった。加盟店で売上高NO1となった。オフィスサービスへの入り口となった。と同時にフランチャイジーとしての成功は、「ファランチャイザーになりたい、という思いにつながっていった」と大久保氏は振り返っている。ちなみにダスキン時代の事業展開は、現在も自社のクリーンケア事業として独立続行している。

 フランチャイザーの道へは、OCS(オフィスコーヒーサービス)で踏み込んだ。1977年のこと。当時のオフィスでの飲み物と言えばお茶・インスタントコーヒーが精々。そんな中で本格的なレギュラーコーヒーの提供を開始したのである。人気化したことは88年にOCSの本場に米国法人を設立し今日では、全米3位(西海岸ではトップ)のシェアを有している点からも見て取ることができる。

 前期の「8.9%増収、7.2%営業減益」の発表時に、「コロナウイルス禍の影響が読み切れない」とし「今期計画」の公表は見送った。だがいまアナリストの間からは「コロナウイルス禍の不透明感を蹴散らしてしまいかねない事業展開に乗り出した。好評」といった見方が聞かれ始めている。

 空間除菌消臭機「ナノシードα」のオフィスへのレンタル事業。99.99%の精製水と0.01%の二酸化塩素を配合した水溶液をイオンエンジン4基(特許取得)で、ナノ化・拡散して空間の除菌・消臭をするという機器。1台で従来品の10倍以上(100畳分)の成果もさることながら、先のアナリストの説明を借用すると「これまでのテストでは黄色ブドウ球菌、大腸菌、セラチア菌、クロコウジカビ、肺炎桿菌(かんきん)、バシラス菌などで効果を発揮している」。新型コロナウイルス菌の禍は、新たなウイルス・菌の出現が人類・社会の継続的課題であることを強く印象付けた。

 ナノシードαは公共施設や病院の需要も高まっていると言う。ダイオーズは地味だが着実な歩みを続けている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事