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『クルマは造り方を売っているII』 (5) 【日本のトヨタ下請け制度優勢】
■グローバル発注と下請け制度の是非
20年前、カルロス・ゴーン元会長が日産に入った時、筆者の最大の関心事は「グローバル発注」と「下請け制度」との競い合いであった。「日産&トヨタ」の第2ラウンドである。いつ頃決着するのかも含めて、製造業にとって重要な課題だった。
【前回は】『クルマは造り方を売っているII』 (4) 自動車メーカーの終焉?
世界では「下請け制度」と言った組織は確立してはいない。サプライヤーが部品を供給するが、1社のメーカー専属ではない。対して、日本ではメーカーを頂点として、部品メーカーはメーカーの資本、仕事量の支配下にある。日本独特のシステムだ。
カルロス・ゴーン元会長が赴任した時、多くの下請けを排除して(半減)「グローバル発注」としている。対して、トヨタは下請け体制を基本的に維持して、数社のメーカーと緩やかな協業体制を敷きながら現在を迎えている。事業成績として現在は、「トヨタの勝ち」と見える。しかし、これで「下請け制度の勝ち」と判断できるのか?大いに迷うところだ。
「トヨタかんばん方式(欧米名:リーン生産方式)」にとって、資金効率から見て、最も重要な要素が「ジャスト・イン・タイム」だが、これには下請け制度が大きな役割をしめている。
「第4次産業革命(インダストリー4.0)」を実現するには、部品メーカーまで繋がった「ジャスト・イン・タイム」が必要だ。それを目指すには、マツダの「スカイアクティブ・テクノロジー」で重要視した、「設計段階からサプライヤーの参加を求めて、全世界のサプライヤーの品質レベルを揃える努力」などを考えると、どちらが有利になるのか結論が出ない状況だ。
資本の原則から考えると、下請け制度の方が「ジャスト・イン・タイム」体制を取りやすいはずだが、サプライヤーの納品体制作りの考え方が進歩すれば、情勢は逆転する。それには、これからの「AIによる工程管理」の進む方向性がカギを握っているのであろう。これも、HVのステップを飛び越えてBEVに進めたヨーロッパ勢のことなどを考えると、どこまで行っても平行線で進むのかもしれない。
2020年、現在のところ【日本のトヨタ下請け制度優勢】としておこう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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