高島屋が投資信託を販売へ その狙いは?

2020年4月15日 17:29

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■百貨店大手の高島屋が投資信託を販売へ

 高島屋は13日、同社および連結子会社の高島屋ファイナンシャル・パートナーズが、ネット証券会社のSBI証券と業務提携契約を締結したことを発表した。

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 高島屋がなぜ証券会社と手を組むのか。高島屋の現状を分析し、SBI証券と提携を結ぶに至った狙いを見ていきたい。

■高島屋の百貨店事業は厳しい状況

 まず高島屋の現状について説明する。13日に発表された2020年2月期の決算資料を見ると、主力事業である国内百貨店事業が特に苦しいことが分かる。

 国内百貨店事業は営業収益7,752億円(前年比0.9%減)、営業利益42億円(同50.6%減)という結果になった。営業利益については人件費、宣伝費を削減してきたが、新型コロナウイルス感染拡大以降の売上低迷を支えきれなかった。

 同社は新型コロナウイルスの感染拡大による収益の落ち込みを補うべく、不動産の売却によって経費削減に動いてはいるが、感染拡大の収束時期は不透明であることから、今後の業績見通しは厳しくなると予想される。

 高島屋はまさに「瀬戸際にある」と言えるだろう。

■SBI証券と手を組む最大の狙いは?

 高島屋の顧客層には富裕層が多く、特に40代以上の高齢層が多いため「老後2000万円問題」に代表される”資産形成ニーズ”を取り込みたい、というのが狙いだ。これら富裕層に対してSBI証券が取り扱う投資信託を販売することで、高島屋は手数料収入を得ることができる。

 またSBI証券としても課題である高齢層、富裕層の顧客を取り込みたいという狙いもある。現状においては両社の狙いは合致している。

 13日の決算発表会見において、高島屋の村田善郎社長は「金融部門での営業利益100億円を目指すことを考えてきた」と述べた。また「百貨店ならではのファイナンシャルサービスを提供したい」とも述べている。高島屋の顧客層を考えると、潜在ニーズがあることは間違いなく、これまで培ってきた信頼感、あるいは提案力というのは一定の武器になり得るだろう。

 高島屋が今回の業務提携により金融事業で利益を確保できるか注目したいところだ。

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