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『クルマは造り方を売っている (2)』日産「ニッサン インテリジェント ファクトリー」が全て
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CASE 「Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)」に向けて、『生産工程も進歩しなければならない』との話だ。しかしCASEの開発が生産工程に影響してくることは事実だが、現在まででもプラットフォームの共通化、パワーユニットの集約、モジュラー単位の設計とサプライチェーンの同期など、対応出来る生産システムを当然としていなければならなかった。
【前回は】『クルマは造り方を売っている (1)』日産、赤字転落を受けて改革成功の見込みは?
日産自動車が生産技術の次世代のコンセプトとして「ニッサン インテリジェント ファクトリー」と定めるのが遅すぎた。また6年前取り掛かった時に、トヨタやマツダのように「経営課題のトップ」に持ってくるべきだった。
つまり、『クルマは造り方を売っている』ことを、日産経営陣は早期に知るべきだった。
ルノー・日産・三菱の3社アライアンスの内容においては、それぞれ重複する技術開発が行われており、共通化は遅れていた。もちろん販売ルートも重なっており、今回は3社が協力体制を取り、販売努力の無駄も無くそうとしている。
だがその基本には「造り方」が、「混流生産」「順序生産」「スウィング生産」に向かっていなければならず、3社アライアンスの現実は、むしろ牽制し合う立場になっていた。カルロス・ゴーン元会長の功罪の本質的部分だが、2社がRAMA(ルノーと日産のアライアンスの基本合意書)により牽制状態に置かれ、それによってゴーン元会長はフランス政府の支配をコントロールしていた。さすがのグローバル経営者であり、19年もの間、日産をいわば私物化出来た原因でもある。
この呪縛によりゴーン元会長自身が失脚したのであり、また現在の3社アライアンスも抜けだせないでいる。今回のパンデミックにより、3社が経営統合を当面行わず、協力して乗り切ろうとした声明が発表されている。
しかし、私がルノーの立場なら、生産・営業など全てのことで協力をすすめ、逃げ出せなくすることに今は専念するだろう。それから持ち株比率の優位さを持ってRAMAを無効化し、1社として振舞うことを既成事実とする。その後は、ルノーの筆頭株主の権威で、フランスの雇用拡大に資するよう計画する。
日産は、いわば「ルノーに羽交い絞めされた」と見るべきだ。これを脱して、日本企業として日本の雇用創出に資するには、今、公的資金を投入してでも日産が独自に活動出来る体制を作るしかあるまい。だが、それは絶望的なのが現実だ。日産の運命が、近い将来の日本経済の運命にならないことを祈るしかない。日産に資本注入する手段はないものか?
2019年11月28日の「ニッサン インテリジェント ファクトリー」の発表で、6年前に始めたと語られたが、遅すぎた。今、機能していなければ役に立たないのだ。『クルマは造り方を売っている』からだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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